ウクライナ軍、ロシアS-400のレーダーや関連軍事拠点を各地で攻撃
ウクライナ国防軍は9月13日と14日未明にかけ、ロシアの黒海沿岸ソチにあるS-400「トライumf」防空システム搭載の92N6多機能レーダーや、クルスク・ドネツクのドローン格納・発射拠点、占領下クリミアのサーキ飛行場近傍の無線航法システムを攻撃したとウクライナ参謀本部が発表した。ソチでは爆発が報告され、クラスノダール地方当局は民間住宅の被害を主張している。
要点
- ウクライナ参謀本部は9月13日と14日未明に国防軍が複数の重要なロシア軍事拠点を攻撃したと発表
- ソチ(クラスノダール地方)でS-400「トライumf」防空システムの92N6多機能レーダーが攻撃対象に
- 92N6は航空目標の追跡と地対空ミサイルの誘導を担う防空システムの重要要素とされる
- クルスク地域と一時占領下のドネツクで攻撃用ドローン(UAV)の格納・準備・発射拠点が攻撃
- ドネツク州ノヴォフロドィフカでUAV管制所が攻撃
- ブリャンスク州リティジ、トロスチャンチィク、リポフツィのレーダー局が攻撃
- サーキ飛行場近傍(占領下クリリア)の近距離無線航法システムやブリャンスク州の3か所の中継局も攻撃対象
- ソチでは夜間の爆発が報告され、クラスノダール地方当局は民間住宅の被害を主張
- 被害の程度については確認中
なぜ重要か
参謀本部によれば92N6はS-400の射撃運用における中核的要素であり、これを破壊することでロシア防空能力の低下につながる。さらに今回の攻撃はクラスノダール地方ソチという前線から遠く離れた深部まで及んでおり、ウクライナの打撃能力の奥行きを示す。同時に、ドローンの格納・発射・管制拠点や中継局、無線航法装置といった防空とドローン運用に関連する資産が同じ作戦で集中的に攻撃されており、ロシア防空網と無人機運用網の同時弱体化を図ったものと見られる。一方、ソチの民間住宅被害をめぐるロシア側主張は、軍民両用域での犠牲リスクを示している。
何が起きたか
ウクライナ参謀本部は9月14日、フェイスブックへの投稿で、国防軍部隊が9月13日と同14日の夜間、ロシア軍・占領地域内の重要軍事拠点を一斉に攻撃したと報告した。最大の打撃対象は黒海沿岸クラスノダール地方ソチに展開されていたS-400「トライumf」防空ミサイル・システム付属の92N6多機能レーダー局で、目標捕捉と地対空ミサイル誘導の鍵を成す装置とされる。攻撃は複数地域にまたがり、クルスク地域と一時占領下のドネツクでは攻撃用UAVの格納・準備・発射拠点、ドネツク州ノヴォフロドィフカではUAV管制所がそれぞれ攻撃された。ブリャンスク州のリティジ、トロスチャンチィク、リポフツィではレーダー局が、一時占領下のクリミア・サーキ飛行場近傍では近距離無線航法(レーダー)システムが、ブリャンスク州のロフマノヴォ、クラースヌィー・スチャフ、カメニでは中継局3基がそれぞれ標的となった。被害の程度については引き続き確認中とされる。ロシア・ソチでは夜間に爆発が報じられ、クラスノダール地方当局は民間住宅数件の損傷が発生したと主張した。
ウクライナメディアの見方
今回の報道は全てウクライナ(UA)の情報源によるもので、ウクライナ参謀本部の発表を一様に反映している。それらはソチでの92N6レーダーへの命中成功を大きく強調し、複数のロシア州・占領地域にわたる標的の広範さを前面に押し出すことで、今回の作戦をウクライナ側の顕著な戦果として描写している。クラスノダール地方当局によるソチの民間住宅被害の主張についても、これを否定したり再構成したりせず、そのまま報じている。
報道の食い違い
出典によって時点に揺れがある。ウクルインフォルムやNV、インタファクス-ウクライナなど複数源は、攻撃が9月13日と9月14日の夜間に行われたとしている一方、別の報道は9月14日(月)の夜間のみに攻撃時期を限定している。
背景
S-400「トライumf」はロシア製の長射程地対空ミサイル・システムで、92N6レーダーは目標の捕捉追尾とミサイル誘導を担う中核コンポーネント。ソチは黒海沿岸クラスノダール地方に位置する都市で、前線からは遠く離れている。ブリャンスク州はウクライナと国境を接し、ロシアによる越境攻撃の拠点となることが多い地域。