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メルツ独首相がキーウを非公式訪問、13億ユーロ超の支援パッケージと15件の合意を発表

ドイツのメルツ首相は10月4日、ライヒェ経済相と企業関係者らを伴い特別列車でキーウを非公式訪問した。ゼレンスキー大統領との共同記者会見で、13億ユーロを超える新たな包括的支援パッケージ(軍事約10億ユーロ、エネルギー約3.5億ユーロ)を発表。両国は安全保障、武器生産、エネルギー、ドローン対策を含む15件の合意に署名し、総額85億ユーロ超に上るとされた。メルツ氏はプーチン氏に攻撃停止と交渉開始を求め、「ロシアを止めなければ、その戦争機構はやがて我々に向かう」と述べた。

要点

  • メルツ独首相が10月4日日曜日、ライヒェ経済相と防衛・エネルギー分野の実業家約10名と共に特別列車でキーウ入り
  • 共同記者会見で13億ユーロ超の新たな支援パッケージを発表:軍事約10億ユーロ(迎撃ドローンや長射程兵器を含む)、エネルギー約3.5億ユーロ
  • ウクライナの国家科学アカデミー(9月28日のドローン攻撃で死者2名、負傷者7名)をゼレンシキー氏と視察
  • その場でメルツ氏はプーチン氏に攻撃停止と交渉意思の明示を求め、「蛮行は直ちにやめよ」と述べた
  • 訪問中に15件の合意・文書(安全保障、武器生産、調達、合同事業)に調印、ゼレンシキー氏は総額を85億ユーロ超と説明
  • ドローン対策での連携強化に関する別合意も署名(独はウクライナの対ドローン経験を活用)
  • メルツ氏は英仏と共に来冬にベルリンで「有志連合」会合を開催すると発表、ウクライナのEU加盟加速にも意欲

なぜ重要か

メルツ氏のキーウ訪問は、ロシアの脅しにもかかわらず実施された高レベルの政治的連帯の象徴であり、軍事・エネルギー・産業協力を含む包括的な支援パッケージを伴った。13億ユーロ超の新たな資金に加え、85億ユーロ超の合意群はドイツのウクライナ支援が量的にも質的にも新たな段階に入ったことを示す。メルツ氏がプーチン氏に直接攻撃停止を求めたこと、そして「ロシアを止めなければ欧州に向かう」という認識を示したことは、ウクライナ戦争を欧州全体の安全保障問題として位置づける政治的シグナルとして重要である。さらに、ドイツがドローン対策や兵器の共同生産でウクライナの戦場知見を活用する姿勢は、これまでの支援のあり方を一歩進めるものだ。

何が起きたか

10月4日日曜日、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相がライヒェ経済相、防衛・エネルギー分野の実業家約10名と共に特別列車でキーウに到着した。訪問は事前に発表されない非公式の形で行われた。到着直後、メルツ氏は「ロシアを止めなければ、その戦争機構はやがて我々に向かう」と語った。

訪問はゼレンシキー大統領との首脳会談、共同記者会見、ウクライナ・ドイツビジネスフォーラム、記念行事などで構成された。冒頭、両氏は独立広場の「国家記憶記念碑」で戦没者を追悼。その後、ロシアのドローン攻撃で損壊したウクライナ国家科学アカデミー(NAS)の建物(9月28日の攻撃で2名死亡、7名負傷、数百メートル先にはドイツ大使館がある)を視察。視察中、メルツ氏はプーチン氏に対し攻撃停止と交渉意思の明示を求め、「プーチン氏よ、この無意味な戦争を止めよ。我々は交渉の準備がある」と述べた。滞在中、キーウでは数回にわたり空襲警報が鳴り、当日朝にはロシア軍ドローンがドニプロ川に架かるピヴデンヌィ(北部)橋を攻撃した。

共同記者会見で両首脳は、13億ユーロ超の新たな包括的支援パッケージ(軍事約10億ユーロ、エネルギー約3.5億ユーロ)を発表。軍事部分にはジェット推進型「シャヘド」ドローン用迎撃機体の共同生産、長射程兵器、戦闘ドローン、衛星技術が含まれる。エネルギー部分は発電機、変電所、修繕用機器に使用される。

訪問中、ウクライナとドイツは安全保障、武器生産、調達、共同プロジェクトを網羅する15件の合意・文書に調印。ゼレンシキー氏はその総額を85億ユーロ超と述べた。この中には、ドローン対策での連携深化に関する別合意、ドローン・迎撃機・関連ソフトウエアの共同生産に関する「ドローン・ディール」準備、防衛産業各社の覚書(Diehl DefenceとはIRIS-Tミサイル等の数千発分、HENSOLDTとは監視レーダー、Quantum Systemsとはジェット型ドローン対策迎撃機)が含まれる。エネルギー分野では、シーメンス・エナジーとウクライナ・エネルギー省およびナフトガス、50Hertz TransmissionおよびAmprionとウクレネルゴの協力覚書も結ばれた。

