米下院議員4名、トランプ氏にロシア制裁緩和撤回を求め「グレアム法」適用を要請
米下院の両党議員4名が、トランプ大統領に対しロシアへの制裁を緩和せず「グレアム法」に基づく制裁措置を適用するよう求める書簡を送付した。同書簡は、ロシアが政治犯を解放する代わりに米国が制裁緩和や経済関係修復を検討しているとする報道を受けたものとされる。議員らは、制裁緩和はロシアを勢いづけ、戦争を長引かせると主張し、10月18日の「グレアム法」期限までに経済的圧力を強化するよう訴えた。
要点
- 書簡に署名したのは下院議員のマースィ・カプター、ブライアン・フィッツパトリック、マイク・クィグリー、ジョー・ウィルソンの主張。
- 4名は下院のウクライナ支援グループのメンバー(ウクライナ・コアーカス共同議長)。
- きっかけはThe Atlantic(9月29日付)が報じた、ジョン・コーリ特別使節が提案したとされる政治犯解放と制裁緩和のバーター案。
- 議員らは「欧州の平和は力によってのみ達成できる」と表明し、ロシアによる全面侵攻が続く限りプーチンを「戦争犯罪人」として止める措置を求めると主張。
- 「グレアム法」は大統領に対し10月18日までにロシアへの制裁発表を義務づけている。
- 同法はロシア産エネルギーを買い続ける国に対し最大100%の関税を認めるほか、ロシア軍指導部、金融・エネルギー部門、「影の艦隊」、武器転用可能な品目の輸出規制を強化する。
- 9月18日から19日の深夜、トランプ大統領がHR 5334「2026年リンジー・O・グレアム法(ロシア及びイランに対する制裁法)」に署名済み。
なぜ重要か
戦争継続中におけるロシアへの米国制裁の緩和可能性をめぐり、米議会内から超党派で強いけん制が入ったことは、ウクライナ情勢に対する連邦議会の姿勢を示す。「グレアム法」が設定した10月18日の期限を控え、大統領がどの程度まで圧力を維持・強化するかが焦点となる。議員らが政治犯解放とのバーター案を名指しで批判したことで、同案の実現には議会側の大きな抵抗が伴うことが明確になった。
何が起きたか
米下院議員のマースィ・カプター、ブライアン・フィッツパトリック、マイク・クィグリー、ジョー・ウィルソンの4名は、ウクライナ支援グループおよびウクライナ・コーーカス共同議長として、トランプ大統領宛てに書簡を送付した。4名は、ロシアが拘束している政治犯の解放と引き換えに米国が制裁を緩和し、モスクワとの経済関係を修復する可能性が報じられたことを受け、制裁の弱体化に反対し、「グレアム法」によって認められている「地獄のような制裁」を直ちに適用するよう求めた。声明では、ロシアの全面的侵攻がウクライナの征服と欧州同盟国への脅威を目的としている限り、米国はプーチン大統領(声明では「戦争犯罪人」と表現)を止めるために必要な手段を尽くすべきだと主張。「欧州の平和は力によってのみ達成できる」との立場を示し、10月18日までにロシアへの経済的圧力を強化するよう大統領に促した。
背景
2025年4月、上院議員のリンジー・グレアムとリチャード・ブルメンソールは、ロシア産石油などを買い続ける国からの輸入品に500%の関税を課す法案を提出。2025年6月、The Wall Street JournalとPoliticoはトランプ政権が法案の軟化を試みていると報じた。2026年7月10日、キーウ訪問中のグレアム上院議員はホワイトハウスと制裁法案の改訂版で合意に達したと発表。しかし翌7月11日にグレアム上院議員は急逝した。同年9月16日に下院が法案を可決し、9月18日から19日の深夜にトランプ大統領がHR 5334「2026年リンジー・O・グレアム法(ロシア及びイランに対する制裁法)」に署名。同法はロシア産エネルギーを継続して購入する国に対する最大100%の関税賦課権限を大統領に付与し、ロシア軍指導部、金融・エネルギー部門、外国の供給業者、「影の艦隊」船舶への制限拡大、武器製造に転用可能な品目の輸出管理強化を含む。この間、米民主党上院議員らはトランプ氏に「グレアム法」の適用を求める共同声明を発表しており、トランプ大統領は国連総会演説で「必要なら『グレアム法』を適用する用意がある」と述べていた。