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ゼレンスキー氏、トランプ氏めぐり「裏切られた」と発言 ロシア産ディーゼル許可で

ウクライナのゼレンスキー大統領は10月14日、英ジャーナリストのピアース・モーガン氏のインタビュー番組「ピアース・モーガン・アンセンサード」でのインタビューに応じ、トランプ米大統領によるロシア産ディーゼル燃料の制裁解除と「エネルギー停戦」発表を受け、「裏切られた」と感じていることを明らかにした。「強力なパートナーを失いつつあることは残念だ」とも述べた。一方、トランプ氏が仲介者にとどまること自体には反対しないとし、「中間にいるなら中間にいなければならない」と語った。

要点

  • ゼレンスキー氏は10月14日、モーガン氏のインタビューで「裏切られた」と発言。米ロのディーゼル取引と「エネルギー停戦」が背景とした
  • トランプ氏は9日、プーチン氏との合意を受けロシア産ディーゼルの禁輸措置を解除。7年4月7日まで有効な一時ライセンスが付与された
  • 11日、トランプ氏はウクライナとロシア間の「エネルギー停戦」開始を発表。同日、ロシア軍はハリコフのTEC-5を攻撃した
  • 13日、ロシア軍は再びハリコフの民間インフラを「バンドロール」型ミサイル10発で攻撃。ゼレンスキー氏は「エネルギー停戦」後2日間、ウクライナはロシア製油所への攻撃を控えていたと述べた
  • 9日にはマイアミで米ウクライナ英独仏欧NATOの代表団が協議。スティーヴ・ウィトコフ氏とジャレッド・クシュナー氏も参加
  • ゼレンスキー氏はマスク氏のスペースXによるウクライナのドローン向けスターリンク制限を「大きな過失」と批判
  • 情報共有停止の可能性について、ウクライナ側は米代表団が警告したと主張し、米側は否定。トランプ氏も否定

なぜ重要か

ゼレンスキー氏が公の場で「裏切られた」という言葉を使ったことで、米国の仲介努力と制裁解除が戦争の行方を左右するこの時期に、ウクライナとワシントンの関係がきな悪化していることが鮮明になった。同氏はロシア産ディーゼルのライセンスと「エネルギー停戦」という二つの具体的措置を取り上げ、それらをハリコフのエネルギーインフラへの攻撃と結びつけて、トランプ氏の動きを一方的な対ロシア譲歩と位置づけた。さらに、マスク氏/スペースXによるスターリンクの制限も含め、ウクライナに不利益な措置のパターンとして提示している点が重要。

何が起きたか

ウクライナのゼレンスキー大統領は10月14日、英ジャーナリストのピアース・モーガン氏によるインタビュー番組「ピアース・モーガン・アンセンサード」に出演し、トランプ米大統領による最近の措置について「裏切られた」と感じていることを表明した。発端となったのは、9月9日にトランプ氏がプーチン氏との合意に基づきロシア産ディーゼルの禁輸措置を解除し、2027年4月7日まで有効な一時ライセンスを米財務省が発給した一件と、10月11日に発表されたウクライナとロシア間の「エネルギー停戦」だった。これに対し、ロシア側は停戦発表と同日の10月11日にハリコフのTEC-5火力発電所を攻撃し、10月13日にも同市の民間インフラを「バンドロール」型ミサイル10発で攻撃した。ゼレンスキー氏は、停戦発表後の2日間はウクライナ側がロシア製油所への攻撃を控えていたのに対し、ロシアは攻撃を続けたと指摘した。ゼレンスキー氏は「強力なパートナーを失いつつあることは残念だが、それは我々のせいではない」と述べた上で、「自国を売らない」と強調。トランプ氏が仲介者にとどまることには反対しないとしつつも、「中間にいるなら中間にいなければならない。間違った側ではなく」と述べた。同氏はさらに、マスク氏のスペースXによるウクライナのドローン向けスターリンク制限を「人的犠牲につながる大きな過失」と批判し、サービス再開を求めた。

ウクライナメディアの見方

ウクライナ側の報道は、トランプ氏によるディーゼル取引と「エネルギー停戦」を、ロシアへの有害な譲歩と位置づけている。ウクライナ各紙はゼレンスキー氏の「裏切られた」という言葉を前面に出すとともに、エネルギー停戦が発表された当日およびその後もロシアがハリコフのエネルギー・民間インフラを攻撃し続けたことを併記し、米側の動きを一方的だと批判する文脈で構成している。また、マスク氏/スペースXによるスターリンク制限や、トランプ氏によるディーゼル価格高騰の責任をウクライナ製油所攻撃に転嫁する発言も、ウクライナに不利益な一連の動きとして紹介。ゼレンスキー氏が以前に「不公平で不誠実」と呼び、ウクライナの領土をロシア領と認めることはないと発言していた点にも言及し、ウクライナの立場として「生き残りをかけた闘い」であるという主張を強調している。

海外メディアの見方

国際報道(本セットに含まれた唯一の英語圏ソースであるアゼルバイジャンの通信社)は、ゼレンスキー氏の「裏切られた」という発言を比較的簡潔に紹介し、ロシア産ディーゼル取引と「エネルギー停戦」を引き金として前面に据えている。同記事はゼレンスキー氏の「強力なパートナーを失いつつある」という発言を引用する一方、ハリコフ攻撃やスターリンク制限など、ウクライナ側に立って状況を悪化させる具体的な背景には踏み込んでいない。また、プーチン氏が「笑っている」、ロシアはトランプ氏が弱く見えることを望んでいる、トランプ氏がウクライナ大統領の交代を望んでいるといった、より攻撃的な部分や論争的な部分も簡略化または省略しており、全体としてより外交的なトーンで伝えている。

報道の食い違い

報道機関の間で見解が分かれている点が複数ある。第一に、トランプ氏のフロリダでの交渉代表団が、ロシア製油所への攻撃を止めなければウクライナへの情報共有を停止すると警告したかどうかについて、ウクライナ側の情報筋は警告があったと述べたが、米側の匿名当局者はこれを否定し、トランプ氏自身も情報共有停止を公に否定している。第二に、ディーゼル取引の数量について、トランプ氏は480万トン超としているのに対し、別の報道では初期分30万トンで将来的に大幅増とされており、両者の規模感が食い違っている。第三に、ウクライナ側はディーゼル制裁解除とエネルギー停戦を、ロシアに対する条件なしの譲歩と批判しているが、米政権はキエフとモスクワの間で偏らない仲介者だとする立場を一貫して示している。

背景

2026年10月上旬、米トランプ政権は2027年4月までのロシア産ディーゼル輸入を認める一時ライセンスを発給し、「エネルギー停戦」と称する措置を発表した。同時に、米特使のスティーヴ・ウィトコフ氏とジャレッド・クシュナー氏を含む米英独仏欧NATOの代表団がマイアミで会談し、冬を前にしたデエスカレーションを協議した。トランプ氏はディーゼル価格の高騰はウクライナによるロシア製油所への攻撃が原因だと主張し、攻撃停止を求めていた。ゼレンスキー氏はこれに先立ち、なぜ米国はウクライナとのディーゼル合意を結ばないのかと公に問いかけ、合意なき制裁緩和を「弱さ」の表れと批判。アクシオスとのインタビューでは「不公平で不誠実」と呼び、冬期間中のエネルギー施設への相互攻撃停止と引き換えであればエネルギー制裁緩和を支持すると述べていた。ロシア側はエネルギー停戦発表と同日の10月11日にハリコフのTEC-5を攻撃し、10月13日にも「バンドロール」型ミサイル10発で同市の民間インフラを攻撃した。