ゼレンシキー大統領、占領地でのロシア下院選に関わった44人に制裁
ウクライナのゼレンシキー大統領は9月26日、国家安全保障国防会議の決定を施行する大統領令に署名し、一時占領下にあるウクライナ領土で実施されたロシア下院選の組織・実施に関わった44人に対する制裁を導入した。被制裁者のうち38人はウクライナとロシアの二重国籍を持つ。ウクライナの制裁はEUや英国など国際パートナーとの同期が予定されている。
要点
- ゼレンシキー大統領が9月26日に大統領令に署名、国家安全保障国防会議の決定を施行
- 制裁対象は44人で、うち38人がウクライナとロシアの二重国籍
- 対象にはロシアのプロパガンディスト、イリーナ・ククセンコワ元ウクライナ議員ユーリィ・オヌシチュクが含まれる
- 占領下のドネツク、ルハーンシク、ヘルソン、ザポリッジャ各州およびクリミア、セヴァストポリで「選挙」が実施された
- ロシアの下院選は9月18〜20日に実施され、4 oblasts of Ukraineへ違法に11の単一議席選挙区が形成された
- ウクライナの制裁は、EU、英国、スイス、ノルウェー、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドのパートナーとの同期が予定されている
- 占領下での「選挙」には大規模な捏造、強制投票、事前作成された投票率データが伴ったとウクライナ側は主張
- EU、英国、スイス、ノルウェー、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドが占領地での「選挙」を非難
なぜ重要か
これは、ロシアによる占領地への議会投票拡大に対するウクライナ側の具体的な法的対応である。制裁は、ロシアの利益のために活動し占領の維持に寄与する人物、すなわちプロパガンディストや元ウクライナ議員などを対象としており、ウクライナの占領地における主権不存在という立場を改めて示す。さらに、制裁対象者情報の国際パートナーへの提供を通じ、EU、英国、スイス、ノルウェー、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドとの制裁同期の取り組みの一環を成す。
何が起きたか
9月26日、ゼレンシキー大統領は国家安全保障国防会議の決定を施行する大統領令に署名し、一時占領下にあるウクライナ領土で実施されたロシア下院選の違法な「選挙」の組織および実施に関わった44人に対する制裁を課した。制裁対象には、ドンバス戦争のプロパガンディストでロシア国営ペルヴィー・カナル(第一チャンネル)の軍事特派員、生まれはドネツクのイリーナ・ククセンコワ氏や、メリトポリ占領後にロシア側との協力を開始した元メリトポリ市会議員・副市長のユーリィ・オヌシチュク元議員(「野党ブロック」所属)が含まれる。被制裁者38人はウクライナとロシアの二重国籍を保有し、一部は占領下で違法に設立された占領当局の地方評議会の「議員」として選出された経歴を持つ。制裁対象者らはドネツク、ルハーンシク、ヘルソン、ザポリッジャ各州、クリミア自治共和国およびセヴァストポリ市の占領への寄与と、ロシアの利益のための活動に関与したとされている。ウクライナのウラジスラフ・ヴラシュク大統領顧問(制裁政策担当)は、占領には主権が伴わず、ハーグ規則とジュネーヴ条約が占領国の行為を拘束すると指摘し、2014年のクリミアに関する国連総会決議および2022年の143カ国による併合企図の非難決議に言及した。ウクライナ外務省は「選挙」を「占領国家の茶番」と呼び、占領下での実施も結果も承認しないと表明。
ウクライナメディアの見方
ウクライナの情報源は一様に、ロシアによる占領地での「選挙」を「選挙」と引用符付きで表現し、違法と位置付けている。報道の中心はゼレンシキー大統領令、国家安全保障国防会議によるリスト作成、44人中38人の二重国籍保持、制裁対象に含まれる具体的な人物の氏名である。ウクライナの法的立場、すなわち占領は主権を生まず、ハーグ規則およびジュネーヴ条約の違反であり、国連総会決議がウクライナの領土一体性を支持している点が強調されている。EU、英国、スイス、ノルウェー、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドによる非難や、制裁同期のためのパートナーとの情報共有意向も報じられている。
背景
9月18〜20日に実施されたロシア下院選は、ウクライナへの全面侵攻後初のロシア議会選挙であった。ドネツク、ルハーンシク、ザポリッジャ、ヘルソン各州、クリミア、セヴァストポリの各占領地では11の単一議席選挙区が違法に形成され、占領地での「早期」投票は8月29日に開始された。9月21日、ロシア中央選挙管理委員会は与党「統一口シア」が得票率57%超で過半数を獲得したと発表。9月25日、最終結果として統一口シアに450議席中349議席が割り当てられた(ロシア下院史上最多)。占領地からの当選者には、「DPR」元指導者で政治技術者のオレクサンドル・ボロダイ氏と親戦派ジャーナリストのイリーナ・ククセンコワ氏が含まれる。国連総会はクリミアに関する2014年決議および、143カ国がドネツク、ルハーンシク、ザポリッジャ、ヘルソン各州の違法な併合企図を非難し無効と認めた2022年決議を採択している。