ドイツのワーデフール外相、ウクライナにドイツ製兵器の追加購入と兵役適齢男性の帰国を呼びかけ
ドイツのヨハン・ワーデフール外相は8日付のBild紙インタビューで、ウクライナに対しドイツ防衛メーカーからの兵器購入を増やすよう求めるとともに、滞在中のウクライナ人兵役適齢男性は帰国すべきだと述べた。ベルリンは社会保障受給や登録、在留許可に関するデータを提供し、ウクライナ政府が該当者に接触できるよう協力する用意があると表明。「強制なし」と強調した。発言は独露関係の緊張や7月のEUによる一時保護延長・兵役未履行者への制限と時期を同じくしている。
要点
- ワーデフール独外相はBild紙(8日)インタビューで、ウクライナがドイツ製兵器の購入を増やすべきだと述べた
- 同外相はドイツが対ウクライナ最大級の出捐国であるにもかかわらず、十分な発注を受けていないと不満を表明
- 兵役適齢のウクライナ人男性はドイツから帰国すべきだと主張し、ベルリンが該当者特定に必要なデータ提供に協力する用意があると明言
- 該当データの共有は社会保障・登録・在留許可に関する情報に基づくもので、「強制なし」と強調
- ゼレンスキー大統領とは前月のキーウ訪問でドイツの継続支援を伝達し、防衛産業の受注問題も提起した
- 7月のEU理事会がウクライナ人の一時保護を2028年3月4日まで延長する一方、兵役未履行の適齢者に対する制限を同時導入
なぜ重要か
ワーデフール外相の発言は、ドイツの対ウクライナ軍事支援を従来より取引的な性格へと転換させるものだ。最大級の出捐国であることを根拠に自国防衛産業の受注拡大を求めるとともに、滞在中の兵役適齢男性の帰国問題を持ち出し、データ共有まで提案した。EUが7月に一時保護を2028年まで延長しつつ兵役未履行者への制限を同時に導入した流れと重なり、欧州全体の対ウクライナ支援が「庇護」と「兵役履行」を連動させる方向へ動きつつあることを示す。発言の直前にはライプツィヒ/ハレ空港でのドローン攻撃未遂に対する対露非難もあり、独露関係の緊張がこのタイミングを選んだ背景にある。
何が起きたか
9月8日、ドイツのヨハン・ワーデフール外相はBild紙とのインタビューで、ウクライナに対しドイツ防衛メーカーからの兵器購入を増やすよう求めた。理由としてドイツが対ウクライナで最大級の資金・軍事支援国であることを挙げ、現状の発注量には満足していないと述べた。ワーデフール氏は前月にキーウを訪問した際、ゼレンスキー大統領にこの問題を持ち出し、ドイツが引き続きウクライナの対ロ防衛を支援すると伝えたと明らかにした。同時に、ドイツに滞在する兵役適齢のウクライナ人男性は帰国すべきだと主張。ベルリンは社会保障の受給状況、登録情報、在留許可など関連データを保有しており、ウクライナ政府が該当者に通知を送り帰国を促す形に協力できるとした。ただし「強制なし」と繰り返し強調し、CSU党首マルクス・ゼーダー氏の同様の要求に同意する姿勢も示した。発言の数日前、ドイツは8月にライプツィヒ/ハレ空港で起きたドローン攻撃未遂事件へのロシアの関与を非難。これを受けてボンにあるロシア総領事館とベルリンのロシア文化センターの閉鎖を命じており、ラブロフ露外相はTASSを通じ「事実上、現実の戦争の始まり」と反発していた。
報道の食い違い
EUによる一時保護延長の決定時期について、加盟国が7月15日に2028年3月4日までの延長に合意し、7月30日にEU理事会が書面手続きで承認・兵役条件変更を認めたとする見方と、8月4日2026年に1年間延長が決まったとする報道が並存する。また兵役未履行者への制限が新規申請者のみに適用されるか、既にEUで一時保護を持つ人にも及ぶかについても、論点として指摘されている。
背景
7月のEU理事会はウクライナ人への一時保護を2028年3月4日まで延長すると同時に、兵役義務を履行しない適齢者に対する制限を導入。8月5日からは23〜60歳の男性申請者について、兵役義務履行を証明できない場合に一時保護を取得できない新ルールが発効した。ハンガリーは採決に反対し、マジャール首相は兵役を逃れて出国した男性にも自国で保護を与える権利を留保すると表明。マグヌス・ブリュンナー内務・移住担当欧州委員は、適齢男性を一時保護から除外する要請はウクライナ側から出されたものだと説明している。独露関係では、8月のライプツィヒ/ハレ空港ドローン攻撃未遂を受けドイツがロシアの関与を非難。これに対しドイツはボン総領事館とベルリン文化センターの閉鎖を決定し、ラブロフ外相が「現実の戦争の始まり」と反発した。両国の対立が続く中、ウクライナはドイツとの間でドローン・ミサイル・関連ソフトの共同開発・生産を含む新たな大型防衛産業協定の締結を進めている。