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トランプ政権、ウクライナ関連の5200万ドル軍事支援をラテンアメリカ4カ国に振り替え

トランプ米政権は議会が承認した5200万ドルの対外軍事支援を、当初の対象だったスロバキア、北マケドニア、イラク、チュニジアからパナマ、ペルー、エクアドル、コロンビアの4カ国に振り替えた。一部はロシアのウクライナ全面侵攻開始時に成立したウクライナ関連補正予算に基づく資金で、民主党議員は議会が置いた阻止権(ホールド)を無視したと非難している。

要点

  • 5200万ドルはスロバキア、北マケドニア(欧州)、イラク(中東)、チュニジア(アフリカ)向け議会上記の振り替え資金
  • スロバキアと北マケドニア向け部分は2022年のウクライナ補正予算に紐づけられた資金で、イラクとチュニジア向けは別法制に基づくもの
  • 振り替え先はパナマ、ペルー、エクアドル、コロンビア
  • 民主党のシャイン上院議員とミークス下院議員は議会で阻止権を行使し、国務省宛書簡で法律違反と主張
  • 9月30日、トランプ政権は阻止権を無視し振り替えを進めると議会に通知した
  • 国務省は「国家安全保障戦略」と整合し、麻薬対策とパナマ運河の安全に資すると説明した
  • 政権高官は議会に対し、4カ国がウクライナや欧州パートナーに有意な安全保障支援を提供していないと認めたと議員側が指摘

なぜ重要か

振り替えられた5200万ドルのうちスロバキアと北マケドニア分は、2022年のロシアによる全面侵攻直後に成立したウクライナ関連補正予算で、戦争の影響を受けた国またはウクライナ支援国向けに限定されていた。トランプ政権は民主党議員の阻止権を無視して振り替えを強行し、議会との対立が先鋭化している。最終的な受領国側(パナマ、ペルー、エクアドル、コロンビア)は政権自身の方針としてウクライナや欧州同盟国への安全保障支援を行っていないと認めており、当初の法的趣旨との整合性が大きく問われる展開となっている。

何が起きたか

トランプ米政権は、当初議会が承認した5200万ドルの対外軍事支援について、スロバキア、北マケドニア、イラク、チュニジア向けからパナマ、ペルー、エクアドル、コロンビア向けへ振り替える決定を下した。スロバキアと北マケドニア向け資金は2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻開始時に成立したウクライナ関連補正予算に紐づけられたもので、戦争の影響を受けた国やウクライナ支援国を支援するためのものだった。民主党のシャイン上院議員とミークス下院議員は議会での阻止権(ホールド)を行使して振り替えに反対し、国務長官マルコ・ルビオ氏宛の書簡で法律違反を主張。9月30日、国務省は阻止権を無視して振り替えを進めると議会に正式通知した。国務省は振り替えについて「国家安全保障戦略」と整合し、麻薬対策テロやパナマ運河の安全保障、域内の安全保障パートナーシップ強化につながると説明したが、議員側は受領国がウクライナや欧州同盟国への安全保障支援をほとんど提供していないことを政権自身が認めたと指摘した。

報道の食い違い

報道によって、トランプ政権が拒否権を無視して振り替えを進める旨を議会に通知した正確な日付が異なる。具体的な日付として「水曜日の9月30日」と挙げる記事と、「10月1日」とする記事が混在している。

背景

5200万ドルは2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻開始時に議会で承認された資金が原資となっている。当時の法案は、ウクライナに旧式兵器を供与した国々がロシア製に代わって米国製装備を導入するよう促す目的も併せ持っていた。スロバキアと北マケドニア向けの部分はウクライナ関連の補正予算に紐づけられた制約があるが、イラクとチュニジア向けは別法制に基づいており同種の制約は課されていなかった。9月にはマルコ・ルビオ国務長官がコロンビア、エクアドル、ペルーを歴訪し、麻薬対策や不法移民対策を含むトランプ政権の優先政策を進め、エクアドルとコロンビアは対米麻薬対策を強化することで合意したと報じられた。振り替えはさらに、欧州での米軍態勢・予算を見直す国防総省の動きなど、トランプ政権が欧州での関与と財政支援を抑制し西半球重視へ軸足を移している大きな潮流の一環と位置付けられる。