メルツ氏はまた、英仏と共に来冬にベルリンで「有志連合」会合を開催し、ウクライナ支援を調整すると発表。ウクライナのEU加盟加速への意欲と、加盟国提案の「準加盟」構想も改めて表明した。訪問に先立ち、ロシア外務省は外交団を含む外国人の退避と「大規模報復攻撃」継続の可能性を警告していたが、ドイツ大使館は残留し、メルツ氏も「脅しでドイツは屈しない」と述べた。

ウクライナメディアの見方

ウクライナ側の報道は、メルツ氏がロシアの攻撃と脅迫の最中にもかかわらずキーウを訪問し、戦没者を追悼し、損壊したNAS建物を視察したことを大きく取り上げた。焦点は具体的な成果物、すなわち13億ユーロ超の支援パッケージ、85億ユーロ超に上る15件の合意、ドローン対策での連携強化、ウクライナの戦場知見をドイツが活用する枠組み、長射程兵器の共同開発に置かれた。産業協力の側面(「ドローン・ディール」、独国内でのウクライナ製ドローン生産、IRIS-T、HENSOLDT、Quantum Systemsとの覚書)が、ウクライナを単なる支援の受け手ではなく対等なパートナーとして描く論調と結びついている。エネルギー分野ではシュミハリ・エネルギー相の発言(エネルギー支援基金への5億5700万ユーロ以上、独のエネルギー関連拠出総額が8億ユーロ超、チョルノービリ・シェルター復旧への5000万ユーロ、ビジネスフォーラムでのエネルギー合意1億5500万ユーロ超)が詳細に報じられた。ゼレンシキー氏は合意総額が85億ユーロ超に達したと強調し、ベルリンでの「有志連合」会合を欧州安保強化の次の段階として位置づけた。

海外メディアの見方

独国内外の国際メディアは、メルツ氏訪問を欧州安全保障全体の文脈で報じた。到着時の「ロシアを止めなければ、その戦争機構はやがて我々に向かう」という発言は欧州の対ロ姿勢の論理を凝縮したものとして引用された。事前発表のない電旅という形式、ライヒェ経済相と主要防衛・エネルギー企業(Siemens Energy、Hensoldt、Diehl Defence、Quantum Systems)の同行、そしてロシア外務省による脅しが事前に重なったことは、威嚇に屈しない政治的シグナルとして強調された。援助額については事前に報じられた「軍事10億ユーロ+エネルギー3.5億ユーロ」と、当日の共同記者会見で発表された「13億ユーロ超(軍事・エネルギー込み)」という数字の差が併存している。ウクライナのEU加盟加速、関連加盟国提案の「準加盟」、反腐敗・法の支配改革の前提条件化も複数の論評で触れられた。ベルリンでの「有志連合」会合開催決定は、独英仏がウクライナ支援調整で主導権を保つ動きとして位置づけられた。

報道の食い違い

新たな支援パッケージの総額について、Reutersが事前に報じた軍事10億ユーロ・エネルギー3.5億ユーロという内訳と、当日の共同記者会見でゼレンシキー氏とメルツ氏が発表した軍事・エネルギーを合わせた13億ユーロ超という数字が併存している。エネルギー支援の規模については、シュミハリ・エネルギー相が「エネルギー支援基金に5億5700万ユーロ以上、独のエネルギー関連拠出総額は8億ユーロ超」と発言した一方、別の情報源は同基金への配分を2億5000万ユーロとしており、整合していない。

背景

2022年2月24日のロシアによる全面侵攻以降、ドイツはウクライナの二国間支援国として最大のひとつとなり、累計で430億ユーロ超の民生支援と約576億ユーロの軍事支援を提供・約束してきた。訪問前夜、ロシア外務省は外国人や外交団に対しウクライナ退去と「大規模報復攻撃」継続の可能性を警告したが、独大使館は残留し、メルツ氏も脅しには屈しないと述べた。キーウでは数日前から対ドローン防衛とエネルギー施設保護が緊急課題となっており、9月28日のドローン攻撃では国家科学アカデミー建物が損壊、10月4日朝には北部橋が攻撃を受けた。メルツ氏はこれを背景に、8月4日のライブツィヒ空港へのロシア製ドローン攻撃を引き合いに出し、対ドローン協力が独自身にとっても重要だと論じた。