ゼレンスキー氏、米議会超党派代表团とオンライン会談——弾道ミサイル警戒データ未提供やStarlink速度制限を問題視
ウクライナのゼレンスキー大統領は10月19日、米上院・下院の超党派議員代表团とオンライン会談を行った。会合では、ロシアの弾道ミサイルに対する米国の早期警戒データが再び提供されなかった件や、StarlinkおよびStarshieldの速度制限継続、グラハム上院議員の制裁法案への支持などが議題となった。ゼレンスキー氏はまた、ロシア・エネルギー施設への相互攻撃停止の代わりに30日間の対ロシア石油精製所攻撃停止を提案したが、米側からの支持は得られなかったと述べた。
要点
- 10月19日、ゼレンスキー大統領は米上院・下院の超党派・両院合同代表团とオンライン会談を実施
- 会談はブラメンタール上院議員とティリス上院議員が主催
- ハリコフ州へのロシアのシャヘドドローン攻撃で母子を含む6人が死亡したことを冒頭で報告
- ウクライナの米側弾道ミサイル早期警戒データが短期間に3回目となる未提供状態と説明
- StarlinkおよびStarshieldの速度制限が前線で作戦に影響を与え続けていると指摘
- PURLプログラムに基づくパトリオット・ミサイル供給の加速について協議
- グラハム上院議員の制裁法案への謝意を表明し、早期発効を希望
なぜ重要か
ゼレンスキー氏と米議会指導者との会談は、ウクライナ安全保障における複数の重大案件をまとめた場となった。PURLプログラムを通じたパトリオット・ミサイル供給、早期警戒データの欠如、Starlink/Starshieldの速度制限という、ウクライナが米側との摩擦と位置付ける問題が並列に協議された。さらに、30日間の対ロシア石油精製所攻撃停止案は、ウクライナ側から提示された新たな外交的イニシアチブであり、冬季を前にしたロシアのエネルギー攻撃継続への対抗策として意義を持つ。
何が起きたか
10月19日、ウクライナのゼレンスキー大統領は米上院・下院の超党派・両院合同代表团とオンライン会談を開催した。会談はブラメンタール上院議員とティリス上院議員が主催した。ゼレンスキー氏は冒頭で、ハリコフ州へのロシアのシャヘドドローン攻撃により、1歳をわずかに超えた子どもとその母親を含む6人が死亡したと報告した。 その上で、ウクライナは依然として前線の各区間でStarlinkおよびStarshieldサービスの速度制限に直面していると指摘。短期間に3回目となるロシアの弾道ミサイル攻撃について米側早期警戒システムからの事前通知が得られなかったことを明らかにし、その理由についてワシントンからの明確な説明を受けていないと述べた。 会談ではPURLプログラムに基づくパトリオット・システム用ミサイル供給の加速など、ウクライナの防空強化が議題となった。ゼレンスキー氏はトランプ米大統領のエネルギー停戦イニシアチブをウクライナは支持したが、ロシアはウクライナのエネルギーインフラへの攻撃を続けていると指摘。プーチン氏がウクライナのエネルギー攻撃停止と引き換えにロシア石油精製所への攻撃停止を提案したものの、ロシア側が拒否したと述べた。 ゼレンスキー氏は代替案として、ロシア石油精製所への攻撃を30日間停止する代わりに、その期間中のウクライナ空域の防空をパトリオット迎撃ミサイルで支援するよう米国に要請。しかし、この提案に対する米側の支持は得られなかったと述べた。同氏はグラハム上院議員の制裁法案への支持に謝意を表し、早期発効への期待を示した。また、ウクライナ軍が前線でロシア軍より多くの領土を解放していると述べ、ロシアは戦争終結を計画せず冬季に向けた新たな攻撃を準備していると主張した。 別件の行動として、ゼレンスキー氏はキーウで米国防企業ロッキード・マーチンのチームと会談し、弾道ミサイル対策物資の供給拡大やF-16戦闘機のウクライナ国内整備・修理の可能性について協議した。
ウクライナメディアの見方
ウクライナの報道はゼレンスキー大統領の発信と大統領府発の読み取りを中心に構成しており、米国の弾道ミサイル早期警戒データの不提供、前線でのStarlinkおよびStarshieldの速度制限、ロシアによるウクライナ・エネルギーインフラへの攻撃継続への警告を強調している。また、ロシア石油精製所への相互攻撃停止30日案というウクライナ側の対案と、グラハム上院議員の制裁法案への支持にもかかわらず同法が未発効である事実を取り上げ、追加的な対露圧力を求める姿勢を打ち出している。さらに、ハリコフ州でのシャヘド攻撃による母子を含む6人の犠牲を冒頭で示し、ロシアの戦争継続意志を訴える構図となっている。
背景
10月11日にトランプ米大統領が発表したエネルギー停戦イニシアチブは、ウクライナとロシアの石油精製所への相互攻撃停止を想定していたが、ウクライナのより広範なエネルギーインフラは対象外であり、ロシアの攻撃は継続していた。10月14日、ゼレンスキー氏は米国がロシア石油精製所攻撃停止を要求しなければ情報共有を停止すると威嚇したと確認。10月16日にはトランプ氏が国家利益を理由に、グラハム上院議員の法案で規定されていたロシア産石油・ガスの最大買い手に対する制裁を停止した。10月9日にはトランプ氏とプーチン氏が電話会談で燃料価格引き下げを目的にロシア産ディーゼル燃料を大量に米国・世界市場へ供給することで合意していた。10月17日にはゼレンスキー氏がStarlink端末をEU諸国で試験し、180km/h超の速度で動作すると報告していた。別途、ゼレンスキー氏はキーウでロッキード・マーチンのチームと会談し、弾道ミサイル対策物資の供給拡大やF-16戦闘機の整備・修理の可能性について協議していた。