米共和党上院議員がゼレンシキー大統領に提案──ロシアのエネルギー施設攻撃を100日間停止と引き換えにStarlinkのロシア国内展開を拡大
米共和党上院議員2人がゼレンシキー大統領に対し、ウクライナがロシアのエネルギー施設への攻撃を100日間停止する代わりに、米側がStarlink(Starshield)通信網をロシア国内約300kmまで拡大すると提案した。背景にはトランプ大統領が発表した「エネルギー停戦」、米側による武器売却や情報共有の停止示唆、ロシアによるウクライナ各地へのエネルギー施設攻撃、そしてStarshield端末の運用制限がある。ゼレンシキー氏は15日、ロシア石油精製施設への攻撃を再開すると表明した。
要点
- 米共和党上院議員がゼレンシキー大統領に、ロシアのエネルギー施設攻撃を100日間停止する代わりにStarlink(Starshield)通信網をロシア国内約300kmまで拡大すると提案。
- 提案者はロジャー・ウィッカー議員とケヴィン・クレーマー議員で、前週に議員2名とともにキーウを訪問していた。
- トランプ大統領は10月11日にウクライナとロシアの「エネルギー停戦」を発表。同日、英FTは米側がウクライナのロシア石油精製施設攻撃を理由に武器売却や情報共有の停止を示唆したと報じた。
- 10月12日にロシアがウクライナのエネルギー施設6か所を攻撃、14日夜にはキーウの3か所すべての熱電併給プラント(ТЕЦ)を攻撃。いずれの弾道攻撃についてもパートナーからの事前通報はなかった。
- 14日夜、SpaceXが予告なしにStarshield端末の運用を制限。マスク氏は米国防総省と大統領の決定と説明、Reutersはホワイトハウスからの命令と報道、ホワイトハウスは「技術的故障」と説明。
- ゼレンシキー氏は15日、ロシア石油精製施設への攻撃を再開すると表明。
なぜ重要か
この提案は、衛星通信という戦場能力と、ロシアのエネルギー施設攻撃停止という政治的譲歩とを直接結びつけた点で重要である。さらに、エネルギー停戦の一方的な崩壊、米側による武器・情報面での圧、ロシアによるエネルギー施設攻撃、そしてStarshieldの制限が連鎖したことで、ウクライナの継戦能力は米国政治の動向に一段と縛りつけられる形となった。
何が起きたか
米共和党上院議員のロジャー・ウィッカー氏とケヴィン・クレーマー氏は、ゼレンシキー大統領に対し、ロシアのエネルギー施設攻撃を100日間停止する代わりに、米側がStarshield通信網をロシア国内約300kmまで拡大すると提案した。提案の目的は、ロシアの都市攻撃に使われるミサイルやドローンの発射拠点を、ウクライナ軍が精密に攻撃できるようにすることとされる。WSJの取材に対し、ゼレンシキー氏はこの提案に同意し、ロシアのエネルギー施設攻撃を100日間停止する用意があると伝えた。背景には、10月11日にトランプ大統領が発表したウクライナとロシアの「エネルギー停戦」があり、同日には英FTが米側がウクライナのロシア石油精製施設攻撃を理由に武器売却や情報共有の停止を示唆したと報じた。ウクライナはこれに応じる形で15日まで石油精製施設への攻撃を控えたが、ロシアは10月12日にウクライナのエネルギー施設6か所を一日に攻撃し、14日夜にはキーウの3か所のТЕЦをすべて攻撃した。弾道攻撃はいずれもパートナーからの事前通報なしに実施された。さらに14日夜にはSpaceXが予告なしにStarshield端末の運用を制限。マスク氏は米国防総省と大統領の決定と説明し、Reutersはホワイトハウスからの命令と報じた一方、ホワイトハウスは「技術的故障」と説明。15日、ウクライナ国防省の情報源はStarshieldの移動中の運用は既に復旧したと伝えた。同日、ゼレンシキー氏はロシア石油精製施設への攻撃再開を表明した。
報道の食い違い
Starshieldの運用制限の性質について、各関係者の説明は分かれている。マスク氏はStarshieldは米国政府の管理下にあり、米軍と大統領が最終的に決定すると説明した。Reutersは制限命令がホワイトハウスから直接出されたと報じた。一方、ホワイトハウスはこの事象を「技術的故障」と説明した。