ゼレンスキー大統領、キーウ市当局のレジリエンス計画遂行を「ほぼ完全に失敗」と非難
2026年10月9日、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は電話会議(セレクター会合)を開き、キーウ市の当局が国家レジリエンス計画で求められた措置を「ほぼ完全に」実施できていないと公に批判した。遅延は「絶対に容認できない」とし、インフラ省と各州政府に個人的責任があると指摘。キーウ市には別個の課題が設定された。会合ではまた、ロシアの攻撃で電力網と送電施設が広範囲に損傷を受けていること、修復作業は24時間体制で行われていること、エネルギー機材と防空パッケージの必要量が更新され外務省と大統領府がパートナー各国との協議と首脳との電話調整に入ることも報告された。
要点
- 10月9日、ゼレンスキー大統領は軍と政府の関係者とのセレクター会合を開催した
- 大統領はキーウ市当局がレジリエンス計画の必要措置を「ほぼ完全に」遂行しなかったと批判した
- インフラ省と各州(オーブラト)行政府は計画の実行に個人的責任を負うとした
- キーウ市に対しては、市の当局によるほぼ未実施状態を受けて別個の課題が設定された
- ロシアの攻撃により電力網と送電施設が広範囲に損傷し、修復は24時間体制で行われている
- エネルギー機材と防空パッケージの必要量が更新され、外務省と大統領府がパートナーとの連絡を調整中
- キーウと複数の州で3日連続の計画停電・緊急停電が続き、前日にはキーウの地下鉄も運転を停止した
なぜ重要か
冬を前にロシアがエネルギー網への攻撃を強化する中、大統領が首都の市政を公の場で批判するのは異例であり、中央政府とキーウ市長の対立の激しさを示している。同時に、計画停電・緊急停電がキーウや複数の州で続き、地下鉄や電気交通機関の運行停止、断水問題が断続的に発生している。ゼレンスキー氏はインフラ省と各州知事に個人的責任を強調し、エネルギー機材と防空パッケージの必要量を国際パートナーに伝達する姿勢を示しており、冬に備えた支援獲得と国内執行の両面で圧力を強める狙いがうかがえる。
何が起きたか
10月9日、ゼレンスキー大統領は軍と政府の関係者を交えたセレクター電話会議を開催した。会合後、大統領はキーウ市の当局がレジリエンス計画で求められた手順を「ほぼ完全に」実行できていないと述べ、「計画遂行の遅延は絶対に容認できない」と批判した。インフラ省と各州行政府に個人的責任があると指摘し、キーウ市については市の政府による未実施を受けて個別課題を設定した。会合同席者から、エネルギー省と電力網の状態、プリルーキ(チェルニーヒウ州)の状況、キーウを含む各州のレジリエンス計画進捗報告が行われた。防衛相と軍総司令官からはドネツク州コスチャンティヌィウカ、ドロペリャ、スロヴィャンスク、クラスナトルク方面の戦況と、ドロペリャでのロシア軍浸透部隊の撃滅に関する成果が報告された。大統領はエネルギー機材と防空パッケージの必要量が更新されたことを確認し、外務省と大統領府が国際パートナーとの協議を進め、大統領自身も各国首脳と直接話し合う意向を示した。背景として、10月8日にはロシア軍がキーウの大規模エネルギー施設を攻撃し、キーウ市とその周辺で大規模停電が発生、地下鉄や電気交通機関の運行が一時停止し、断水も生じた。10月9日の朝時点でもドニプロ川右岸の一部で電気交通機関が運休しており、キーウと各州で3日連続の計画停電・緊急停電が続いている。
ウクライナメディアの見方
ウクライナ国内メディアは一斉に、ゼレンスキー氏によるキーウ市政批判と、冬に向けたレジリエンス計画遂行の失敗という構図を大きく報じた。キーウ市長のクリチコ氏は「市は資金不足で計画項目を単独では全て実行できない」と反論し、国家安全保障国防会議が承認した計画費約675億フリヴニャと市の年間予算約1060億フリヴニャとの乖離が指摘された。報道では地下鉄や電気交通機関の停止、緊急停電、断水など、ロシアの攻撃による運用面への影響も前面に出された。一部には、中央政府と市政府が責任をなすりつけ合っており、過去4年間にエネルギー・重要通信の防護策がほとんど講じられなかったとする批判的コラムも現れている。
報道の食い違い
1つの見出しは、ゼレンスキー氏の批判を「キーウ当局がレジリエンス計画を一歩も実行していない」と表現したが、大統領自身の引用は「ほぼ完全に」必要な措置を実施できていないという表現にとどまっていた。
背景
キーウ市のレジリエンス計画は年内に国家安全保障国防会議によって承認されており、推定費用は約675億フリヴニャと、市の総予算約1060億フリヴニャに対して巨額とされる。10月8日にはロシア軍がキーウの大型エネルギー施設を攻撃し、大規模停電と地下鉄・電気交通機関の運転一時停止を引き起こした。10月9日朝時点でキーウと各州では3日連続の計画停電・緊急停電が続いていた。英国外相は初のキーウ訪問に合わせて、ウクライナの冬に向けたレジリエンス強化のため5400万ポンド(約7130万ドル)の支援を発表した。