ウクライナ検事総長が辞任 anti-corruption operation「カルタゴ」で贈賄疑惑浮上
ウクライナのルスラン・クラフチェンコ検事総長が9月7日夜、NABU(国家汚職対策局)とSAPO(汚職対策専門検察庁)による捜査を受けて辞任した。捜査は「カルタゴ作戦」と名付けられ、大統領府検察庁による振り込め詐欺コールセンターへの「保護料」疑惑を扱っていた。主な被疑者はセルギー・クロピワ検察庁国際協力局副局长で、資産洗浄1億100万フリブニャ以上が疑われている。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は辞任届がヴェルホフナ・ラーダに提出されると述べた。クラフチェンコ氏は疑惑を全面否定している。
要点
- 9月7日夜、ルスラン・クラフチェンコ検事総長が辞任届を提出し、「政治的決定」だと述べた
- 「カルタゴ作戦」では検察庁が振り込め詐欺コールセンターを「保護」し、月約7,000ドルを受け取っていた疑いが浮上
- 主犯のセルギー・クロピワ容疑者(9月6日に逮捕)には2億1,200万フリブニャの代替保釈金付き勾留が決定
- 9月8日、ゼレンスキー大統領は辞任届をラーダに送付すると発表
- Kropyvaは公判でKravchenkoのコージンにある邸宅のリフォームを監督・支払いしていたとされ、録音には「Andriyovych」「ボス」という呼びかけが記録されている
なぜ重要か
検事総長の辞任は、進行中の大規模汚職捜査の直接的な帰結であり、ウクライナの汚職対策機関(NABU・SAPO)の独立性が実際に機能しているかが試されている。同国のEU加盟候補資格は汚職対策と結びついており、2025年のNABU/SAPOの独立性回復を求める抗議やG7の警告を想起させる事案でもある。さらに、捜索でNABUとSAPOの長に対する監視資料が発見されたとされ、検察庁側が反撃を準備していた可能性が指摘されている。
何が起きたか
9月4日、NABUとSAPOはクラフチェンコ検事総長、その第一副長官マリア・ウドヴィチェンコ、オデサ州行政長官オレフ・キペルの捜索を実施した。職員がドアを施錠して抵抗したため、NABU捜査官は建物に入るにはしごを使うことを余儀なくされ、捜査官1名が負傷した。
9月5日、NABU/SAPOは「カルタゴ作戦」を発表し、検察庁の構造部門トップが率いる組織が振り込め詐欺コールセンターから組織的に賄賂を受け取り、資産を洗浄していたと訴追した。主な被疑者は国際協力局副局长セルギー・クロピワで、Lvivで逮捕された。
9月6日、最高反汚職裁判所(VAKS)はクロピワを2億1,200万フリブニャの代替保釈金付きで11月2日まで勾留と決定。
9月7日、VAKSはクロピワの共同生活相手で「ムザ」のコードネームを持つ24歳イェリザヴェータ・イヴァフネンコを60日間、代替保釈金2億フリブニャで勾留。運転手セルギー・クツィも11月3日まで、代替保釈金5,000万フリブニャで勾留。
同日夜、クラフチェンコは辞任届を提出。「政治的決定」だとし、検察庁トップの職が「政治的対立の道具」にされるのを望まないと述べた。捜査との関連は否定し、手続き上の地位もないと主張した。
9月8日、ゼレンスキー大統領は7日にNABUとSAPOの長、およびKravchenko氏と会談したと述べ、辞任届はラーダに送られると発表した。
調査ではUPの情報源によると、2026年のピーク時、検察庁関係者が最大500の詐欺コールセンターを管理し、月最大350万ドルを得る可能性があったとされる。
ウクライナメディアの見方
ウクライナ語報道は調査の詳細に重点を置く。クロピワ容疑者の親族による不動産購入(2021年にキエフで始まり、後にブコヴェルのGlacierアパートホテルへ投資、4室と3つの駐車スペース、推定2,850万フリブニャ)の調査報道、主要な裁判期日での保釈金額、刑法255条(犯罪組織の創設・リーダーシップ)と209条(資金洗浄)での訴追といった細部が強調される。
多くのウクライナ報道は、捜索で第一副長官ウドヴィチェンコの元からNABU局長セミヨン・クリヴォノス、SAPO長官オレクサンドル・クリメンコおよびその家族・部下に対する監視の証拠が見つかったと報じ、これを汚職対策機関への「反撃」の準備と位置付けている。市民団体「Антикорупційний центр」のヴァタリ・シャブニン氏はインタビューで本件を「マウフィア的な話」と表現し、起訴は汚職関連法の枠組みの中で進められている。
大統領は辞任届が議会に送付されることを確認した。
報道の食い違い
情報源の間に3つの主要な不一致がある。
第一に、辞任の引き金について:BBCやAPAなど一部の報道はクラフチェンコがゼレンスキーとの会談後に自ら政治的辞任を書いたいと伝える一方、ウクライナ側の一部情報源(大統領府関係者の発言を引用)はゼレンスキーが辞任届を書くよう個人的に求めたと報じる。クラフチェンコ本人はそれ以前、「大統領と議会の要請がなければ辞任しない」と述べていた。
第二に、関与の程度について:NABU/SAPOの録音・捜査資料はクロピワをクラフチェンコと密接に結びつける(コージンにある邸宅のリフォームを管理・支払い、「Andriyovych」「ボス」と呼びかける)。一方、クラフチェンコは公の場で全面的に関与を否定し、手続き上の地位すらないと主張している。
第三に、捜索の様相について:ウクライナ語の多くの報道は9月4日に職員がドアを施錠し、抗議的な抵抗があったと描写し、NABUは建物侵入にはしごを使い、職員1名が負傷したと伝える。BBCやAPAなど一部の国際報道は、当局が当初短時間のアクセスのみを拒否した後、捜索は比較的平穏に実施されたかのように描写する。
背景
NABUとSAPOは10年以上前に創設されたウクライナの独立汚職対策機関であり、2025年にこれらを弱体化させる改革案への抗議とG7の警告を受け、ゼレンスキー大統領が独立性を回復した。ウクライナのEU候補資格は汚職対策の実績と結びついている。
ルスラン・クラフチェンコは2025年6月に検事総長に就任した。「カルタゴ」捜査の主要被疑者セルギー・クロピワのコードネームは「 Chancellor(宰相)」、共同生活相手のイェリザヴェータ・イヴァフネンコのコードネームは「Muza(ミューズ)」とされる。