フィンランド、EU全域でのロシア人観光客への観光ビザ全面停止を要請
フィンランドのエリナ・ヴァルトネン外相が、ウクライナに対する戦争を終えるまでEU全域でロシア市民への観光シェンゲンビザの発給を完全に停止するよう他EU加盟国に呼びかけた。欧州委員会宛ての共同書簡に他国の署名も求めており、5項目の具体案を提示。エストニアが13日に支持を表明した。
要点
- フィンランドのエリナ・ヴァルトネン外相が、EU加盟国にロシア人への観光ビザ全面停止を呼びかけ、欧州委員会への共同書簡への加署を求めている
- フィンランドは2022年から国家レベルでロシア人への非必需旅⾏ビザの発給を停止している
- フィンランドの提案は5項目:観光ビザ全面禁止、プーチン側近らへの義務的ビザ禁止、ロシア国家と結びつくアスリートらへの制限、ロシア軍関係者・元戦闘員の入国禁止の有効実施、ビザ法典改正による緊急制裁メカニズムの創設
- エストニアのマルグス・ツァフクナ外相が13日にXでフィンランドの呼びかけへの参加を表明
- 2025年にロシア市民に約47万8千件の観光ビザが発給されたと10月7日付のEU理事会議長国文書が示している
- フィンランドの書簡は12日付でEU外務上級代表カヤ・カラス、欧州委員、EU理事会議長国代表宛に送られた
- 欧州委員会は1月、ビザ政策に関する新たな提案の発表を予定している
なぜ重要か
フィンランドの提案は、ビザ制限の議論を個別の加盟国レベルからEU全体レベルに引き上げるものだ。フィンランドが2022年に導入した国家制限をはるかに超える効果を持つ汎欧州的な禁止措置となる可能性があり、観光ビザだけでなく、制裁対象者、ロシア国家と関係の深いスポーツ関係者、元戦闘員も対象に含まれる。エストニアが公に支持を表明したことで、欧州委員会への書簡に署名する意思のある首都が少なくとも一部あることが示された。この動きは、欧州委員会が1月に発表予定のビザ政策提案を前に行われており、ロシアを安全保障上の脅威と見なす国家に対するEUの厳格化に沿う形となる。
何が起きたか
フィンランドのエリナ・ヴァルトネン外相は、欧州委員会宛ての共同書簡を通じて、EU全域でロシア市民への観光シェンゲンビザの発給を完全に停止するよう他EU加盟国に呼びかけた。書簡は12日付でEU外務上級代表カヤ・カラス、欧州委員、EU理事会議長国代表に送られた。フィンランドの提案は5つの具体的措置から成る:第1にロシア市民への観光・非必需旅⾏ビザの全面禁止、第2にウラジーミル・プーチン大統領の側近およびEU制裁対象者・組織への義務的ビザ禁止、第3にロシア国家と密接な関係を持つロシアのアスリートやスポーツチームメンバーへのビザ制限、第4に夏のEU合意によるロシア軍関係者・元戦闘員の入国禁止の有効実施、第5に第三国との関係が政治的・安全保障上の理由で急激に悪化した場合にEUが迅速かつ強制的にビザ制限を発動できるメカニズムを創設するためのEUビザ法典改正。13日、エストニアのマルグス・ツァフクナ外相がXへの投稿でフィンランドの呼びかけへの参加を表明し、EU全域での観光ビザ停止を支持すると述べた。10月7日付のEU理事会議長国文書によると、2025年にロシア市民には47万8,878件の観光ビザが発給された。フィンランドは2022年から国家レベルでロシア人への非必需旅⾏ビザの発給を停止しており、今回の構想はその措置をEU全体に拡大するもの。EUでは外交官による作業部会が14日にロシア観光客らへのビザ制限の可能性について話し合う予定で、欧州委員会は1月に新しいビザ政策提案の発表を予定している。
ウクライナメディアの見方
提供された情報源はすべてウクライナ語メディアであり、ウクライナに対するロシアの戦争への直接の対応としてフィンランドの提案を位置づけ、ヴァルトネン氏の「ロシアがウクライナの家々を爆撃している一方でロシア人が我々の生活方式や自由を享受できることはおかしい」という発言を引用している。ウクライナ側の報道は、イニシアチブを推進する主体としてフィンランドを、そして次にエストニアを大きく扱っており、ロシアは提案された制限の対象であり、その行為が制限を正当化する主体として主に描かれている。また、ウクライナの制裁政策担当者が2025年に示した「完全な観光ビザ禁止はありそうにない」という従来の評価を繰り返し引用しており、ウクライナの報道は今回の提案を政治的には野心的だが実現は不確実なものとして枠づけている。
報道の食い違い
情報源によって、ロシア市民に発給された観光シェンゲンビザの数について異なる数値が示されている:10月7日付のEU理事会議長国文書は2025年に47万7,878件、フィンランド外務省は2025年について「約50万件」、5月6日付のEuractiv記事は過去1年間で62万件超と伝えている。また、ロシア市民へのEU観光ビザ全面禁止が現実的かどうかについても意見が分かれている:フィンランドは全面禁止を求めているが、ウクライナの制裁政策担当者は2025年の段階で、完全禁止の可能性は低く、ビザ取得がより困難になる程度だと述べていた。
背景
フィンランドは2022年から国家レベルでロシア人への非必需旅⾏ビザの発給を停止している。欧州委員会はロシアのウクライナ全面侵攻後、ロシアのビザ申請に対する厳格化アプローチを加盟国に勧告していたが、全面禁止を求めてはいなかった。EU加盟国は以前にロシア軍関係者のビザ制限について合意していたが、加盟国間の意見の相違から実施メカニズムが緩和された。ウクライナの制裁政策担当者は2025年、ロシア市民への完全なEU観光ビザ禁止はありそうにないが、ビザ取得はより困難になると述べていた。欧州委員会は1月、ロシアを含むEUの安全保障に対する脅威と見なされる国家に対する厳格化アプローチを含む新しいビザ政策提案の発表を予定している。