ウクライナ損害登録簿、全43区分の申請受付を開始
国際ウクライナビレジストリ(RD4U)は9月30日、ロシアの侵略による損害を申し立てる43区分すべての受付を完了した。個人向け21区分、法人向け11区分、ウクライナ国家向け11区分に分かれ、これまでに約19万5000件の申請を受け付け、6万5000件超を登録。受理された申請は将来設置される国際補償委員会に引き渡され、補償額の決定と支払いが行われる。
要点
- 9月30日、RD4Uは43区分すべての申請受付を完了した
- 区分は個人向け21、法人向け11、ウクライナ国家向け11
- 最終の3区分は国家向けで「その他の財産損失」「環境損害」「天然資源の略奪・不正利用」
- 申請は約19万5000件を受領し、6万5000件超を登録済み
- RD4U自体は補償額や支払いを決定せず、将来の国際補償委員会に申請を引き渡す
- 補償委員会設置条約は2025年12月にハーグで採択、発効には25カ国以上の批准が必要
- 申請はオンライン窓口「Diia」を通じて提出可能
なぜ重要か
43区分の受付完了は、マンデートが対象とするあらゆる種類の損害――人身被害や住居喪失から環境被害、天然資源の略奪まで――が将来の国際補償メカニズムへの正式な申請経路を得たことを意味する。RD4Uにはすでに約19万5000件の申請が寄せられ、6万5000件超が受理済みで、補償委員会と補償基金の稼働を待つ段階に入った。RD4U自体は記録機関にすぎず、補償額決定と支払いは2025年12月にハーグで採択された条約に基づく将来の国際補償委員会が担う。同条約の発効には25カ国以上の批准が必要で、今のところその基準に達しておらず、記録された権利はまだ実際の補償に結びついていない。
何が起きたか
9月30日、ウクライナの国家・企業・個人がロシアの全面侵攻以降に被った損害を記録・申請するための国際機関「RD4U」が、予定していた43区分すべての申請受付を完了した。個人向け21区分、法人向け11区分、ウクライナ国家向け11区分の構成で、最終の3区分は国家向けの「B1.6 その他の財産損失」「B3.1 環境損害」「B3.2 天然資源の略奪・不正利用」。国家向け3区分には、ウクライナ国家本体に加え、中央・地方行政機関、国有・自治体関連の施設・組織が申請できる。同日時点で約19万5000件の申請を受領し、6万5000件超を登録済みで、残りは審査中。申請はオンライン窓口「Diia」を通じて提出可能。RD4Uは申請を記録するだけで補償額や支払いは決定せず、受理された申請は将来の国際補償委員会に引き渡される。補償委員会設置条約は2025年12月16日にハーグで採択されたが、発効には25カ国以上の批准が必要で、現在の批准数はそれを下回っている。
ウクライナメディアの見方
報道はウクライナ国内メディアでほぼ一様に占められ、市民、企業(個人事業主を含む)、国家という申請者それぞれにとっての意義が強調された。複数の媒体はコレツキー首相の発言をリードに据え、ロシアに人民・企業・国家への損害の責任を負わせることと、将来の補償メカニズム検討のための証拠基盤を構築する節目だと位置付けた。対象区分の内訳、対象損害(住居、雇用、インフラ、文化遺産、環境など)、Diiaを通じた提出方法といった実務的な詳細も詳しく報じられた。クリュチコフスキー事務局長は、記録された権利を補償決定と実際の支払いにつなげるため、国際社会が補償委員会と補償基金の整備を完了させるよう求めた。
報道の食い違い
補償委員会設置条約の署名国・批准国数を巡って情報源ごとに数字が分かれている。ある報道では署名41、批准は9カ国とEU、別のものでは署名40、批准は9カ国とEU、さらに別のものは署名40(EUを含む)、批准10カ国としており、集計時点の差異が残る。
背景
ウクライナビレジストリ(RD4U)は欧州評議会が2023年5月12日に設置し、本部はハーグ、キーウにも事務所を置く。マンデートは2022年2月24日以降にロシア連邦の国際違法行為によって引き起こされた損害を対象とし、申請受付システムは2024年4月2日に段階的に運用を開始した。43区分は個人21、法人11、国家11に分かれ、Diiaポータルからオンライン申請できる。国際補償メカニズムは3要素――RD4U(申請記録)、将来の国際補償委員会(補償額決定)、将来の補償基金(支払い)――から成る。補償委員会設置条約は2025年12月16日にハーグでの外交会議で採択されたが、発効と委員会発足には25カ国以上の批准が必要で、報道時点ではその水準に達していない。