李在明大統領、ウクライナが北朝鮮兵捕虜の引き渡しを公表したのは合意違反と非難
韓国の李在明大統領は9月24日、ウクライナのゼレンスキー大統領が前日の国連総会で北朝鮮兵捕虜2人の韓国への引き渡しを公表したのは、両国間の秘密保持合意に反する行為だとXに投稿し、深い遺憾の意を表明した。ウクライナのフトマ・リティvin大統領府報道官は合意の存在自体を否定しており、合意の有無自体が論争となっている。
要点
- 李在明大統領は9月24日、Xへの投稿でウクライナが秘密保持合意に違反したと非難した
- ゼレンスキー大統領は9月23日の国連総会演説で、北朝鮮兵捕虜2人の韓国移送を発表していた
- 李氏の発言は韓国側から移送を公式に確認した初の声明となった
- 捕虜は21歳のペク氏と26歳のイ氏の2人で、2025年1月にクルスク州でウクライナ特殊作戦部隊と空挺部隊に捕縛された
- 2人の捕虜は2025年12月時点で韓国への移送を希望する書面を作成し、韓国憲法は北朝鮮住民を韓国の市民とみなしている
- ウクライナのデムトロ・リティvin大統領府コミュニケーション顧問は秘密保持合意の存在を否定し、ウクライナは「開かれた国」だと述べた
- 韓国国内では「1000人対100人」の捕虜交換リストに北朝鮮兵を含めないよう韓国側が2025年5月末に要請していた
- 野党「国民の力」のアン・チョルス氏は、移送を外国大統領の口から国民に知らされたとして李政権を批判した
なぜ重要か
この論争は、ウクライナが韓国に協力関係を築いてきた中で、北朝鮮兵捕虜という極めて政治的に敏感な問題をめぐって初の公的な摩擦が生じたことを示している。キム・ジョンウン政権の兵士が韓国に移送されたのは、戦争下で北朝鮮兵が捕虜になった初の確認例であり、外交・安全保障・人道上の問題をはらむ。李大統領が公表を「残酷で無責任」と強く非難したのに対し、ウクライナ側は合意の存在自体を否定しており、信頼関係が損なわれる可能性がある。韓国国内では野党がこの状況を李政権の失点と位置付けており、ウクライナと韓国の連携体制にも影響が及ぶ。
何が起きたか
ゼレンスキー大統領は9月23日の国連総会演説で、ウクライナがロシアのクルスク州で2025年1月に捕縛した北朝鮮兵2人(21歳のペク氏と26歳のイ氏)を韓国に移送したと発表した。これに対し韓国の李在明大統領は翌24日、Xへの投稿で「ウクライナの側が秘密保持合意に違反した」と非難し、深い遺憾を表明した。李氏は、合意の沈黙が外交・安全保障・朝鮮半島の状況、捕虜とその家族の安全に配慮した正しい判断だったと主張。声明は韓国側から移送を公式に確認した初のものとなった。ウクライナのデムトロ・リティvin大統領府報道官は秘密保持合意の存在を否定し、ウクライナは「開かれた国」だと反論。さらにオクサーナ・トロップ駐英ウクライナ大使府報道官は、合意は存在し、捕虜交渉は韓国とのより大きな協力交渉の一部だったと主張している。
ウクライナメディアの見方
ウクライナの主要メディアは大統領府の立場を前面に出し、リティvin報道官の発言を通じて、合意は存在しない・公表したのは移送の事実だけであり、秘密裏に捕虜を引き渡すのは奇妙だとする論理を展開した。またゼレンスキー氏の国連演説での北朝鮮批判を強調し、北朝鮮兵が「通貨」として使われ、その対価として弾道ミサイルや無人機の技術向上がもたらされているとの見出しを大きく取り上げた。さらに、捕虜自身が書面で韓国行きを希望していたことを繰り返し報じ、公表がその意思に沿った正当な行為だったという枠組みを取った。ZN.UAは韓国情勢専門のブティルスカ氏による分析を掲載し、キエフとソウルの対話における捕虜問題の重要性を論じている。
海外メディアの見方
国際メディアはこの問題をソウルの政治問題として大きく報じた。South China Morning PostやABC Newsは李氏の発言を「残酷で無責任」という表現で紹介し、野党「国民の力」のアン・チョルス氏が「韓国国民が外国大統領の演説を通じて北朝鮮兵の到着を知らされなければならないのはなぜか」と李政権を批判した様子を伝えた。合意の有無自体を争点として報じ、ウクライナ内部でもトロップ氏とリティvin氏の見解が対立している点を指摘。Reutersは、ゼレンスキー氏が外国大統領として移送を発表したこと自体への野党の強い批判を伝えた。
報道の食い違い
今回の対立では2つの主な意見の相違が記録されている。第1に、秘密保持合意の存在自体が争点である。韓国の李在明大統領と駐英ウクライナ大使の報道官オクサーナ・トロップ氏は合意が存在したと主張する一方、ウクライナのデムトロ・リティvin大統領府報道官と大統領府は合意の存在自体を否定している。第2に、ゼレンスキー氏による公表の予告が十分だったかどうかについても食い違いがある。韓国大統領府の関係者は匿名でヨンhap通信に対し、ウクライナ側が公表の意図は事前に伝えてきたが形式は示されなかったと語っており、李大統領の「合意違反」という立場とはニュアンスが異なる。
背景
引き渡された2人の北朝鮮兵は2025年1月にロシアのクルスク州でウクライナ特殊作戦部隊と空挺部隊に捕縛されており、北朝鮮兵が戦闘中に生きたまま捕虜になった初の確認例とされる。同年12月には2人が書面で韓国への移送を希望していることが報じられた。韓国憲法上、北朝鮮住民は韓国の市民とみなされるため、希望すれば受け入れる義務がある。2025年5月末には韓国が「1000人対100人」形式の捕虜交換リストにこの2人を含めないよう要請し、2026年6月の韓国外交部声明は、ウクライナが捕虜にした全ての北朝鮮兵の受入れ用意を表明。ウクライナと韓国の情報機関は、2024年以降、約1万5000人の北朝鮮兵がクルスク方面を中心にロシアを支援するために展開されたと見積もっている。