ドイツが米製トマホークとタイフォンを3.4億ユーロで購入へ、ロシア抑止狙う
ドイツ国防省は内部計画文書に基づき、米製のトマホーク巡航ミサイルとタイフォン発射システムに約34億ユーロを割り当てる方針だと、Politicoが報じた。ドイツには現在、地上配備型の長距離打撃能力がなく、今回の取得はロシア抑止を念頭に置いたもの。2027年度予算に反映される予定で、最終的な予算承認と購入決定はまだ変更の可能性があるとされる。
要点
- ドイツ国防省は米製トマホークとタイフォン購入に約34億ユーロを割り当てる方針
- この金額はPoliticoが閲覧したドイツ政府の内部計画文書に基づく試算
- 予算承認と購入の最終決定に先立ち、変更の可能性あり
- 今回の取得によりドイツは初の地上配備型長距離打撃能力を保有し、ロシア抑止に充てる
- 2024年にバイデン米大統領(当時)とショルツ独首相(当時)が米軍によるドイツ配備で合意した計画はトランプ大統領が撤回
- アンカラNATOサミットでトランプ氏とメルツ独首相が購入について原則合意
- ワシントンは機微技術と知的財産の管理権を維持
- ドイツはタイフォンを今世紀末までに運用開始予定
なぜ重要か
ドイツが第2次大戦後の防衛政策を大きく転換し、初めて自国の地上配備型長距離打撃能力を保有することになる。取得目的はロシア抑止と明確にされており、NATOが2035年までに国防支出を対GDP比3.5%に引き上げる目標とも整合する。また、米側の「産業協力」の提案をめぐり独企業がトマホークの供給網に組み込まれる可能性があり、大西洋を挟んだ防衛産業関係に影響しうる。
何が起きたか
Politicoが入手したドイツ政府の内部計画文書によると、ドイツ国防省は米製のトマホーク巡航ミサイル(射程約2,500km、レイセオン製)と、地上配備型の移動式発射システム「タイフォン」の購入に約34億ユーロを充てる計画を立てている。この金額は同省が現時点で見積もる総所要額であり、予算の成立と購入の最終承認まで変動しうる。試算は2027年度予算の編成に反映される見通しで、現在省と議会で作業が進められている。
国防省の報道官は、購入計画自体は維持されていると確認した。ドイツは長距離打撃能力を自国では持たず、今回の取得で初めて地上発射型の長距離打撃手段を保有することになる。ドイツ政府は取得をロシア抑止のための長距離戦力整備の一環として位置づけ、その総コストを約120億ユーロと見込むと報じられている。
経緯としては、2024年に当時のバイデン米大統領とショルツ独首相が、2026年から米軍が長距離兵器をドイツに展開(トマホークは米軍指揮下)と合意したが、この計画はトランプ米大統領が撤回した。2025年にベルリンはトマホーク搭載のタイフォンを購入したいと公式に打診。同年7月のアンカラNATOサミットでトランプ氏とメルツ独首相が原則合意に達し、ドイツ政府は米側が売却を認める意向だと発表したが、細部は未調整としていた。内部文書は米政府が「産業協力の見通し」を購入計画の一部として提案したと記載しているが、両国の当局者によれば具体的な生産方式や役割分担はまだ決まっていない。機微技術や知的財産の管理権は米側が保持する。
ドイツはタイフォンの運用を今世紀末までに始める計画で、英国とは2034年までに射程2,000km超の高精度長距離ミサイルを共同開発する構想も報じられている。背景には、米イラン戦争で米側のミサイル備蓄が消耗したことなどを踏まえ、欧州の産業参加を求める圧力が強まった事情があるとされる。
背景
経緯は2024年に始まる。バイデン米大統領(当時)とショルツ独首相(当時)が、米軍が指揮下で管理するトマホークを含む長距離兵器を2026年からドイツに展開することで合意したが、トランプ大統領はこの計画を取り消した。2025年、ベルリンはトマホーク搭載のタイフォンの購入を打診。同年7月のアンカラNATOサミットでトランプ氏とメルツ独首相が原則合意した。
トマホークはレイセオン製の巡航ミサイルで射程約2,500km、タイフォンは米陸軍の移動式発射機でトマホークを発射可能とされる。ベルリン以外の動きとしては、ドイツがTaurus巡航ミサイルの近代化や欧州側の長距離兵器開発も検討している。英独は2034年までに射程2,000km超の高精度長距離ミサイルを共同開発する計画とされる。NATOは2035年までにコアな防衛ニーズにGDP比3.5%を充てる目標を掲げており、両大西洋側の兵器メーカーは受注残を抱えるとされる。独政府の試算では、ロシア抑止目的の長距離兵器整備の総コストは約120億ユーロ。