ウクライナ第3軍団、北ドネツクで「ヴィヴァルディ」攻势の映像を公開―5集落を奪還
ウクライナ第3軍団は、ドネツク州北部で「ヴィヴァルディ」と命名した攻势作戦を実施したことを公式に認め、GoPro映像を公開した。軍団はリマン方面の5つの集落の支配を回復し、ISWは同作戦がスロヴィャンスクとクラマトルシクの「要害地帯」を包囲するロシア軍の試みを頓挫させたと評価した。
要点
- 第3軍団は2026年9月15日、北ドネツクでの反攻を初めて公式に確認し、ノヴォゼリフカ、オレクサンドリフカ、ヤロヴァ、コロヴィィ・ヤール郊外を制圧、リマン共同体の中頃に位置するセレドニエの占領を解除した
- 同軍団は75平方kmを制圧、さらに10平方kmの占領解除を報告
- ISW(2026年9月15日付)は「ヴィヴァルディ」作戦で要塞地帯包囲計画が「非現実的」になったと評価
- 第3軍団は精鋭ロシア無人機部隊「ルビコン」に損害を与え、リマン–ボリフカ方向から撤退させた
- アンドリー・ビレツキー軍団司令官が解放地域の映像を公開し、作戦を「ヴィヴァルディ」と命名
- ビレツキー氏によれば、敵側の損失は推計約1,500名、ドローン12,000機以上、装甲車両・砲兵装備・自動車数百点
- リ方面では情報 silencio(情報遮蔽)が奏功し、計画を大幅に超える前進を達成(Zhorin氏)
- ロシア軍はウクライナ軍の補給路攻撃を受け、燃料・潤滑油補給をヴォロネジ州へ移設
なぜ重要か
「ヴィヴァルディ」は北ドネツクにおけるウクライナの反攻を軍が初めて公式に確認した事例であり、ロシア軍によるスロヴィャンスク–クラマトルシク「要害地帯」包囲の試みを頓挫させた点で戦術的・戦略的に重要とされる。ISWや露側ミルブロガーですら同方向での露軍の前進遅延を認めており、露軍の補給路が脅かされ、精鋭無人機部隊「ルビコン」が撤退に追い込まれるなど、無人機戦闘の両面で影響が出ている。
何が起きたか
ウクライナ第3軍団は「ヴィヴァルディ」と名付けた攻势作戦を北ドネツク州で実施し、GoProカメラで撮影した映像を公開した。9月15日、軍団はリマン方面でノヴォゼリフカ、オレクサンドリフカ、ヤロヴァ、コロヴィィ・ヤール郊外を制圧し、リマン共同体のセレドニエの占領を解除したと初めて公式に確認。司令官アンドリー・ビレツキー氏が解放地域の映像を公開して作戦名を発表した。同軍団は75平方kmを制圧、さらに10平方kmの占領を解いたと報告。ビレツキー氏によれば、敵側損失は推計約1,500名、ドローン12,000機以上、装甲車両・砲兵装備・自動車数百点に上る。軍団はMLRS(RSZV)と重型爆撃機を用いて露軍の人員集積地点、渡河地点、弾薬庫、無人機クルー、砲、敵MLRSを破壊。ドローン部隊は敵の補給路を遮断し、これにより露軍は燃料・潤滑油の補給をヴォロネジ州へ移設した。精鋭無人機部隊「ルビコン」にも損害を与え、リマン–ボリフカ方向からの撤退に追い込んだ。
ウクライナメディアの見方
ウクライナの公式筋は、第3軍団司令官アンドリー・ビレツキー氏による「ヴィヴァルディ」作戦の公表と、5集落の奪還、ノヴォゼリフカ周辺での75平方km制圧を前面に押し出している。重点は、スロヴィャンスクとクラマトルシク包囲の危機を背景に計画された点、作戦の成功要因としての情報遮蔽、計画を超える前進、そして精鋭露軍無人機部隊「ルビコン」へのダメージとリマン方面からの撤退である。さらに、敵側の人命・装備損失(約1,500名、ドローン12,000機以上、車両・砲数百点)が戦果として強調されている。
報道の食い違い
露側ミルブロガーらは、リマン南方での陣地喪失と同市内での支配回復不能を認めるが、ISWはロシア軍司令部がリマン突出部と戦術的イニシアチブの喪失をまだ認識していないか、ウクライナ軍の「要害地帯」への地上連絡線を西方から遮断しようとしている可能性があると評価している。また、露軍従軍記者らは現場の指揮官や「美化された報告」文化がウクライナ軍の成功に寄与していると批判するが、別の露側ブロガーは露軍高級司令部が「地上の状況を理解している」と主張しており、問題が局地的指揮官の行動にあるのか、それとも組織的かつ最高レベルで認識されているのかが二分化されている。
背景
「要害地帯」はドネツク州のスロヴィャンスクとクラマトルシクを拠点とするウクライナの防衛線。ロシア軍は南および南西方向から同地帯の包囲を試みてきたが、ISWによればリマン北側でのウクライナ軍の前進により、その包囲計画は「非現実的」になったとされる。露軍はウクライナの補給路攻撃を受けて燃料・潤滑油の補給をヴォロネジ州に移したと報じられている。