トランプ氏、ウクライナに「新指導者を」と要求 ロシアとのディーゼル燃料合意の直後
10月10日、トランプ米大統領は記者団に対し、ロシアとの戦争を終結させる deal ができるようウクライナは新しい大統領を選ぶべきだと述べた。これは前日発表のロシア産ディーゼル燃料供給合意を受けた発言。ゼレンスキー大統領を「何度も戦争を終結させる機会があったのに選ばなかった」と批判。ジミー外交官のアンドリー・シビハ外相が反論し、ウクライナ国民の支持を強調した。ゼレンコフスキー氏もロシア艦とのディーゼル合意を「プーチンへの誕生日プレゼント」と批判。背景にマイアミでの米ウクライナ交渉が早期決裂していた。
要点
- 10月10日、トランプ米大統領が記者団に対し「ウクライナは新しい大統領を得る時だ」と述べた。
- ゼレンコフスキー大統領を「何度も戦争を終結させられたのにそうしなかった」と批判。
- 10月9日、ロシアのプーチン大統領との電話会談でロシア産ディーゼル燃料の大規模供給合意を発表。
- 米財務省は2027年4月7日までロシア産ディーゼルの輸入・取引を認める一般ライセンスを発出。
- シビハ外相は「ゼレンコフスキー氏はウクライナの民意の支持を受けており、リーダーの選定は国民が決めること」と述べた。
- ゼレンコフスキー氏はディーゼル合意を「プーチンへの誕生日プレゼント」と批判し交渉チームは「スクリーン」として使われたと主張。
- マイアミで行われていた米ウクライ欧州NATOの交渉は合意報道後に早期終了。
なぜ重要か
米国の現職大統領が米軍の支援を受ける交戦国の指導部交代を公式に求めた前例のない発言であり、戦争終結を目指すウクライナの交渉ポジションを大きく弱めるものだ。同時に米国はロシアとのディーゼル合意でモスクワへ戦争収益を直接提供する道を開き、近時の対露圧迫政策から離脱した。
何が起きたか
10月9日、トランプ氏はプーチン大統領との電話会談を経て、ロシア産ディーゼル燃料を米市場および世界市場に供給する合意を発表。直ちに30万トン以上、11月に追加50万トン、その後100万トン、さらに追加で最大300万トンが供給される見込みで、合計は480万トンを超える可能性がある。米財務省は2027年4月7日までロシア産ディーゼルの販売・引き渡し・積み降ろし・輸入を認める一時的一般ライセンスを発出した。 この発表はマイアミで米ウクライナ欧州NATO代表団が戦争終結協議を行っていた最中で行われ、ウクライナ側は事前通告を受けなかったと述べて交渉は早期終了。翌10月10日、トランプ氏は記者団に対し「ウクライナは新しい大統領を得る時だ」と発言し、ゼレンコフスキー氏が「何度も何度も」戦争を終結できたのに「選ばなかった」と批判。ウクライナのロシア製油所への攻撃は世界のディーゼル価格と米国農家に問題を生むとし、製油所を攻撃しないよう警告してきたと主張した。ゼレンコフスキー氏はディーゼル合意を「プーチンへの誕生日プレゼント」と批判し、ロシアが都市への爆弾投下を続ければ合意を「爆撃の許可」と解釈すると主張。シビハ外相はゼレンコフスキー氏が「独立、自由、尊厳のための戦争を率いる指導者である」と国民が支持しており、リーダー選びはウクライナの専権事項だと反論した。10月9日夜から10日にかけてロシアのザポリージャへの攻撃で少なくとも20人が死亡、そのうち3人は子ども、18人が負傷した。
ウクライナメディアの見方
ウクライナ各紙はシビハ外相の反応を大きく報じ、ゼレンコフスキー氏が「独立、自由、尊厳のための戦争を率いる指導者である」と強調し、外国からの声明は「職務を十分に果たしている証」にしかならないと伝えた。ゼレンコフスキー氏によるトランプ氏とのディーゼル合意への批判や交渉チームが「スクリーン」として使われたという主張が大きく報じられた。マイアミ交渉の早期決裂やウクライナ代表団が事前通告なく帰国を余儀なくされた点も強調され、キーフ側が今回の合意発表で不意を突かれた様子が描写された。
海外メディアの見方
国際メディアはまずトランプ氏自身の言葉を前面に出し「ウクライナは新しい大統領を得る時だ」という見出しでゼレンコフスキー氏への直接的な攻撃として報道。ロシア産ディーゼル合意とウクライナの製油所攻撃がディーゼル価格高騰の文脈で結ばれている点が注目され、プーチン氏の補佐官ユーリー・ウシャコフ氏が「プーチン氏は平和交渉の可能性を拒否した」と主張したことも大きく報じられた。EU外相のカヤ・カラス氏がゼレンコフスキー氏の批判を支持し、ロシアのディーゼル制裁を停止すればモスクワに戦争資金が追加されるとしてEUの新たな制裁パッケージを示唆したことも紹介された。
報道の食い違い
情報源によってトランプ氏の発言場所が異なり、マイアミで合意を伝える記者団への発言とする報道と、大統領専用機でテネシーに向かう前のホワイトハウス前の発言とする報道がある。ロシアに占領されたウクライナの領土の割合についてはトランプ氏が30%と述べたのに対し、2026年10月時点の報道はおおむね19%前後としている。さらに戦争の原因についてトランプ氏が「無能」と表現したのに対し、ウクライナやEUの側はそれを背景にある無挑発なロシアの侵略と表現しており、見解が対立している。
背景
ウクライナは2022年2月に始まったロシアの侵攻に対して防衛を続けている。戒厳令が敷かれており、現在大統領選挙は禁止されている。2024年4月、ゼレンコフスキー氏は5年の任期上限を超えて大統領在任7年目に突入した。トランプ氏は10月9日にプーチン氏との電話会談後に合意を発表し、プーチン氏の補佐官ウシャコフ氏によれば、ロシア側は「全目標」を達成するまで軍事行動を続けると述べた。同合意は2026年2月に始まったという米国イスラエルのイランに対する軍事作戦以降の世界的な燃料価格高騰のさなかにあり、2026年11月の米中間選挙を前にトランプ氏への国内の政治的压力が強まる中で出された。