ロシア、キーウに同日2回目のドローン攻撃 学術機関と民間医療施設を直撃
9月28日、ロシアはキーウに対し同日2回目となる大規模なドローン攻撃を実施し、市中心部のウクライナ国立科学アカデミー(NAN)ビルと民間医療機関「ドブロブト」を含む複数の施設を直撃した。少なくとも1人が死亡、21人が負傷し、ウクライナ国家安全保障・国防会議の元書記も負傷した。欧州委員会大統領やモルドバ大統領、欧州評議会議長らが科学と民間施設への攻撃を非難した。
要点
- 9月28日、ロシア軍はキーウ中心部のウクライナ国立科学アカデミー本部ビルにドローンを直撃させた(シェヴチェンキウシキー地区、7階建て建物の4階部分)
- 同日、民間医療機関「ドブロブト」のアントノーヴィチ通りクリニックがホーロシイウシキー地区でドローン攻撃を受け、7人(うち6人が同ネットワーク職員)が負傷、アントノーヴィチ通りでの同日2度目の直撃となった
- 44歳の女性が死亡、警察によれば市内の負傷者数は21人(うち3人は子ども)、元NSDC書記ヴォロディミル・ホルブリンの補佐官ナタリヤ・ブカロさんも死亡した
- ホルブリン元書記は軽傷、6人が入院(うち2人は子ども)、シェヴチェンキウシキー地区で救出活動が行われた
- 欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン大統領、モルドバのマヤ・サンドゥ大統領、欧州評議会のアラン・ベルセ事務総長が攻撃を非難した
- 同日6:30〜18:30にロシアは124機の攻撃用ドローン(うち86機がジェット動力型)を投入、主方向はキーウ州だった
- キーウでは他に「ダールニツィア」製薬工場(23日以来3度目、オボルン地区の倉庫火災、ソロミアンシキー地区のデブリ落下など)の被害も報告されている
なぜ重要か
一日のうちにキーウ中心部で民間医療施設と国家的な学術研究機関がともに攻撃されたことで、非軍事目標への攻撃という性格が明確になった。繰り返し標的となる民間・産業施設への攻撃パターンは、病院「ドブロブト」のアントノーヴィチ通りでの同日2度目の直撃や、9月23日以来3回目となる「ダールニツィア」製薬工場への攻撃に表れている。さらに、欧州委員会、モルドバ、欧州評議会という複数の国際機関・指導者からの非難声明は、ウクライナの科学・学術インフラそのものが標的になっているという認識を国際的に定着させた。当日124機(うちジェット動力型86機)の大規模ドローン投入は、首都への継続的圧力を示している。
何が起きたか
9月28日、ロシア軍はキーウに対し同日2回目となるドローン攻撃を行い、市内4地区で被害が出た。約13時30分、シェヴチェンキウシキー地区にあるウクライナ国立科学アカデミー(NAN)本部ビルが直撃され、火災が発生、7階建て建物の4階部分が破壊された。さらにホーロシイウシキー地区のアントノーヴィチ通りにある民間医療機関「ドブロブト」のクリニックがドローン攻撃を受け、Dobrobut Academyが入る上層階とポリクリニックが入る下層階が炎上、1〜3階の窓が爆風で吹き飛び、医療機器も破損した。同クリニックへの攻撃は同日2度目となり、数日間業務を停止し被害状況の確認を行う。他にもオボルン地区の非住宅用建物と倉庫が被害を受け、ソロミアンシキー地区とデスニャンシキー地区ではドローンの破片が落下。製薬工場「ダールニツィア」も攻撃された(23日以来3度目、人的被害なし)。一連の攻撃で44歳の女性1人が死亡、警察発表で計21人が負傷した(うち3人は子ども、6人が入院、うち2人は子ども)。負傷者の年齢は29〜76歳。当日6:30〜18:30にロシアは124機の攻撃用ドローン(うち86機がジェット動力型)をウクライナに投入し、主方向はキーウ州だった。NAN攻撃ではヴォロディミル元NSDC書記が軽傷、その補佐官ナタリヤ・ブカロさんが死亡した。
海外メディアの見方
欧州委員会のフォン・デア・ライエン大統領はNANビルへの攻撃を「ロシアは科学を標的とした」と非難し、ウクライナへの連帯を表明、欧州のウクライナ防衛強化の取り組みをさらに進める方針を示した。モルドバのサンドゥ大統領は攻撃を人々・科学・経済への意図的なテロと呼び、ソーシャルメディア「X」で非難声明を発出した。欧州評議会のベルセ事務総長は新たな一連のロシア攻撃を「意味がなく残酷」と非難した。
報道の食い違い
ドブロブト・クリニックでの負傷者数について、同ネットワークは7人(うち6人は職員)と発表した一方、国家非常事態庁(SES)は当初3人、その後8人と異なる数字を報告している。
NANビルでの死傷者数については、初期報道および一部情報源では負傷者4人・死者1人だが、SES・警察・ゼレンシキー大統領は負傷者6人・死者1人としており、大統領は6人のうち3人は子どもと述べた。アカデミーでの死者数についても、1人とする報道が大半だが、ある見出しと情報源は2人に引き上げられたと伝え、ある情報源は2人のアカデミー会員が死亡したとしている。
キーウ全体の負傷者数については、クリチコ市長の初期発表で19人、警察のその後の更新で21人と異なる。
2回目のドローン攻撃の場所については、クリチコ市長はシェヴチェンキウシキー地区の7階建て建物(4階部分を直撃)としたが、ラディオ・スヴォボダの特派員はホーロシイウシキー地区のドブロブト病院を直撃先としている。
背景
「ドブロブト」はウクライナ国内の民間医療ネットワークで、アントノーヴィチ通りのクリニックは憲法裁判所の近くに位置する。ウクライナ国立科学アカデミー(NAN)はウクライナの主要国立学術機関で本部はキーウ中心部にある。元国家安全保障・国防会議(NSDC)書記のヴォロディミル・ホルブリン氏は政府退任後、NANで指導的役職を務めていた。ロシアは9月下旬に製薬工場「ダールニツィア」を繰り返し攻撃している。