ウクライナ国防予算に270億ドルの赤字、コレッツキー首相が表明
ウクライナのコレッツキー首相は9月27日のテレビ番組で、国防予算に270億ドルの赤字があると明らかにした。この赤字は2月のラムシュタイン形式で示された総額1550億ドルの戦争資金需要の一部であり、約70億ドルは国内支出の最適化・緊縮で賄い、残り約200億ドルは国際パートナーの支援を求める方針だとした。
要点
- 国防予算の赤字は270億ドルで、2月のラムシュタイン形式で示された戦争資金需要1550億ドルの一部
- 約70億ドルは国内緊縮・支出最適化・内部再配分で賄う計画
- 残る約200億ドルは国際パートナーからの調達が必要で、ドローンやミサイル、軍事装備品の調達・生産に充てる
- 拘束済みロシア資産の活用やウクライナ支援ローンの加速、追加パートナー融資などが追加財源として検討対象
- 軍事人員とその家族への給付、年金、医療・教育関係者の賃金は全額・期日通り支払うと首相が約束
- 文化プログラムや道路関連の債務支払いなど非優先支出は停止済み、2027年予算案ではVATを1%引き上げへ
- 10月15日までに国際支援の解放に必要な政府決定42件を完了する方針
なぜ重要か
この発表は、ウクライナの戦争努力を支える国防財政に巨大な穴があることを初めて公式に可視化した点で重要である。国内では文化事業や道路関連の支払い停止、2027年予算案での付加価値税1%引き上げなどすでに緊縮が始まっている。一方で、10月15日までに完了すべき政府決定42件という具体的な期限と、それによって解放される約295億ドルという国際支援が結びつけられたことで、財政の行方は最高議会(ヴェルホフナ・ラーダ)の法案採決と、EUに加え英国、カナダ、日本を含む広範なパートナーの対応に左右される構図が鮮明になった。予備費の未達が続けば、ゼレンシキー大統領が警告したように1〜2月のドローン発注の支払いに支障が出る可能性があり、軍事運営への実害リスクが伴う。
何が起きたか
コレッツキー首相は9月27日、ウクライナ公共放送「1+1」のTSN番組(記者アッラ・マズールとのインタビュー)で、国防予算に270億ドルの赤字があることを明らかにした。この赤字は2月のラムシュタイン形式で示された総額1550億ドルの戦争資金需要の一部であり、新規の追加要求ではないと説明した。約70億ドルは国内の緊縮・支出最適化・内部再配分でまかない、残り約200億ドルはドローン、ミサイル、軍事装備品などの調達・生産のために国際パートナーの資金を求める方針である。すでに文化プログラムへの資金提供や「レジリエンス計画」に基づく道路工事関連債務の支払いは停止されており、2027年予算案では付加価値税を1%引き上げる方針だ。首相は軍事人員の給与と家族支援、年金、医師・教師の賃金は全額・期日通り支給すると強調し、外部支援の解放に必要な42件の政府決定を10月15日までに完了すると公約。会派を問わず法案に賛成するよう議員に要請した。
海外メディアの見方
欧州側の一部当局者は、今回の270億ドルという規模の赤字を事前に想定しておらず、支出効率や必要性そのものが膨らんでいるのではないかとの疑念を示したと報じられている。ウクライナの側としては、財源としてEUに加えて英国、カナダ、日本にも国防予算支援を要請しており、拘束済みロシア資産の活用やウクライナ支援ローンの加速、追加パートナー融資、内部支出の一層の最適化を並行して検討している。
背景
1550億ドルという戦争資金全体の見立ては、2月に開催されたラムシュタイン形式の会合で示されたもので、ウクライナ国家予算からの直接支出と、パトリオット・ミサイル、発射機、航空機など国際パートナーからの軍事支援の両方を含む。コレッツキー首相は赤字の背景として、戦争の技術的コスト上昇、国防省が2026年前半の支出を後半年枠で立て替えた形になっていること、パートナーに対する義務の一部が履行されていないことを挙げた。なお、270億ドルの赤字自体については国防相のイェフヘニー・フマーラも以前に触れていた。