公開: · 更新:

ロシア軍、捕虜のウクライナ兵を射殺 音声傍受とドローン映像で証拠判明

ロシア占領軍がザポリージャ州フリアイポーレ方面で拘束していたウクライナ兵を処刑した。ウクライナ国防軍はロシア兵の通信傍受とドローン映像を入手。ウクライナの検察当局は刑法第438条に基づく捜査を開始した。

要点

  • ロシア占領軍がザポリージャ州フリアイポーレ方面で捕虜としていたウクライナ兵を処刑した
  • 実行犯はロシア第38独立自動車化狙撃旅団の可能性が高いと同旅団が浮上
  • ウクライ国防軍が犯行現場のロシア兵無線傍受とドローン映像を証拠として入手
  • 傍受音声には「そこの300番(負傷者)を始末しろ」「その場で処理しろ」と命じる命令が含まれていた
  • ウクライナのオフィス・オブ・ザ・ジェネラル・プロセキューションが刑法第438条第2項に基づき事前捜査を開始
  • およそ2人の無抵抗のウクライナ兵が殺害されたとみられ、ザポリージャ州検察庁の指揮下で捜査が続く
  • 国連は2022年の全面侵攻開始以降、ロシアによるウクライナ捕虜少なくとも129人の殺害を確認している

なぜ重要か

音声傍受とドローン映像という物的証拠を伴う、捕虜殺害の新たな事案が文書化されたことで、戦争犯罪としての立証可能性が高まった。嫌疑が特定の部隊およびその司令官に及んでいること、ウクライナ検察当局が正式に捜査を開始したことは、将来の戦争犯罪法廷における証拠としての位置づけを強める。ウクライナのオンブズマンが337人、国連が129人という捕虜殺害の既知事例を計上しており、本件はその広範なパターンの一環となっている。

何が起きたか

ロシア占領軍がザポリージャ州フリアイポーレ方面で拘束していたウクライナ兵を処刑した。実行にはロシア第38独立自動車化狙撃旅団が関与したとみられている。ウクライ国防軍は犯行時点のロシア兵間の通信を傍受し、「そこの300番(負傷者)を始末しろ」「その場で処理しろ」といった命令が交わされていたことを把握。さらに、現場上空のウクライナ側ドローンが撮影した映像も証拠として取得した。軍事検察ではなく、ウクライナのオフィス・オブ・ザ・ジェネラル・プロセキューションが刑法第438条第2項(人の死亡をもたらした戦争犯罪)に基づき事前捜査を開始。ザポリージャ州検察庁の指揮下で実行犯、命令者を含む全状況の特定が進められている。殺害されたのは無抵抗の捕虜およそ2人と推定されるが、検察当局は人数や正確な日時を公表していない。

ウクライナメディアの見方

報道は「南」軍集団報道官マクシム・クラフチュクによる「ウクライinska・プラウダ」へのコメントを出典とし、ロシア語による命令の音声傍受とドローン映像を物的証拠として前面に出す。オフィス・オブ・ザ・ジェネラル・プロセキューションへの資料移送と正式捜査開始が強調され、文書化された戦争犯罪という枠組みで伝えられる。第38独立自動車化狙撃旅団と同旅団長ヴァレリー・カザク大佐が容疑者として名指しされている。さらに、ウクライナのオンブズマンの集計(投降後のウクライナ兵の意図的殺害少なくとも337件)と国連の集計(捕虜の殺害少なくとも129件)という、より広範な文脈の中に本件が位置づけられている。

報道の食い違い

報道された死亡者数は明確ではなく、クラフチュク報道官のコメントや複数の報道はおよそ2人と伝えるが、ウクライナの検察当局は正確な人数も事件発生日も公表していない。また、第38独立自動車化狙撃旅団への帰属は「可能性が高い」「おそらく」と留保された形であり、同旅団における同様の命令が旅団長ヴァレリー・カザク大佐の主導で出されているとする情報もある。

背景

フリアイポーレ方面はザポリージャ州の最前線の一部で、ウクライナ軍はここでロシア第38独立自動車化狙撃旅団と対峙している。傍受された「そこの300番(負傷者)を始末しろ」「その場で処理しろ」という命令は、負傷したウクライナ兵の殺害を指している。