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ロシア、北極圏「ヴォストク・オイル」からの商業石油輸出を開始

ロシアはアルタイミー半島・東シベリアにまたがるクラスター「ヴォストク・オイル」からの石油の商業輸出を、北極海航路経由でアジア向けに開始した。ロスイチの「ブフタ・セヴェル」ターミナルでは氷海対応タンカーへの積込みが始まっており、プーチン氏が9月5日に正式に始動を宣言した。日量15万バレルから始まり、2030年までに日量100万バレルへ拡大する計画とされる。

要点

  • プーチン大統領が9月5日に「ヴォストク・オイル」始動を正式発表
  • ロスイチが「ブフタ・セヴェル」で氷海対応タンカー4隻への積込みを開始
  • 初期輸出量は日量15万バレル、2030年に日量100万バレル目標
  • 推定埋蔵量は約510億バレル、ソ連崩壊後最大のロシア石油プロジェクト
  • ロスイチのセチン社長がプーチン氏から2兆6000億ルーブルの減税を獲得
  • ターミナルはウクライナ国境から3000キロ以上離れた場所にある
  • 2022年の大規模侵攻後、BPを含む西方パートナーが撤退
  • 2025年1月に米財務省が「ヴォストク・オイル」と運営会社「RN-ヴァンコール」へ直接制裁

なぜ重要か

「ヴォストク・オイル」はソ連崩壊後最大のロシア石油案件とされ、数十年の長期スケールを想定した巨大プロジェクトである。北極海を経由してアジア市場への新たな輸出ルートを開くことで、世界の石油取引の力学を変える可能性がある。2022年以降、西側パートナーの離脱や2025年1月の米国による直接制裁といった逆風にもかかわらず、ロシアが国家主導で事業を前進させた点をめぐる地政学的な重みがある。

何が起きたか

プーチン大統領が9月5日に始動を宣言し、ロシアは「ヴォストク・オイル」からの石油の商業輸出を北極海航路経由で開始した。ロスイチはタイミル半島沿岸のターミナル「ブフタ・セヴェル」で氷海対応タンカー4隻への積込みを進め、まずAframax型「Akademik Gubkin」とPanamax型「Valentin Pikul」が積込みを完了。Aframax型「Vladimir Monomakh」と「Vladimir Vinogradov」も数日以内に積込み予定となっている。初期輸出量は日量15万バレルで、2030年までに日量100万バレルへの拡大が見込まれる。

ウクライナメディアの見方

ウクライナ側出典は始動の本質を地政学的な出来事として描いている。すなわち、ロシアは制裁や2022年以降の西側離脱にもかかわらず、ソ連時代以来のスケールを持つ石油メガプロジェクトを推し進めた、という構図である。同記事は、アルティック・ターミナルがウクライナとの国境から3000キロ以上離れている点を繰り返し強調し、事業の安全性を一定の距離感のもとに位置づける。またロスイチのセチン社長の役割や、2兆6000億ルーブル規模の減税合意に触れ、クレムリンが支える国家資本主義によってプロジェクトが支えられている面を強調している。

背景

「ヴォストク・オイル」はタイミル半島・東シベリアにまたがる13以上の鉱区を統合し、推定埋蔵量は約510億バレルとされる。これらの極地鉱区はソ連時代に発見されたが、1990年代には事実上休止状態となり、2019年にロスイチがプロジェクトを再始動させた。2020年にはTrafiguraが、2021年にはVitolを含むコンソーシアムが権益を取得。しかし2022年のウクライナ全面侵攻を受け、BPを含む西側パートナーは持ち分を売却し撤退。さらに2025年1月、米財務省は「ヴォストク・オイル」とその運営会社「RN-ヴァンコール」に対する直接的なブロック制裁を導入した。アルティックの石油・ガス事業はロシア全体の天然ガス生産の約80%、石油生産の約60%を占めるとされる。