ウクライナ特別反腐敗検察庁の選考委員が辞任、検事総長が罷免命令に署名
ウクライナのルスラン・クラフチェンコ検事総長は4日、特別反腐敗検察庁(SAPO)幹部候補を選考する6人委員会の委員で弁護士のオレクシー・シェヴチュク氏の委員資格を早期に終了させる命令に署名した。シェヴチュク氏は自身でも辞任を表明していた。
要点
- シェヴチュク氏はSAPO幹部候補選考委員を辞任し、9月7日付で委員資格を失うとFacebookに投稿した
- 検事総長は9月4日、シェヴチュク氏の委員資格を早期終了させる命令に署名した
- 9月1日の委員会会合で6人中5人(シェヴチュク氏を除く)が5委員の解任をクラフチェンコ検事総長に勧告していたことが、罷免の根拠とされた
- クラフチェンコ検事総長は検察官評議会に新たな6人目の委員候補を早期に提案するよう要請した
- シェヴチュク氏は自身の退任後、委員会が定足数を欠き意思決定権限を失うと主張した
- Transparency International Ukraineは4名以上の委員で構成されれば意思決定は可能とし、シェヴチュク氏の主張は誤りだと述べた
- シェヴチュク氏は以前、反ロシア系の前議員イリヤ・キヴァ氏や「Strana」のスヴェトラーナ・クルコヴァ記者らの弁護人を務めていた
なぜ重要か
SAPO幹部選考委員会は、ウクライナの主要反腐敗検察機関の要職人事を担い、オレクサンドル・クリメンコ氏の任期満了後の新たなSAPO長官選出も担当する。2025年初頭のシェヴチュク氏任命は、倫理違反での資格剥奪歴や反ロシア系政治活動との関係人物の弁護を担当していた経歴から市民社会の批判を招いていた。同氏の退任後に委員会が定足数を維持できるかどうかは、SAPO幹部ポストに関する進行中の選考を進められるかどうかに直結する。
何が起きたか
ルスラン・クラフチェンコ検事総長は9月4日、SAPO候補者選考委員会の委員だった弁護士オレクシー・シェヴチュク氏の委員資格を早期に終了させる命令に署名した。シェヴチュク氏はFacebookへの投稿で辞任を表明し、9月7日付で委員資格を失うとしていた。同氏は自身の退任により委員会が不完全な構成となり、意思決定権限を失うと主張し、委員会に対し投票や決定採択を行わないよう求めていた。一方Transparency International Ukraineは、少なくとも6人中4人の委員で構成されていれば決定は可能とし、シェヴチュク氏の主張は誤りだと反論した。クラフチェンコ検事総長は検察官評議会に新たな6人目の委員候補を早急に提案するよう要請し、現職委員に対しては選考作業を継続するよう呼びかけた。
報道の食い違い
シェヴチュク氏は自身の辞任理由について、委員会への外部からの影響やSAPO・NABU指導部の行動・公発言による失墜を挙げており、これが本人のFacebook投稿での説明である。これに対し他の報道は、9月1日の委員会会合で6人中5人の委員(シェヴチュク氏を除く)が同氏の解任を勧告していたことを背景に説明している。勧告の直接の契機として報じられているのは、シェヴチュク氏が他の委員との調整なしに選考事務局への通信を独自に公開評価したこと、また会合で他の委員の発言を妨げ脅迫行為を行ったことだ。さらにシェヴチュク氏は退任後、委員会が定足数を失う議論になる。Transparency International Ukraineは4名以上の委員で構成されれば意思決定は可能とし、この主張を明確に否定した。
背景
SAPO候補者選考委員会は6名で構成される。うち3名は検察官評議会が推薦し、残り3名は国際パートナーの提案に基づき、最終構成を検事総長が承認する。シェヴチュク氏は、検察官評議会が候補者を2名しか推薦できず、他に候補者がいなかったため、検事総長により委員に任命された。シェヴチュク氏には以前、倫理違反(同僚や退役軍人への公然侮辱を含む)で弁護士資格の剥奪・停止歴があり、反ロシア系の元議員イリヤ・キヴァ氏、反ロシア系メディア「Strana」のスヴェトラーナ・クルコヴァ記者、ヘナディ・コルバン氏、元議員オレクサンドル・オヌシェンコ氏らの弁護を担当していた。また元大統領府長官アンドリー・イェルマク氏に対し、コージン近郊の4つの邸宅建設をめぐる「Dynasty」協同組合事件で、裁判所への身元保証(bail)申し立てを行っていた。