キーウ高裁、元大統領府顧問のシーロ被告と汚職事件で司法取引を承認
ウクライナ高等反汚職裁判所(ВАКС)は10月13日、ウクzaliznytsia(ウクライナ鉄道)の資金不正流用事件で、ウクライナ大統領府の元顧問アルテム・シーロ被告との司法取引(訴追合意)を承認した。シーロ被告は8年の禁固刑(ただし3年の執行猶予付き)、2億400万フリヴニャの罰金、3億2570万フリヴニャおよび3物件(キーウの計388.1平方メートル)の特別没収を命じられた。
要点
- 10月13日、ВАКСが元大統領府顧問アルテム・シーロとの司法取引を承認
- シーロは刑法第27条第3項、第191条第5項、第209条第3項で有罪(特に多額の財産横領と犯罪収益の合法化の組織化)
- 8年の禁固刑を宣告されたが、刑法第75条に基づき3年の執行猶予付き
- 2億400万フリヴニャの罰金(1年分割、4半期ごとに5100万フリヴニャ)
- 特別没収:3億2570万フリヴニャと、アパート3戸(183.5㎡1戸、102.3㎡2戸、合計388.1㎡)
- 事件は2022年6月〜12月にかけ、ウクライナ鉄道の変圧器調達で事前選定された企業を不二が約2倍の価格で納入させた「バックオフィス」スキームに関するもの
- 2024年4月2日にNABU/SAPが組織的犯行グループの摘発を発表し、損害額は約9500万フリヴニャとされる(出典により94.7〜約1億フリヴニャと幅あり)
- 不動産仲介オレクサンドル・リスコヴァツキーとSBU職員オレクサンドル・コヴァリュクは既に同様の司法取引を成立済み、4人目の共犯者コストヤンティン・メルニクも取引希望を表明
なぜ重要か
この事件は、ウクライナ戦争下の国営鉄道から資金を不正に流用したと疑われる事件で、被告が大統領府の元顧問という政治的に機微な立場にあったため、ゼレンスキー政権にとって敏感な問題となっている。3億2570万フリヴニャという比較的大規模な資産没収は、ウクライナの反汚職捜査の中でも目を引く成果である。さらに、合意には被告が他の関係者について告発証言を提供することや、武装部隊支援慈善団体への寄付(8000万フリヴニャ)が含まれており、ウクライナの進行中の反汚職・防衛支援の取り組みと連動している。また、これが同「バックオフィス」事件における3件目の司法取引であり、より大きな集団の訴追が進んでいることを示している。
何が起きたか
2026年10月13日、ウクライナの高等反汚職裁判所(ВАКС)は、元大統領府顧問アルテム・シーロとの司法取引を承認した。シーロは2022年6月から12月にかけて、ウクライナ鉄道(Укрзалізниця)の職員を支配下に置き、変圧器調達で事前選定されたサプライヤーを選ばせることで同社資金約9500万フリヴニャを着服した疑いで、刑法第27条第3項、第191条第5項、第209条第3項に基づき有罪とされた。裁判所は8年の禁固刑を宣告したが、刑法第75条に基づき3年の執行猶予期間を付して執行を免除。罰金2億400万フリヴニャ(1年分割、四半期ごとに5100万フリヴニャ)、約3億2570万フリヴニャ相当の資金とキーウ市内3物件(183.5㎡1戸、102.3㎡2戸、計388.1㎡)の特別没収を命じた。司法取引に基づき、シーロは6000万フリヴニャの損害賠償支払い、武装支援慈善団体「Повернись живим」(Come Back Alive)への8000万フリヴニャの寄付、他の関係者に対する告発証言の提供も約束した。判決は30日以内に控訴可能。
報道の食い違い
複数のウクライナ報道機関の間で、ウクライナ鉄道の損害額に幅がある(94.7百万、94.8百万、約95百万、NABU/SAPの2025年3月10日発表時点では約1億フリヴニャ)。没収資金額についても、バベリヤク(Бабель)が3億2578万フリヴニャと報じる一方、他の多くの報道は3億2570万フリヴニャとしている。
背景
本件で問われている事案は2021年〜2022年に発生したとされ、シャーロが率いたとされる組織的犯行グループは、ウクライナ鉄道の職員を支配下に置くことで、ウクライナ鉄道の入札に事前選定されたサプライヤーを選ばせた。当選した企業はベラルーシ市民(ロシアとの関係を持つ)による管理とされ、ウズベキスタンの製造者からブルガリアに登記されたシェル会社を経由して変圧器を調達し、ほぼ2倍に値上げしてウクライナ鉄道に転売したとされる。2024年4月2日、NABUとSAPが同グループの摘発を発表。シーロは4月4日に勾留されたが、3000万フリヴニャの代替保釈金(数時間以内に納付)により釈放された。シーロは2012年からSBUに勤務し、2021年に退役後は大統領府の非公式顧問となり、2022年には新たに設置された重要インフラ保護・テロ資金対策対諜報総局の長としてSBUに復帰した。Bihus.Infoの2022年11月の調査では、公務10年で約400万ドル相当の資産を形成したと報じられたほか、大統領府副長官オレフ・タタロフに近い存在と紹介されている。同事件では、不動産業者オレクサンドル・リスコヴァツキーとSBU職員オレクサンドル・コヴァリュクが既に同様の司法取引を成立させており、4人目の共犯者コストヤンティン・メルニクも取引を希望している。