ロシア、2027年軍事費を17.1兆ルーブルに増額 対ウクライナ長期戦を準備
ロシアの2027年度予算案によると、軍事費は前年比40%以上増の約17.1兆ルーブル(約2050億ドル)に達する見通しとなった。2022年の侵攻開始前と比較すると約380%の増加で、プーチン政権が対ウクライナ戦争を長期戦と位置づけ、兵器生産への投資を続ける姿勢が鮮明となった。プーチン大統領は10月1日に核戦力による威嚇発言を行い、ウクライナ支援を続ける欧州諸国を「紛争に直接関与している」と警告した。
要点
- 2027年の軍事費は17.1兆ルーブル(約2050億ドル)に達する見込み
- 2026年計画比で40%超増、2022年侵攻前比で約380%増
- 2028年は16.6兆ルーブル、2029年は16.3兆ルーブルとわずかな減少にとどまる
- 2026年上半期の戦争関連支出は過去最高の10.687兆ルーブル(1234億ドル)
- ロシアは欧州諸国を「直接関与」と位置づけ、防衛産業への打撃の可能性を警告
- 10月1日、プーチン大統領はカリーニングラードなどへの攻撃があれば全兵器を使用すると威嚇
- 2026年予算赤字はGDP比1.6%から3.2%へ上方修正
なぜ重要か
ロシアが軍事費の伸びを抑制する従来の方針を撤回したことは、財政状態の悪化や予算赤字の拡大にもかかわらず、戦争の長期化と兵器生産の増強を最優先とする政策判断を示す。プーチン氏の核抑止力に関する発言や、欧州諸国への「直接関与」警告、ウクライナ国外の防衛産業への打撃の可能性を示唆したことは、ウクライナ国境を越えた緊張のエスカレーションリスクを高める。
何が起きたか
ロシアが公表した2027年度予算案によると、軍事費は17.1兆ルーブル(約2050億ドル)に達する。これは2026年計画比で40%以上、2022年のウクライナ全面侵攻前との比較では約380%の増加に相当する。2028年(16.6兆ルーブル)と2029年(16.3兆ルーブル)はわずかな減少にとどまる見込みで、モスクワは兵器生産への継続的な投資姿勢を崩していない。2026年上半期だけで連邦予算の戦争関連支出は過去最高の10.687兆ルーブル(1234億ドル)に達し、前年同期比30%増となった。これと並行し、プーチン大統領は10月1日にカリーニングラードを含むロシア領土が攻撃されれば全兵器を使用すると威嚇し、ロシアはウクライナに軍事支援を続ける欧州諸国を「紛争に直接関与」している主体と見なし、ウクライナ国外の防衛産業を標的とする可能性を示唆した。2026年のロシア連邦予算赤字はGDP比1.6%から3.2%へ上方修正された。
海外メディアの見方
ロシアの軍事費増額は、対ウクライナ戦争を長期戦と位置づけるプーチン政権の意思を財政面から裏付けるものと国際的に受け止められている。核戦力行使の威嚇や欧州諸国への「直接関与」警告、ウクライナ国外の防衛産業への打撃可能性の示唆は、ウクライナ国境を越えたエスカレーションのリスクを高めている。欧州の当局者はモスクワによる同盟国へのハイブリッド戦の強化を警告している。米国の仲介による和平交渉は大半が膠着状態にある。
報道の食い違い
ドイツ国際・安全保障問題研究所のアナリスト、ヤニス・クルーゲは NATO 加盟国へのロシアの攻撃可能性を排除しないと述べる一方、同じ報道内の別の評価では、軍事費の増加自体が NATO との直接戦争の準備を示すものではないとの見方も示されている。
背景
ロシアは以前、予算赤字の縮小と枯渇した準備金の回復を目的に軍事費の伸びを抑制する計画を立てていたが、その方針を撤回した。クルーゲ氏は、ウクライナがロシア国内の奥深くにある施設への攻撃を行っていることなど、戦争の性質の変化が支出増加の背景にあると分析している。2026年上半期の戦争関連支出は10.687兆ルーブル(1234億ドル)に達し、前年同期から30%増加した。