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米国特使がモスクワとキーウを訪問:ルビオ長官、数週間以内にウクライナ・ロシア和平のロードマップ提示の可能性を示唆

米国のウィトコフ特使とクシュナー特使が9月5日にモスクワでプーチン大統領と会談し、6日にはキーウでゼレンスキー大統領と会談した。8日にはトランプ大統領とプーチン氏の電話会談が行われ、米国は今後数週間以内にウクライナ・ロシア間の交渉を再開するための行動計画(ロードマップ)を策定できる可能性があるとルビオ国務長官は述べた。一方、プーチン大統領の報道官ペスコフ氏は、具体的な計画はまだ存在しないとしつつ、三者会談を再開するための「一般的な政治的意志」は確認されたと表明した。

要点

  • 米国のウィトコフ氏とクシュナー氏は9月5日にモスクワでプーチン氏と会談、6日にはキーウでゼレンスキー氏と会談した(双都訪問は初めて)
  • トランプ氏とプーチン氏は9月8日に約1時間とされる電話会談を行い、双方とも「前向きに評価した」とした
  • ルビオ国務長官は今後数週間以内にウクライナ・ロシア交渉を再開するロードマップ(行動計画)を策定できる可能性があると述べた
  • ペスコフ大統領報道官は具体的な計画や「ロードマップ」は現時点で存在しないとする一方、三者協議再開への「一般的な政治的意志」は確認されたと述べた
  • ゼレンスキー氏は米特使から「ロシア側は交渉準備ができている」とのメッセージを受けたと発言し、9月後半にトランプ氏と直接会談することで予備合意に達している
  • Bloombergは欧州当局者の情報として、プーチン氏が停戦合意の条件としてドネツク州全土の支配権を求めていること、欧州は戦争が来年も継続することを事実上織り込み済みだと報じた

なぜ重要か

今回の訪問は、米国の特使がモスクワとキーウを同一日程で訪れた初のケースであり、ウクライナ戦争終結に向けた米国主導の外交努力が再起動したことを示している。ルビオ国務長官によるロードマップ提案の余地は、行き詰まっていた和平交渉に新たな枠組みが生まれる可能性を示唆する。だがトランプ氏とプーチン氏の間で「取引の意思」が確認されたとする認識と、Bloombergが報じた欧州側の評価(戦闘は続くだろう、プーチン氏の要求は変わっていない)との間には明確な隔たりがある。同時に、欧州(E3=フランス・ドイツ・英国)の代表がキーウでの協議に出席したことで、交渉の枠組みは従来の二国間から拡大された。ただしロードマップが存在するとのルビオ氏の発言と、具体的計画はないとするペスコフ氏の発言が直接矛盾しており、交渉の前提自体について米国側とロシア側の認識が一致していないのが実情である。

何が起きたか

9月5日、米国のスティーブ・ウィトコフ特使とジャレッド・クシュナー特使がモスクワを訪れ、プーチン大統領と会談した。翌6日、両氏はキーウへ移動し、ゼレンスキー大統領と3回の協議を行った。キーウでは、フランス・ドイツ・英国(E3)の国家安全保障補佐官も同席した。

ゼレンスキー氏は協議後、ウクライナが戦争終結に向けた三者協議の枠組みに戻る用意があると述べた。また、米側から「ロシア側は交渉準備ができている」とのメッセージを受け取ったと発言した。両氏は協議の一環としてキーウの聖ソフィア大聖堂を短時間見学したが、ロシア側はこれに反対していたとされる。

9月8日、両特使の報告を受けたトランプ大統領はプーチン氏と電話会談を行った。クレムリンのユリ・ウシャコフ顧問によると、会話はほぼ1時間続き、プーチン氏は米国の仲介努力を「前向きに評価した」。同日夜、トランプ氏は記者団に対し、プーチン氏と「素晴らしい」会話を行ったとし、プーチン氏は取引を望んでいると述べた(ただし双方が「互いに嫌っている」とも発言)。ホワイトハウスは独自の読み取りを公表していない。

コロンビア訪問中の記者団との会見でルビオ国務長官は、今後数週間以内にウクライナとロシア間の交渉を再開するためのロードマップ(行動計画)を策定できる可能性があるとの認識を示した。ただ双方は依然として明確な「レッドライン」を維持しており、妥協に向けた実質的な進展は見られていないとも指摘した。

9日、ペスコフ大統領報道官は現時点で戦争終結のための計画や「ロードマップ」は存在しないと明言しつつ、三者協議再開への「一般的な政治的意志」は電話会談で確認されたと述べ、近いうちの再開に期待を示した。この日ゼレンスキー氏も、次の三者会談の場所としてUAE・スイス・トルコを挙げ、9月後半のトランプ氏との直接会談について予備合意に達していることを明らかにした。

ウクライナメディアの見方

ウクライナ側のメディアは、ウィトコフ氏とクシュナー氏がキーウを訪問したのは初めてだった点を強調してきた(ウィトコフ氏はモスクワ訪問を繰り返していたのと比較)。また、ロシア側が聖ソフィア大聖堂訪問に反対した事実は、モスクワ側の神経質な反応の証拠として報じられた。

