ゼレンスキー氏とルビオ米国務長官が電話会談、迎撃ミサイルと早期警戒を協議
ウクライナのゼレンスキー大統領は10月20日、米国のマルコ・ルビオ国務長官と45分間の電話会談を行った。会談では弾道ミサイルを迎撃するためのミサイル、ロシアの弾道攻撃への早期警戒、Starlink・Starshield衛星通信サービスの問題という3つの議題が扱われた。会談後にゼレンスキー氏は「実りある」「建設的」な対話だったと述べ、ルビオ氏との意思疎通は今後も続けることで一致した。
要点
- ゼレンスキー氏とルビオ氏は10月20日に45分間の電話会談を行った
- 主要な議題は弾道ミサイル用迎撃ミサイル、ロシアの弾道攻撃への早期警戒、Starlink/Starshieldの状況の3点
- 会談を受け、ゼレンスキー氏は「実質的かつ建設的」と評価し、ルビオ氏に謝意を表明
- 両氏は近く再度連絡を取り合うことで合意
- ルビオ氏は同日インドで記者団に対し、ウクライナへの兵器供与方針に変更はないと述べた
なぜ重要か
会談は、ウクライナの防空に直結する3つの懸案 — 迎撃ミサイルの供給、ロシアの弾道攻撃への早期警戒、Starlink/Starshield衛星通信 — におけるゼレンスキー氏とルビオ氏の直接協議としては、この問題が公に表面化してから最も実質的なものとなった。双方は今後も連絡を続けることで一致しており、ウクライナの防空を巡る摩擦を完全には解消しないものの、対話路線を維持する意志を示している。
何が起きたか
ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は10月20日、米国のマルコ・ルビオ国務長官と45分間電話で会談した。会談では主に3つの議題が扱われ、(1) ウクライナの防空に必要な弾道ミサイル迎撃体の確保、(2) ロシアの弾道攻撃への早期警戒態勢、(3) StarlinkとStarshieldの通信サービスの現状で、ゼレンスキー氏はStarshieldの復旧が必要だと伝えた。会談後、ゼレンスキー氏は自身のTelegramで会談が「実質的」(предметно)で「建設的」だったと述べ、ルビオ氏の支援の意志と明確な姿勢を評価して謝意を表明した。両氏は近く再び連絡を取り合い、進捗を報告することで合意した。
一方、ルビオ氏は同日インド訪問中に記者団と話し、米国によるウクライナ向け防衛支援やPURLを通じた兵器供与に変更はないと述べた。米情報機関によるウクライナとの情報共有も従来通り続いており、10月13日と18日のロシアの弾道攻撃で早期警戒が届かなかった件は調査中の技術的問題であり、政治的意図に基づくものではないと主張した。ルビオ氏は、迎撃ミサイルの納品遅れは世界的な需要や米国自身の必要とのバランスによるもので、サウジアラビアやイスラエルなど他の米パートナーからの需要もあると説明。ウクライナが情報隠蔽により犠牲になっているとの主張は「恥ずべき」「 outrageous」「事実ではない」と述べた。
報道の食い違い
10月13日と18日のロシアの弾道攻撃でウクライナが事前警戒を受けられなかった経緯について、ルビオ氏は技術的問題あるいはウクライナ側の情報処理上の課題だったとしている。一方、ゼレンスキー氏の軍事技術顧問セルヒイ「フラッシュ」ベスクレストノフ氏はBBCに対し、情報受け取りが遅く事前通知が攻撃の1分前だったこともあると述べ、人的犠牲が出ていると指摘。ルビオ氏は、ウクライナが情報隠匿で犠牲になっているとの主張を「 outrageous」かつ「恥ずべき」と退けている。
Starlink/Starshield通信の制限に関しても見解が分かれている。ホワイトハウスとトランプ氏、マスク氏は制限命令を否定しているが、ロイターやテレグラフ紙はトランプ政権からの命令だったと報じ、マスク氏本人が提案したとされる。ルビオ氏はStarshieldは事実上ウクライナでは利用できないと述べたが、ウクライナ側は部分的にも機能していると主張しており、整合していない。
さらにPatriot迎撃ミサイルの納入遅れを巡っては、ゼレンシキー氏はヘグセス国防長官がPURL下で欧州が購入済みの兵器を含む移送を意図的に遅らせているとの見方を示す。ルビオ氏は遅れは政治的判断ではなく世界的な需要の競合と説明。ワシントン・ポスト紙はヘグセス氏が承認も拒否もしていないと報じており、ルビオ氏の説明との整合が議論されている。
背景
ロシアは10月13日・18日を含む10月に弾道ミサイル攻撃を強化しており、ウクライナの都市が繰り返し標的となった。早期警戒の遅延・欠如は、ウクライナ側と米国側の間で情報共有とStarshield網の制限を巡る公的な応酬を生んだ。PURL計画は欧州が米国製兵器をウクライナ向けに購入できる枠組みだが、ゼレンシキー氏は一部しか納入されていないと主張する。Patriotミサイルの備蓄は世界的に逼迫しており、米国からウクライナへの供給量は政権下で減少していると報じられる。SpaceXは10月14日の夜にStarshieldを移動プラットフォーム上で運用中の速度上限160km/hと制限し、ウクライナ軍の通信を混乱させた。米議会では調査が始まり、ホワイトハウスは関与を否定している。ゼレンシキー氏はルビオ氏との会談と同じ時期に、米国特使スティーブ・ウィトコフ氏とジャレッド・クシュナー氏とオスロで欧州指導者らと会談する予定だった。