元米国特使ケロッグ氏、ウクライナによるロシア領内打撃を支持 トランプ氏と距離
元米ウクライナ特使のキース・ケロッグ氏は13日、ワルシャワ安全保障フォーラムでブルームバーグ・テレビとのインタビューに応じ、ウクライナがロシア領内の標的を攻撃する自由を持つべきだと述べた。同氏はトランプ大統領が週末に示したウクライナの石油精製施設への攻撃停止を求める立場と一線を画し、「ウクライナ人は自分の得意なことをやらせよ」と述べた。
要点
- キース・ケロッグ元米ウクライナ特別代表が13日、ワルシャワ安全保障フォーラムの際、ブルームバーグ・テレビのインタビューでウクライナによるロシア領内攻撃を支持した
- ケロッグ氏は自身のベトナム戦争での経験を踏まえ、敵に安全地帯を与えてはならないと主張した
- ケロッグ氏はトランプ大統領の週末の呼びかけ(ウクライナによるロシア石油精製施設攻撃の停止要請)やゼレンスキー大統領の辞任を示唆する発言を「雑音(noise)」と一蹴した
- 今回の摩擦の発端はトランプ氏とプーチン大統領の間で取り交わされたロシア産ディーゼルの世界市場への供給に関する合意とされる
- ケロッグ氏はロシアの累積損失を120万〜150万人と推計し、アフガン10年戦争時のソ連損失を大きく超えると指摘した
- ケロッグ氏は2025年末までトランプ氏のウクライナ担当特使を務めていたが、同氏の辞任は政権内同僚がロシアの手口に引っかかっていることへの不満が背景と報じられている
なぜ重要か
米国大統領と、ウクライナ問題を担当していた元最高位特使との間で見解が公然と割れたことで、米国の対ウクライナ政策の一貫性に疑問が投げかけられている。議論の核心は、ロシアの侵攻の資金源を断つ上で効果があるとされるウクライナの石油インフラ攻撃の是非であり、欧州の主要安保フォーラムでなされた今回の発言は、ウクライナ支援のあり方を巡る米欧間の溝を浮き彫りにした。
何が起きたか
キース・ケロッグ元米ウクライナ特別代表は13日、ポーランドのワルシャワ安全保障フォーラムに合わせたブルームバーグ・テレビとのインタビューで、ウクライナがロシア領内の標的を攻撃する自由を持つべきだと明言した。退役陸軍中将であるケロッグ氏は自身がベトナム戦争で学んだ教訓として、敵に安全地帯を与えてはならないと論じ、「ウクライナ人は自分の得意なことをやらせよ」と述べた。週末にトランプ大統領がウクライナのロシア石油精製施設への攻撃停止を呼びかけ、ゼレンスキー大統領の辞任を示唆する発言もしていたことを踏まえ、ケロッグ氏はこれらを「雑音(noise)」と切り捨て、2025年2月のホワイトハウスでの対面衝突のようなレベルには発展しないと予想していると述べた。同氏はまた、ロシアの累計損失を120万〜150万人と推計し、アフガニスタンでの10年戦争時のソ連の損失を大きく超えると指摘した。
背景
ケロッグ氏は2025年末までトランプ氏のウクライナ担当特別特使を務め、その辞任は政権内の同僚がロシアの戦術に乗じていることへの不満と関連付けられてきた。背景にある今回の論争は、トランプ氏とプーチン大統領の間で取り交わされたとされるロシア産ディーゼルの世界市場への供給に関する合意が発端となっている。トランプ氏は11月3日の米中間選挙を控え、エネルギー価格の下落につながる手段を探しているとされる。11日にはゼレンスキー大統領が、ウクライナがロシアの石油精製施設への攻撃を停止する用意があると述べたが、ロシアがウクライナのエネルギーインフラへの攻撃をやめることが条件だとしており、プーチン氏は攻撃を止めたがっていないと指摘。相互的かつ実質的な保証が伴うべきだと強調した。12日にはポーランドのラドスワフ・シロツキ外相も同じワルシャワ安全保障フォーラムでトランプ氏に圧力をかける対象はウクライナではなくロシアであるべきだと訴えた。同日、欧州連合は1600を超える個人・団体を対象とした新たな制裁パッケージを承認している。