ゼレンスキー氏の言葉は、ウクライナが三者協議の枠組みに戻る用意があるという点で前向きに報じられた。次の三者会談の開催地としてゼレンスキー氏が挙げたUAE・スイス・トルコ、ならびにウクライナ・米国協議の開催地候補としての国連総会(ニューヨーク)は、交渉テーブルの選択肢を可視化したとして好意的に報じられた。さらに、ウクライナのセルヒイ・コルスンスキー駐米大使が「ロシアの立場はウクライナが消滅すべきだということを意味する」と述べたことは、ロシア側の強硬姿勢への警鐘として報じられた。

同時に、ウクライナの一部メディアはBloombergが報じた欧州当局者の評価、つまり「戦争は来年まで続く」「プーチン氏はドネツク州全土の支配権を求めている」「冬に向けてエネルギーインフラへの攻撃が激化する」という見通しを大きく伝えている。

海外メディアの見方

主要なフランス語報道(ル・モンド)は、クレムリン側が「ロードマップなど存在しない」と否定したことを前面に出し、米側の optimism とロシア側の messaging の食い違いを強調した。

Bloombergが報じた欧州当局者の評価は、ウィトコフ・クシュナー両氏によるモスクワ・キーウ訪問が実質的な進展を生まなかったとし、プーチン氏がドネツク州全土支配という強硬な要求を維持していること、冬に向けてエネルギー・熱供給インフラへの攻撃を激化させる計画を進めていること、ハイブリッド作戦や欧州諸国内部への政治的干渉も強化するとの見通しを示した。これによれば、欧州と米国の当局者は戦争が少なくとも来年までは続くことを事実上織り込み済みだという。

トランプ氏とプーチン氏の9月8日の電話会談をめぐっては、クレムリン側の「前向きに評価」という発表と、ホワイトハウス側の公式な読み取りの欠如が併置された。これにより実際に何が話し合われたのかについて疑問が提起された。ISW(戦争研究所)は、プーチン氏が電話で戦場の歪んだ状況認識をトランプ氏に押し付けた可能性が高いと分析しており、米欧の情報機関関係者の間にもプーチン氏が和平を本気で望んでいるのかという疑念が存在すると報じられている。

報道の食い違い

プーチン氏が本気で交渉の用意があるかどうかについては、立場が分かれている。トランプ氏は9月8日の電話会談後に「プーチン氏は取引を望んでいる」と述べた。ゼレンスキー氏は米特使から「ロシア側は交渉準備ができている」とのメッセージを受け取ったと発言し、ペスコフ氏も三者協議再開への「一般的な政治的意志」が確認されたと確認した。一方、Bloombergが報じた欧州当局者の評価では、プーチン氏は停戦合意の条件としてドネツク州全土支配という要求を変えておらず、立場を軟化させる兆候は見られないとされ、米欧情報機関にもプーチン氏の和平への本気度に疑念がある。

協議が進展したかどうかについても見解が分かれる。ルビオ氏は交渉を「実質的(substantive)」と表現しウィトコフ氏は「重大な進展」を達成したと述べた。ゼレンスキー氏は「いくつもの良い提案」を受けたとした。これに対し、Bloombergの欧州当局者筋や大統領府筋は実質的な進展はなく、突破口の期待もしていなかったと伝えた。

ロードマップや行動計画の存在についても見解が対立している。ルビオ氏は今後数週間以内にロードマップを策定できる可能性があると述べたが、ペスコフ氏は現時点で計画や「ロードマップ」は存在しないと明確にした。ただし、その場合でも三者協議を再開する政治的意志はあるとした。

交渉の再開見通しでも食い違う。ルビア氏とゼレンスキー氏は数週間単位での進捗に言及したが、Bloombergの欧州当局者筋は本格的な交渉の再開は早くても来年になり、ロシア国家議会(下院)選挙後に三者協議が再開できたとしても、合意締結に大きく近づくとは想定していないと伝えた。

また、Financial Times報道にKyiv Independentが伝えた内容として、CIAのジョン・ラトクリフ長官が米露ウ交渉でより大きな役割を果たそうとしているとされたが、トランプ政権はこれを否定している。

背景

ウィトコフ氏とクシュナー氏のキーウ訪問は、ウクライナ戦争が始まって以来、両氏がウクライナを訪れた初めての機会であった。ウィトコフ氏はこれに先立ちモスクワでプーチン氏と複数回会談していた。米国は、ロシアが和平交渉に応じないまま戦争が続いている状況を受け、対露仲介努力を活発化させていた。CIAのジョン・ラトクリフ長官は8月にモスクワでロシア情報機関の関係者と会談し、侵攻終結を求めて働きかけたと報じられた。トランプ氏は以前、プーチン氏との二国間会談を行う前提として和平合意が存在することを条件として提示していた。9月8日の電話会談は、ウィトコフ氏とクシュナー氏のモスクワ・キーウ訪問の直後に行われた。クレムリン側のウシャコフ氏は電話会談はほぼ1時間続き、プーチン氏が「前向きに評価した」と述べたが、ホワイトハウス側は独自の公式な読み取りを公表していない。プーチン氏とトランプ氏の通話では、ペスコフ氏によるとロシア・ウクライナ間の捕虜交換および米露間の捕虜交換も議題に含まれた。会談にはフランス・ドイツ・英国の国家安全保障補佐官(E3)も同席したが、フィンランドの欧州議員ペッカ・トヴェリ氏によれば、このE3の同席は欧州側からの米国への圧力が実った結果であり、米国側の自発的な動きではなかったとされる。