ゼレンシキー氏とフォン・デア・ライエン氏、ニューヨークで会談─緊張報道を否定し€37億支援と対弾道プログラムを発表
ゼレンシキー大統領と欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長が、国連総会中にニューヨークで会談し、財政・防衛支援を協議した。Bloombergが「緊張した」と報じたのに対し、ゼレンシキー氏は「非常にポジティブだった」と否定。フォン・デア・ライエン氏は今年度中に残る370億ユーロの支援枠と新たな対弾道ミサイル・プログラムを発表した。
要点
- ゼレンシキー氏とフォン・デア・ライエン氏は国連総会中のニューヨークで会談した
- Bloombergは「緊張した」と報じたが、ゼレンシキー氏は「非常にポジティブだった」と否定
- EUは今年度中に370億ユーロのウクライナ支援枠を残していると表明
- 新たなEU・ウクライナ対弾道プログラムが発表された
- EUは追加資金提供の条件として、影の経済対策・税収増・EU法整合の立法進展を提示
- ゼレンシキー氏は議会が戦時下で通常運営できないとして期限の柔軟化を求めるともに、第2トランシェの前倒し協議のため財務チームを派遣すると表明
- ウクライナは冬のロシア攻撃激化と防空ミサイル不足への懸念を伝達し、予算赤字は約300億ドルと伝えられる
なぜ重要か
この会談は、ウクライナが戦争開始以来最大の予算危機に直面する中で、欧州委員会が利用可能な370億ユーロの今年度支援枠を正式に確認し、対弾道プログラムの新たな追加支援を発表した点で重要である。同時に、EUが追加資金を影の経済対策・税収増・EU法整合の立法進展と結び付けていることが示され、ゼレンシキー氏は戦時下の議会運営を理由に柔軟化を求めた。さらに、ウクライナ側は個人制裁延長合意の一環としてオリガルヒ2名(ウスマノフ、フリードマン)への制裁解除に「怒り」を示し、欧州側との摩擦が浮き彫りになった。Blooombergの「緊張した」との報道と大統領自身の「非常にポジティブだった」との評価の相違は、ウクライナ支援をめぐる政治力学をどう読むかを左右する。
何が起きたか
ゼレンシキー大統領と欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、国連総会会期中のニューヨーク国連本部で会談し、ウクライナのさらなる財政・防衛支援を協議した。会談に先立ち両氏は電話で事前調整を行った。会談後、フォン・デア・ライーン氏はX(旧Twitter)に会談写真と声明を投稿し、「欧州はかつてないほどウクライナの防衛強化に取り組んでおり、今年度中にまだ370億ユーロが利用可能だ」と述べた。さらに、欧州は共同生産を急速に拡大するための新たなEU・ウクライナ対弾道プログラムを発表した。追加予算支援については、ウクライナの最高会議(ヴェルホフナ・ラーダ)が必要な法案を採択すれば得られると説明された。一方、ゼレンシキー氏は、戦争と空襲警報のため同議会が平時モードで機能できないとして、EU側に期限の柔軟化を要請。加えて、ウクライナは財務チームを欧州側へ派遣し、ドローンを含む第2トランシェの資金前倒しについて協議することで合意した。財務の焦点は、関係者によれば約300億ドルとされる予算ギャップ、ウクライナの要望額に対するEU側の異論、追加資金をカナダ、ノルウェー、日本など他のパートナーに求める欧州側の提案であった。 会談ではさらに、ロシア人オリガルヒ2名(アリーシェル・ウスマノフ氏とミハイル・フリードマン氏)に対するEUの制裁解除へのウクライナの「怒り」が伝達され、ゼレンシキー氏は制裁リストへのロシア人氏名の追加を求める方針に謝意を示した。冬のロシア攻撃激化と防空ミサイル在庫の逼迫への懸念も表明された。
ウクライナメディアの見方
ウクライナ側の発信は、会談の実質的成果を強調するものであった。ゼレンシキー氏は「非常にポジティブだった」と語り、370億ユーロの今年度残枠と対弾道プログラムという具体的な成果を提示した。同時に、インタビューやブリーフィングでは、戦争による予算圧迫と人手による立法の困難、最高会議の平時運営が不可能な現状を率直に説明し、制裁解除への抗議や防空・F-16支援の必要性、冬に向けた備えなど、ウクライナ側の懸念を前面に出した側面も強く報じられた。
報道の食い違い
Bloombergは関係者の話として、両首脳の会談を「緊張した」と伝えた。これに対し、ゼレンシキー氏本人は「非常にポジティブだった」「どこからそのような話が出たのか分からない」と明確に否定。すなわち、会談の「性質」に関する直接的な見解の対立が記録されている。
背景
会談は国連総会のサイドイベントとして行われた。同年9月18日、ゼレンシキー氏は予算赤字を「宇宙的」と表現し、その克服手段を探る考えを示していた。9月22日にはウクライナの欧州・ユーロアトランティック統合担当副首相フセヴォロド・チェンツォフ氏が、EU加盟交渉プロセスにおけるウクライナの義務履行状況をEU理事会拡大作業部会に報告している。IMFのクリスタリナ・ゲオルギエワ管理总裁もゼレンシキー氏と会談し、財政支援を受けるために改革継続を促した。フォン・デア・ライエン氏は以前、EUの「安全のための欧州行動(SAFE)」防衛プログラムの未使用資金をウクライナ支援に振り向けると述べていた。