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EU、地中海海軍任務「イリニ」を2029年まで延長──ロシア「影の船団」対策を正式任務に

EUは30日、地中海での海軍作戦「EUNavfor Med Irini」のマンデートを2029年3月31日まで延長する改訂案を承認した。2020年にリビア向け国連武器禁輸の執行のため設置された同任務に、ロシアの「影の船団」対策と海底インフラの保護を正式な任務として明記。予算は2年間で約1688万ユーロが提案されている。

要点

  • EUは9月30日、EUNavfor Med Iriniの改訂マンデートを承認
  • 任務期間を2029年3月31日まで延長、予算は約1688万ユーロを提案
  • 現行マンデートは2027年3月に満了予定
  • 改訂マンデートはロシアの「影の船団」対策を正式な任務として明記
  • 海底ケーブルやパイプラインなど重要海洋インフラの保護と新技術の実証試験も対象
  • 8月初めにイリニは影の船団所属タンカー「トア・パヨ」を検査、5月にはフランスが「タゴール」を拘留し100万ユーロの罰金

なぜ重要か

この決定は、既存のEU海軍作戦の中核任務として、ロシアの影の船団対策と海底インフラ保護を正式に位置づけるもの。制裁回避への持続的な関与を示すと同時に、海上状況把握、移民密輸対策、エジプト・チュニジア・レバノンとの地域海洋協力へと任務の幅を広げることになる。

何が起きたか

EUは地中海での海軍任務「EUNavfor Med Irini」の改訂マンデートを30日に承認した。同任務は2020年、リビア向け国連武器禁輸の執行を目的に創設された。改訂マンデートは任務を2029年3月31日まで延長し、ロシアの「影の船団」対策を明示的な任務の一つと位置づける。さらに、海底光ファイバーケーブルやパイプラインを含む重要海洋インフラの保護と、その保護技術の試験も対象とする。延長分の予算は約1688万ユーロが提案されている。正式な採択は10月9日の経済・財務相理事会で予定されており、採択後はEU官報に掲載される。

ウクライナメディアの見方

出典となった3つのウクライナ語報道機関は一様に、近年の延長を主にロシアの影の船団対策としての文脈で報じており、6月のカヤ・カラス上級代表による交戦規則変更に関する声明を強調。8月の「トア・パヨ」検査や、フランスが「タゴール」に対し100万ユーロの罰金を科した具体例を引き合いに出し、制裁回避への実効性を訴えている。

海外メディアの見方

提示された出典はウクライナ国外の国際的な枠組みを別途示していない。

背景

ロシアの影の船団は、自動識別システムをオフにして位置情報を隠せる老朽タンカーを主体とし、かなりの部分が国営企業ソフコムフロトによって管理されていると報じられている。2023年9月時点で約600隻と推計され、世界の液体貨物輸送能力の約10%、ロシア産石油輸出の約70%を占め、1日あたり約170万バレルのロシア産石油を輸送しているとされる。ロシアはLNG輸送用の影の船団も拡大中で、6月時点で少なくとも21隻となっている。2022年12月初め、G7、オーストラリア、EUはロシア産石油に1バレル60ドルの価格上限を導入し、2023年2月5日からは石油製品にも拡大(ディーゼル100ドル、その他45ドル)。影の船団はこれらの上限回避と広く結びつけられている。