メルツ独首相、ウクライナ防空強化へ各国首脳と協議中と表明
ドイツのメルツ首相は9月29日、ベルリンでの共同記者会見で、ウクライナの防空体制が「現時点で最大の弱点」と述べた上で、各国首脳と個人的に協議し、追加の防空システム供給を確保する努力を進めていると述べた。冬季を控え、ロシアが民間インフラを攻撃し続けるとの見通しを示し、欧州の支援継続を訴えた。同日、ドイツのヴァーデフール外相はストラスブールで、少なくとも2か国から防空システムの追加供給が可能との見方を示した。
要点
- メルツ独首相は9月29日、ベルリンでウクライナ防空支援の強化に向け各国首脳と個人的に協議中と述べた
- メルツ氏は防空がウクライナの「現時点で最大の弱点」であり、厳しい冬に備えが必要だと強調
- 10月15-16日の欧州理事会を前に、ドイツは欧州パートナーとウクライナ予算支援や防空強化について集中的協議中
- ヴァーデフール独外相は少なくとも2か国から追加防空供給が可能との見通しを示す
- ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、NASAMS向けミサイル「非常に良い」パッケージを同盟から受領と発言
- 9月28日のEU理事会後、カジャ・カッラス外務上級代表は防空ミサイル追加配分で防衛相が合意に至らなかったと述べた
- EUは900億ユーロの融資枠内で282億ユーロの防衛調達計画(米製迎撃ミサイルを含む)を既に承認
なぜ重要か
ウクライナ防空が直面する喫緊の脆弱性に対し、ドイツ政府が各国との個人的外交を主導していることを示し、欧州レベルの支援調整が本格化している。900億ユーロの融資枠を用いた迎撃ミサイル共同調達という具体案が浮上する一方、9月28日のEU理事会では防衛相間の追加配分合意が成立せず、欧州の結束が依然課題となっている。
何が起きたか
9月29日、メルツ独首相はカザフスタンのトカエフ大統領とのベルリンでの共同記者会見で、ウクライナの防空体制が「現時点で最大の弱点」であると明言した。同氏は世界各国首脳との個人的協議を通じて追加防空システムの供給確保に取り組んでおり、欧州パートナーとも10月15-16日の欧州理事会を念頭に、ウクライナ予算への具体的支援や防空強化策について集中的協議を行っていると述べた。また、ロシアが民間インフラへの攻撃を続けるとの見通しを示し、ウクライナが「非常に厳しい冬」を乗り越える支援の必要性を訴えた。同日、ヴァーデフール独外相はストラスブールの欧州議会で話し、少なくとも2か国から防空システムの追加供給が可能との見方を示し、ピストリウス独国防大臣が同盟国との交渉を継続中と述べた。ウクライナのゼレンスキー大統領は同日、NASAMS向けミサイル「非常に良い」パッケージを同盟から受領したと発表。一方、9月28日のEU理事会後、カッラス外務上級代表は防空ミサイル追加配分でEU防衛相が合意に至らなかったと述べ、900億ユーロ融資枠内で282億ユーロ規模の防衛調達計画(米製迎撃ミサイルを含む)が既に承認済みと説明した。
ウクライナメディアの見方
ウクライナ側報道は、ウクライナの防空が「最大の弱点」であるというメルツ氏の発言を大きく取り上げるとともに、独政府による具体策として「ドイツから今月中に新たな防空パッケージ」「ヴァーデフール氏の少なくとも2か国からの供給見通し」「ピストリウス独国防相主導の同盟交渉」を前面に押し出した。さらに、900億ユーロ融資を使った既存パトリオット迎撃ミサイルの移管案や、9月28日のEU理事会で追加ミサイル配分合意が成立しなかった事実と関連付け、10月15-16日の欧州理事会と厳しい冬を視野に文脈化している。
海外メディアの見方
国際報道(アゼルバイジャンのAPAなど)はメルツ氏の個人的外交と冬季・民間インフラ攻撃への警鐘を中心に据える傾向があり、EU協議や900億ユーロ融資メカニズム、9月28日のEU理事会での合意未成立といったウクライナ側報道が提供する文脈への言及は限定的となっている。また、ドイツからの具体的供給時期やパトリオット移管メカニズムへの注目は相対的に低い。
報道の食い違い
報道間の主な相違点は、メルツ氏がロシアによる民間インフラ攻撃を明確に「戦争犯罪」と性格づけたかどうかであり、ウクライナのhromadskeは同氏の発言にこの表現が含まれると報じた一方、ZN.UAやNVなど他社は報じていない。また、共同記者会見の日付については、ウクライナ側各紙の多くは単に「火曜日」とのみ記すが、ウクルインフォルムは9月29日と特定している。さらに、9月25日のゼレンスキー氏による「トランプ米大統領がパトリオット生産ライセンス供与の最終決定を下した」との発言について、トランプ氏は確認を拒否している。
背景
メルツ氏の発言は、カザフスタンのトカエフ大統領とのベルリンでの共同記者会見の場で行われた。ヴァーデフール独外相はストラスブールの欧州議会で、ウクライナへの防空追加供給が少なくとも2か国から可能との見方を示し、ドイツはパトリオット・システムのミサイル国産化を開始しているが、供給は来年になる見通しと述べた。ゼレンスキー大統領は9月29日、NASAMS用ミサイル・パッケージを同盟から受領したと発表。9月25日にはトランプ米大統領がパトリオット生産ライセンスをウクライナに移管する「最終決定」を下したと主張したが、トランプ氏自身は確認を拒否した。