ウクライナ軍、第3軍団司令官がスヴャトーギルスクからの動画で「完全掌握」と主張―プーチン氏の「占領」発表を直接否定
ウクライナ第3軍団司令官アンドリー・ビレツキー准将が9月7日、ドネツク州スヴャトーギルスク中心部で動画声明を発表し、60機歩旅団が同市を完全に統制し、後方地域となっていると述べた。これはプーチン大統領が9月1日に上海協力機構サミット後のビシュケクで、ロシア軍が同市を含む14のウクライナ集落を制圧したと主張したことを受けた直接的な反論となっている。
要点
- ビレツキー第3軍団司令官が9月7日、スヴャトーギルスク中心部でスヴャトーウスペンスカ大修道院を背景に動画を撮影
- 60機歩旅団が同市を完全に統制しており、事実上のウクライナ後方地域になっていると述べた
- プーチン氏は9月1日、ビシュケクでのSCOサミット後会見でスヴャトーギルスクなど14集落を「制圧」と発表
- ISWやDeepState地図、ゼレンスキー政権はプーチン氏の主張を否定し、市はウクライナ統制下にあるとした
- ビレツキー氏はロシア軍指導部に対し「道化の鼻や派手なカツラを外せ、愚かに見えるな」と呼びかけた
- ウクライナのシビハ外相は「プーチンは呼吸するように嘘をつく」とXに投稿した
なぜ重要か
今回の動画は、スヴャトーギルスクがウクライナ統制下にあるという地上の視覚的証拠を提供し、ロシアの公式発表を直接否定するものとなった。クレムリン寄りのロシア人軍事特派員を含む複数の情報源がこの動画を証拠として認めたとされ、ロシアの情報作戦を掘り崩す意義がある。また、国際フォーラム(SCOサミット)で発表されたロシア指導部の戦場での主張と、検証可能な地上状況との乖離を示す事例でもある。
何が起きたか
9月7日、ウクライナ第3軍団はアンドリー・ビレツキー准将がドネツク州スヴャトーギルスク中心部でスヴャトーウスペンスカ大修道院を背景に撮影した動画声明を公開した。同司令官は第60機歩旅団が同市を完全に統制しており、市は事実上のウクライナ後方地域となっていると述べた。ビレツキー氏はボディーアーマーを着ければ市内を問題なく歩けると述べ、ロシア軍・政軍指導部に対しては「道化の鼻と派手なカツラを外し、愚かに見えるのをやめろ」と挑発的に呼びかけた。この動画は、ロシアのプーチン大統領が9月1日にビシュケクでのSCOサミット後の記者会見で、ロシア軍がスヴャトーギルスクを含む14のウクライナ集落を制圧したと主張し、ロシア国防省もこれを追認していたことを受けた直接的な反論となっている。
ウクライナメディアの見方
ウクライナ側報道は一様にビレツキー氏の現場からの反論を軸に、ロシアの主張への反駁を展開している。軍事指導部(ビレツキー氏)、外務省(シビハ氏)、そして国際オブザーバー(ISW)の発言を組み合わせ、モスクワの虚偽情報キャンペーンを批判する構成が目立つ。見出しにはビレツキー氏の挑発的な言辞やシビハ氏の「呼吸するように嘘をつく」という表現が引用されやすい傾向がある。SCOサミットという国際舞台でのロシア指導部の発言と、地上の実態との乖離が強調されている。
報道の食い違い
プーチン大統領とロシア国防省は9月1日、ロシア軍がスヴャトーギルスク(およびコザチャ・ロパンなど他の集落)を制圧したと主張した。これに対し、ウクライナ第3軍団、ドネツク州軍事行政、シビハ外相、DeepState地図、ISWアナリストらは市がウクライナ統制下に残っており、後方地域となっていると反論している。ISWはプーチン氏の主張は「現実から程遠い、証拠に裏付けられていない」と評価。
背景
8月26日、ゼレンスキー大統領はドネツク州における国防軍陣地を、デニス・プロコペンコ氏とアンドリー・ビレツキー氏という二人の「ウクライナ英雄」が指揮する再編部隊で強化すると発表していた。8月6日時点でドネツク州軍事行政はスヴャトーギルスクがウクライナ統制下にあると述べており、市内では露軍の絶え間ない砲撃が続いているものの状況は困難ながらも維持されているとしていた。スヴャトーギルスク市の軍事行政責任者ヴォロディミル・リバルキン氏は市内に残って状況報告を続けている。ISWは2026年春後半から初夏にかけて露軍が同市から最低13kmまで近づいたと評価しており、リマン付近でのウクライナの反攻により現在はさらに離れている可能性が高い。