ドイツ州選挙:AfDがメクレンブルク=フォアポンメルン州で勝利、ベルリンでは左派党が首位
9月20日にドイツのメクレンブルク=フォアポンメルン州とベルリンで行われた州議会選挙で、極右AfDが同州で約37%を得て第1党となり、SPDが28年ぶりに主導権を失った。ベルリンでは左翼のディー・リンクェが約24〜25%で首位となった。メルツ首相のCDUは同州で約5%まで落ち込み、メルツ氏は「惨事」と表現した。AfDは他の政党から連立を拒否されており、同州政権を担う可能性は低い。
要点
- AfDがメクレンブルク=フォアポンメルン州で約37%の得票で勝利(ARD出口調査)
- SPDは約35.6%で第2党、28年ぶりに同州の主導政党の座を失った
- メルツ首相のCDUは同州で約5%(4.9%〜5.3%)にとどまり、州議会への進出が危ぶまれる結果も
- ベルリンではディー・リンクェが約24.5〜24.9%で第1党、CDU約20%、ADFL約16%が続く
- メルツ氏はCDUの結果を「惨事(Katastrophe)」と評し、辞任の意向はないと表明
- 9月6〜7日のザクセン=アンハルト州選に続き、東部ドイツでAfDが第2勝
- AfDとディー・リンクェはいずれもウクライナ支援に反対し、ロシアとの接近を主張
- 他党はAfDとの連立を拒否しており、同州政権はSPD主導の連立(SPD=ディー・リンクェ=緑の党の3党連立の可能性)が続く見通し
なぜ重要か
西部を含むドイツの政治地図が大きく揺れている。数週間でAfDが東部の2つの州で第1党となり、CDUは同州で約5%まで沈む歴史的低落を記録した。AfDとディー・リンクェはいずれもウクライナへの軍事支援に反対しロシアとの接近を求めるため、ドイツの対ウクライナ政策への影響が懸念される。一方で他党はAfDとの連立を拒否しており、メクレンブルク=フォアポンメルン州政権は非AfDのまま維持される見込みだが、ベルリンではディー・リンクェが主導権を握る可能性が浮上している。
何が起きたか
9月20日、ドイツのメクレンブルク=フォアポンメルン州とベルリンで州議会選挙が行われた。ARDの出口調査と予測によれば、メクレンブルク=フォアポンメルン州ではAfDが第1党となり、得票率は37.3〜38.2%と報じられた。SPDは約35.5〜35.7%で第2党となり、1997年以来続いてきた同州の主導政党の地位を28年ぶりに失った。CDUは約5.3%(別の報道では4.9%)にとどまり、州議会の議席獲得に必要な5%割れの可能性も報じられた。AfDの首相候補ライフ=エリック・ホルム氏は小選挙区でSPD候補に敗れ、自身が州議員になることはなくなった。ベルリンではディー・リンクェが24.5〜24.9%で第1党となり、初めて州議会に進出する可能性が出た。CDUは約20%、AfDは約16%だった。選挙後、メルツ首相はCDUの結果を「惨事」と表現し、辞任しない意向を示した。報道によれば、他党はAfDとの連立を拒否しているため、メクレンブルク=フォアポンメルン州ではSPD、ディー・リンクェ、緑の党による連立政権が成立する見通し。
ウクライナメディアの見方
ウクライナメディアはAfDの台頭を主にその対ロシア・対ウクライナ政策の観点から報じ、ウクライナへの軍事支援反対とモスクワへの接近を呼びかけている姿勢を重視した。メルツ首相の苦境と、CDUがウクライナ支援を継続できるかどうかへの影響も強調されている。9月初めのザクセン=アンハルト州選でのAfD勝利を東ドイツのトレンドを示す文脈として前置きし、今回のメクレンブルク=フォアポンメルン州選はその延長線上にあると位置付けた。他党がAfDとの連立を拒否している点を強調し、勝利は政治的な衝撃ではあっても政権交代ではないと伝えた。
海外メディアの見方
国際報道はまず結果を速報し、AfDのメクレンブルク=フォアポンメルン州勝利、ディー・リンクェのベルリンリード、東部におけるCDUの歴史的凋落、メルツ氏の「惨事」発言を伝えた。ベルリンについてはディー・リンクェのリードと初の州議会進出の可能性を独自の文脈として報じており、東部全体での極右台頭とは別個の「左傾化」の物語として位置付ける傾向があった。また、全国レベルでAfDが過去最高の約30%、CDUが過去最低の18〜19%となった点を指摘しつつも、他党が連立を拒否しているためAfDは州政権を担えない見通しだと伝えた。
報道の食い違い
報道機関によって数字が分かれている。AfDのメクレンブルク=フォアポンメルン州得票率は37.3%、37.9%、38.2%と幅がある。SPDの得票率は35.5%、35.6%、35.7%と報じられた。CDUについては5.3%や「5%強」とする報道がある一方、4.9%で5%閾を下回り州議会進出に失敗したとする報道もある。ベルリンのディー・リンクェについては24.5%と24.9%の二通りが報じられた。AfDのザクセン=アンハルト州選の勝った日付は9月6日とする報道と9月7日とする報道がある。
背景
メクレンブルク=フォアポンメルン州とベルリンはドイツの16連邦州のうちの2つで、州政府は教育や一部の安全保障問題を含む広範な権限を持つ。メクレンブルク=フォアポンメルン州は人口約150万人で、ドイツで最も失業率が高く、人口が最も少ない州の一つとされる。同州の首相マヌエラ・シュヴェツィッヒ氏(SPD)は2017年から同職を務め、メルケル第3次政権では家族・女性・青年担当相を務めていた。2022年にはノルドストリーム2に関連するガズプロム系の財団に関与していたとドイツのメディアに報じられた。ベルリンの現市長カイ・ヴェグナー氏(CDU)は再選を目指さず、CDUは州財務相シュテファン・エーファース氏を擁立した。AfDのベルリン擁立はクリスティン・ブリンカー氏。9月6〜7日のザクセン=アンハルト州選ではAfDが約44%を獲得し、今回の結果の東部における前例となった。AfDはウクライナ支援に反対しロシアへの接近と制裁解除を主張、ディー・リンクェもロシア寄りでウクライナへの武器供与に反対すると報じられている。