キーウで給水障害、エネルギー網被害と老朽化で2027年春まで安定供給困難か
ロシアのエネルギーインフラへの攻撃と老朽化した設備を背景に、キーウの各地で給水障害が断続的に発生している。市は浄水場・ポンプ場向けに50MW超の専用ディーゼル発電所を整備中だが、稼働済みは16MW(3基)にとどまる。完了は早くても2027年春との見方もあり、住民の不満とクリチコ市長への批判が強まっている。
要点
- 9月末〜10月初旬以降、キーウで地区ごとに給水障害・圧力低下が発生
- 8月5日に国家安全保障国防会議がキーウのレジリエンス計画を承認、11日には冬の備えが3分の1未満と住民に警告
- キーウ水道公社(Kyivvodokanal)は50MW超の専用ディーゼル発電設備を必要とし、稼働済みは3基・合計16MW
- プロジェクト費用は約20億フリヴニャ規模、年末までに残基の完成を予定
- 8月5日に計画承認、8月11日に3分の1未満の警告、9月14日に1.5GW分の新規発電所が中断と判明
- クリチコ市長に対し中央政府やゼレンシキー大統領から冬の備え不足への批判
- キーウ市民の一部は西部への移住、非常用電源購入などに動いている
なぜ重要か
キーウの給水は電力供給に依存しており、ロシアのエネルギー網攻撃によってこの命網が脅かされている。主要施設に必要な50MW超の予備電源に対し稼働済みは16MWにとどまり、早期の安定供給実現は2027年春以降となる見通しだ。準備の遅れには中央政府やゼレンシキー大統領によるクリチコ市長への批判が伴い、巨額の投資(約20億フリヴニャ)と複数月に及ぶ市民生活への不安という二重の負荷となっている。
何が起きたか
9月末から10月初旬にかけてキーウ各地で給水障害が発生し始めた。キーウ水道公社(Kyivvodokanal)は、ロシアのエネルギー網攻撃を受けた電力供給の寸断が原因と説明した。8月5日には国家安全保障国防会議でキーウのレジリエンス計画が承認され、11日に冬の備えが3分の1未満であると住民に警告が出されたが、8月下旬には市当局が約50%の準備状況と認めた。10月8日のエネルギーインフラへの攻撃では非常停電が発生し、ホロシーイウ、シラトシン、ソロメンカ、シェフチェンコ各区で水圧の低下が生じた。水道公社の主要ポンプ・浄水・取水施設には50MW超の専用ディーゼル発電所が必要で、すでに3基・16MWが稼働済み。費用は約20億フリヴニャと見積もられ、残基は年内完成が目指されている。完成は早くても2027年春になるとの見方もある。
報道の食い違い
キーウの冬の備えに関する現状認識に隔たりがある。8月11日の時点で首都は冬の備えが3分の1未満だと住民に警告したとする報道がある一方、8月下旬には市当局が約50%の準備状況と認めたとする報道もある。また、給水の安定供給時期について、残りのディーゼル発電所群を年内に完成させるという計画を示す報道と、早くても2027年春になるという見方を示す報道が並び、住民への短期的な安心感の度合いが異なって伝わっている。
背景
キーウ水道公社の電気系統は1970年代製の設備が多く、電圧変動で焼損する脆弱性を抱えている。主要ポンプ所は市内の1街区分に匹敵する電力を消費し、通常の generator では稼働できないため、複数台のディーゼルエンジン・発電機・燃料供給・同期装置を備えた専用ディーゼル発電所が求められる。9月14日には新規の発電所建設計画(合計1.5GW)が中断されていると報じられた。ミコライフ、ハルキウ、ブチャなど他の都市では、パートナー国から提供された予備設備の配備が比較的進んでいるとされる。一部のキーウ市民は西部への移住や自家発電機の購入、宗教的な対応で状況に対処している。