米財務長官、ウクライナのロシア石油インフラ攻撃が世界の燃料高騰を引き起こしていると主張
スコット・ベッセント米財務長官はG20財務相会合の合間にロシアのAnton Siluanov財務相と対面会谈を行った後、ウクライナのロシア石油インフラへの攻撃が世界の燃料価格を押し上げているとの見解を表明した。ベッセント氏はFox Newsで、またG20後にエネルギー価格高騰の原因としてウクライナ戦争とイラン情勢をともに挙げた。同氏の立場は、ロシアを一貫した侵略者と位置づける米議会の大多数の姿勢や、ロシア産石油に対する追加制裁を義務付ける超党派法案とは対照的となっている。
要点
- ベッセント米財務長官はウクライナのロシア石油インフラ攻撃が世界のエネルギーショックと燃料高騰を引き起こしていると述べた
- 発言はFox Newsで行われ、G20財務相会合の合間にはSiluanov財務相との対面バイ会谈が実施された
- Brent原油価格は世界市場で約97ドル/バレルに達し、米国内のディーゼル燃料価格も過去最高水準に接近した
- 米財務省のSiluanov招待と同氏とのバイ会谈は一部同盟国から批判を受け、ベッセント氏は批判を退け対話を擁護した
- 米上院はロシアへの追加制裁をトランプ政権に義務付ける超党派法案を可決した
- ベッセント氏は4月にもロシア産石油への制裁を一時緩和し批判を浴びていた
- プーチン大統領は同週、イラン政権へ「勇気と忍耐」を称賛し連帯を表明した
- G20財務相会合はノースカロライナ州で2日間にわたり開催された
なぜ重要か
米国政府高官が、エネルギー価格高騰の原因をロシアへの侵攻を行った側ではなく、ロシアの石油インフラを攻撃しているウクライナ側に帰責する発言を公に行った。さらに、トランプ政権は対面での二国間協議を行い、ウクライナ戦争の終結に向けた関与姿勢を示した。一方、米上院では超党派でロシアへの追加制裁法案が可決されており、政府と議会の姿勢の乖離が浮き彫りとなった。同じ週にプーチン大統領がイランへの連帯を表明したことは、米ロ接近と中東情勢の連動という地政学的な再編を示唆している。
何が起きたか
G20財務相会合がノースカロライナ州で開催された2日間、ベッセント米財務長官はロシアのAnton Siluanov財務相とバイ会谈を行った。会合後、ベッセント氏はFox Newsに出演し、ウクライナのロシア石油インフラ攻撃が世界の燃料価格を上昇させていると主張した。会見で同氏は、現在のエネルギーショックはウクライナ戦争とイラン周辺情勢の両方が原因だと述べた。さらに同氏は、ウクライナ戦争終結のためには当事者間の対話維持と米国の関与が不可欠だとして、批判に対して対話の継続を擁護した。背景として、世界市場のBrent原油価格は約97ドル/バレルに達し、米国内のディーゼル燃料価格も過去最高水準に近づいている。米財務省がロシア財務相をG20へ招待しバイ会谈を行ったことに対しては、同盟国から批判が寄せられた。また、米上院では超党派でトランプ政権に対しロシアへの厳しい制裁を義務付ける法案を可決しており、ベッセント氏の発言とは緊張関係が生じている。
ウクライナメディアの見方
提供された3本はいずれもウクライナ語報道で、ベッセント氏によるウクライナへの非難と、ロシアを明白な侵略者と見なす米議員の大多数の姿勢との相違を強調している。各記事は、Siluanov氏との接触に対する同盟国の批判や、同じ週にプーチン氏がイランに連帯を表明したことを併記しており、米ロ関係の再編の文脈の中に今回の出来事を位置づけている。さらに一部の報道では、トランプ政権がイラン情勢に端を発するエネルギーショックの責任を一部ウクライナに転嫁していると論じている。
報道の食い違い
出典によってエネルギーショックの主因の解釈が異なる。ある媒体は、ロシアに対する米国の戦争(イランへの関与を想定)が主因であり、トランプ政権がその責任を一部ウクライナに転嫁していると論じる。別の媒体はベッセント氏によるウクライナへの非難を中心に取り上げており、同転嫁論は前面に出していない。また、ベッセント氏の発言の一次資料について、ある媒体はThe New York Timesを引用するが、別の媒体は報道全般としており、本文が欠落しているケースも記録されている。
背景
ベッセント氏は以前にもロシア産石油への姿勢で物議を醸しており、4月には世界のエネルギー価格を下げる目的でロシア産石油への制裁を一時緩和し批判を受けた。同氏とキウフとの関係はトランプ氏の二期目政権発足以来緊張しており、ウクライナの鉱物資源協定を巡るゼレンスキー大統領との対立も含まれてきた。G20会合の開催地ノースカロライナでの対面バイ会谈は、これまでもSiluanov氏がビデオ会議で演説する際に米国や他の西欧諸国の当局者が会議室を退出してきた従来の対応と異なる展開となっている。