ウクライナ最高反腐敗裁判所、「カルタゴ作戦」容疑者イヴァフネンコ被告を拘束
2025年9月7日、ウクライナの最高反腐敗裁判所(ВАКС)は、NABUとSAPによる「カルタゴ作戦」の容疑者、エリザヴェータ・イヴァフネンコ被告(コードネーム「ムザ」)に対し、2000万フリヴニャの保釈金を条件に拘束(未決拘禁)とする予防措置を選んだ。検察側は5000万フリヴニャの保釈金を求めていたが、裁判所はこれを退けた。イヴァフネンコ被告は起訴事実を否認している。
要点
- 9月7日、最高反腐敗裁判所(ВАКС)はエリザヴェータ・イヴァフネンコ被告を拘束し、保釈金として2000万フリヴニャを条件とする予防措置を決定した
- 予防措置の終期は11月2日とされた
- 検察側は保釈金5000万フリヴニャでの拘束を請求していた
- イヴァフネンコ被告はNABU/SAPの資料で「ムザ」というコードネームで記載されている
- 彼女は犯罪で得た資金の合法化(マネーロンダリング)――ウクライナ刑法209条――で起訴されている
- 主要容疑者セルヒー・クロピヴァ被告(コードネーム「カンクラー」)は、イヴァフネンコ被告の事実婚のパートナーとされている
- 9月6日、ВАКСはクロピヴァ被告を拘束し、保釈金1億2000万フリヴニャを条件とする予防措置を決定していた
なぜ重要か
本案は、ウクライナの重要反腐敗機関である検事総長局内部における汚職と資金洗浄疑惑を直撃するものである。捜査の一環として検事総長の執務室を含む庁舎が夜間に捜索され、検事総長が議会の法執行委員会に説明のため召喚された。押収された録音からは、詐欺コールセンターへの組織的な「庇護」と、検事総長本人とされる人物への言及が浮かび上がり、同機関の信頼性そのものが問われている。裁判所が検察側請求の5000万フリヴニャの保釈金を2000万フリヴニャに減額したことは、注目度の高い事件における司法の監視機能を示す。
何が起きたか
2025年9月4日、国家腐敗防止局(НАБУ)と専門反腐敗検察(САП)は、検事総長局(ОГП)の幹部職員が率いるとされる犯罪組織の摘発を目指す特別捜査「カルタゴ」を発表した。同組織は、ウクライナ刑法255条(犯罪組織の創設・主導・参加)および209条(犯罪収益の合法化)により起訴され、懲役15年以下の対象となり得る容疑で、5名が特定された。主要容疑者はОГП国際協力局副局長のセルヒー・クロピヴァ被告(コードネーム「カンクラー」)で、9月6日にВАКСが1億2000万フリヴニャの保釈金で拘束を決定。9月7日、裁判所はクロピヴァ被告の事実婚のパートナーで「ムザ」のコードネームで記録されるエリザヴェータ・イヴァフネンコ被告(24歳)に対し、2000万フリヴニャの保釈金での拘束を選んだ。検察側は5000万フリヴニャを求めていたが退けられた。イヴァフネンコ被告は犯罪組織への関与を否認し、公開された録音は歪められ文脈を無視されていると主張している。
ウクライナメディアの見方
ウクライナの報道は、ОГП内部の信頼性の危機を大きく報じた。9月5日深夜に実施された検事総長や他のОGP職員の執務室への捜索、議会法執行委員会のセルヒー・イオヌシャス委員長による検事総長への説明要求などが大きく取り上げられた。政治学者イホル・レイテロヴィチ氏は、ОГPがНАБUの録音の真正性を事実上認めたと指摘し、検事局内部の組織的な腐敗の暴露として論じている。また、イヴァフネンコ被告の高級車やキエフ、オデッセイアでの不動産、22歳時のオデッサ法学院副学部長としての経歴、捜査側主張の文部科学副大臣就任意欲などが予想され主張として報じられている。
報道の食い違い
複数の論点で報道に食い違いが記録されている。第一に、イヴァフネンコ被告の拘束終期については一部情報源は2025年11月2日とする一方、裁判官の発言として2026年11月2日を挙げる情報源もある。第二に、「カルタゴ」捜査開始後にクラフチェンコ検事総長が所在不明になったとする報道について、「ウクライナ・プラウダ」の情報源はこの旨報じたのに対し、ОГPはこれを否定した。第三に、公表された現金が詰まった開放鍵の写真の出所について、SAPのカラース検察官は「カルタゴ」事件のもので鍵はОГP内で発見されたものではないと説明したが、弁護人のヴィタリー・セルジュク氏は別の「土地」関連の刑事手続きの中で撮影されたものだと主張した。
背景
「カルタゴ」作戦は、2025年9月4日にНАБUとSAPにより発表された。捜査対象は、詐欺コールセンターへの「庇護」を見返りに組織的に不正な利益を得ていたとされる犯罪組織で、ウクライナ刑法255条と209条に基づき懲役最長15年が対象となり得る容疑で5名が起訴された。主要容疑者ОГP国際協力局副局長のセルヒー・クロピヴァ被告(コードネーム「カンクラー」)は、9月6日にВАКСが保釈金1億2000万フリヴニャで未決拘禁を決定した。捜査当局によると、ルスラン・クラフチェンコ氏は2024年12月から2025年6月まで国税庁長官を務めており、НАБUの録音に登場する以前の税関・税務トップとされる「シェフ」(ボス)のモデルとして一部解説者の推定されている。2025年9月2日、ゼレンシキー大統領は詐欺コールセンター組織への罰則を強化する2法案をヴェルホフナ・ラーダに提出した。