NATO軍トップ「ロシアの東方 flankでのエスカレーションに対応できる」と表明、コペンハーゲンで
NATO軍事委員会のジョセッペ・カーヴォ・ドラゴーネ委員長(海軍大将)は9月19日、コペンハーゲンで開催されたNATO加盟32カ国の最高軍事責任者による会合で、ロシアによる東方 flankでのエスカレーションの可能性に「同盟は対応できる」と表明した。同盟は約4000ページに及ぶ東方 flank防衛計画を保有し、兵力と装備の両面で増強を続けているとした。表明は、ポーランドやフランス、オランダ、リトアニア、ラトビアなどから相次いでいるロシアによる挑発やハイブリッド攻撃への警告を受けた形で行われた。
要点
- NATO軍事委員長のカーヴォ・ドラゴーネ海軍大将が9月19日、コペンハーゲンでの加盟32カ国の最高軍事責任者会合で「同盟は準備ができている」と述べた
- NATOは東方 flank防衛のため約4000ページの軍事計画を保有し、シナリオは最小限の危機から同盟領土への介入まで及ぶ
- ドラゴーネ氏はNATOが兵員数と装備・技術水準の両面で増強を続けていると指摘
- ポーランドのドナルド・トゥスク首相が数日以内に、ロシアがNATO加盟国へのドローンやミサイルによる「挑発」を計画しうると警告
- ラトビアのエドガルス・リンケヴィッチス大統領は、紛争が拡大した場合に大半のNATO諸国がロシアのミサイル攻撃を撃退できないとの見方を示した
- NATOは2023年、ロシアのウクライナ全面侵攻後に3つの地域別作戦防衛計画を承認
- ここ数週間、ヨーロッパでは領空侵犯と妨害工作の試みが相次いでいる
なぜ重要か
NATO軍最高責任者の発言は、ロシアによるNATO東方 flankへのエスカレーションの可能性が欧州の主要都市で警告される中で出された。約4000ページの東方 flank防衛計画の存在と、兵員・装備の両面での増強継続が示されたことで、同盟の抑止態勢が改めて確認された。発言は、ロシアの最近の行動が同盟の結束を弱めるのではなく、結束と決意を強めるものだというメッセージを直接伝える形となった。同時に、プーチン大統領補佐官のパトルシェフ氏による「ワルシャワは2〜3日で消滅する」といった発言と、リトアニアやラトビアによるハイブリッド攻撃への警告が並行して伝えられており、NATOが直面する安全保障環境の厳しさが浮き彫りになった。
何が起きたか
NATO軍事委員長のジュゼッペ・カーヴォ・ドラゴーネ海軍大将は9月19日、コペンハーゲンで開かれたNATO加盟32カ国の最高軍事責任者による会合で、ロシアによる東方 flankでのエスカレーションの可能性に「同盟は準備ができている」と表明した。ドラゴーネ氏はNATOが兵員数と装備・技術水準の両面で増強を続けていると説明し、約4000ページの東方 flank防衛計画の存在を明らかにした。計画は最小限の危機から同盟領土への介入まで幅広いシナリオを網羅している。
ドラゴーネ氏は、ロシアの「ここ数週間・数か月」の行動が同盟の決意を試すものであり、信頼を損ない結束を弱めることを目的としていると指摘した。一方で「これらの試みは我々を分裂させない。我々の手段を研ぎ澄ませ、結束と決意を一層強固なものにする」と述べた。会合では、最近の同盟各国によるロシアの挑発に関する警告は別途議論されなかったとした。
表明に先立ち、ポーランドのドナルド・トゥスク首相が、ロシアが今後数か月以内にNATO加盟国へのドローンまたはミサイル攻撃を「同盟を試すための演出された挑発」として行う可能性があると警告した。フランスとオランダの当局者も同様の懸念を表明。ラトビアのエドガルス・リンケヴィッチス大統領は、紛争が拡大すれば大半のNATO諸国はロシアのミサイル攻撃を撃退できないとの見方を示し、ウクライナの進めるドローン・航空戦の技術に欧州が追いついていないと述べた。
NATOは2023年、ロシアのウクライナ全面侵攻後に3つの地域別作戦防衛計画を承認。8月には米国情報機関が「モスクワが今後数年のうちにNATO諸国への限定的な攻撃を計画している」との警告を含む報告を行っていた。
ウクライナメディアの見方
ウクライナ側の報道は、ドラゴーネ氏の表明を軸に据えつつ、ポーランド、フランス、オランダ、リトアニア、ラトビアなどからの差し迫ったロシアのハイブリッドあるいは直接的脅威に関する警告を大きく取り上げた。具体的な最近の事象として、ルーマニア沖でのドローン迎撃、ライプツィヒ空港で発見された武装ドローン、ベラルーシからリトアニア領内に侵入したドローンのNATO機による撃墜、エストニアのドローン工場での火災(モスクワが組織したと非難)が挙げられ、ロシアによる活動の激化の証拠として位置づけられた。
リンケヴィッチス氏(一部報道ではゼレンスキー氏)の「大半のNATO諸国はロシアのミサイル攻撃を撃退できない」との評価と、ドラゴーネ氏の「準備はできている」というメッセージが対比された。また、ウクライナの戦略コミュニケーションセンターが「モスクワがかつてキエフを速やかに制圧できると考えていたのと同じだ」と指摘し、パトルシェフ氏の「2〜3日で消滅する」という発言の文脈を提供した。YES会議でのシコルスキ外相の発言(ポーランドと同盟国がロシアを速やかに撃破可能)も併せて伝えられた。
報道の食い違い
ポーランドのドナルド・トゥスク首相がロシアによるNATO加盟国へのドローンやミサイルによる挑発の可能性を警告した時期について、報道によって日付が一致していない。一部の情報源は木曜日(具体的な日付を明示せず)と伝え、少なくとも一つの項目は9月17日、別の項目は9月18日としている。
また、「大半のNATO諸国はロシアのミサイル攻撃を撃退できない」「欧州はウクライナが展開するドローン・航空戦の技術に追いついていない」と述べた発言の主体について、報道間で齟齬がある。複数の情報源はラトビアのエドガルス・リンケヴィッチス大統領の名で伝えているが、一つの情報源は同じ発言をウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に帰属させている。
背景
2023年、ロシアのウクライナへの全面侵攻を受け、NATO加盟国は3つの地域別作戦防衛計画に合意した。8月には、米国の情報機関の報告が「モスクワが今後数年のうちにNATO加盟国への限定的な攻撃を計画している」との内容を含む警告を発した。ここ数週間、欧州では領空侵犯と妨害工作の試みが、ロシアとの緊張の高まりの中で相次いでいる。9月15日、プーチン大統領の補佐官ニコライ・パトルシェフ氏は、モスクワに対する軍事行動が取られた場合、ワルシャワは「2〜3日で消滅する」と発言した。ウクライナのYES会議では、ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相が、ポーランドと同盟国は航空戦力と近代的な長射程兵器で「圧倒的な優位」を有しており、ロシアが攻撃してきた場合に速やかに撃破できるとの見解を示した。