クロアチア、北溪爆破事件のウクライナ人被告の引き渡し審理を延期—ドイツが逮捕状に「戦争犯罪」を追加
クロアチアで4日に予定されていた、ウクライナ人のヴラディーミル・ジュラヴリョフ被告のドイツへの引き渡しに関する審理が延期された。ドイツ側が欧州逮捕状を更新し、新たに「戦争犯罪」という罪名を加えたため。ジュラヴリョフの弁護団は「ウクライナ市民の権利を守るための新たな段階だ」と述べた。
要点
- 9月4日にクロアチアで予定されていたジュラヴリョフのドイツへの引き渡し審理は延期された
- 延期理由はドイツ側が欧州逮捕状を更新し「戦争犯罪」の罪名を追加したため
- ジュラヴリョフの弁護団はカタレンチュク・ムーア・アンド・パートナーズ法律事務所
- ドイツはジュラヴリョフを爆破に関与したダイバーの一人と特定、2024年にポーランドで拘束を試みたが実現せず
- 2025年8月26日にドイツ当局が北溪爆破事件の被疑者としてウクライナ人6人への逮捕状を発布
- 主犯と目されるセルヒイ・クズネツォフは2025年8月にイタリアで拘束、11月にドイツへ引き渡され、2026年7月1日に起訴された
なぜ重要か
延期によりジュラヴリョフの引き渡し手続きは長期化し、ドイツ検察が追究する法的理論が拡大していることが明らかになった。「戦争犯罪」という新たな法的な位置づけは、北溪爆破事件の起訴が当初の破壊工作の枠を超えて国際刑法上の議論に踏み込む可能性を示唆する。
何が起きたか
9月4日、クロアチアでウクライナ人のヴラディーミル・ジュラヴリョフをドイツへ引き渡すかどうかを審理する裁判所が開廷予定だったが、延期された。延期はドイツ側が欧州逮捕状を更新し「戦争犯罪」の罪名を追加したことを受けたもの。情報を受け取ったのはジュラヴリョフの利益を代表するカタレンチュク・ムーア・アンド・パートナーズ法律事務所で、同事務所は「ウクライナ市民の権利擁護闘争の新たな段階だ、今後も尽力する」と述べた。
ジュラヴリョフはドイツの捜査により北溪のガス管に爆発物を仕掛けたダイバーの一人と位置付けられ、8月19日にクロアチアで欧州逮捕状に基づき身柄を拘束され、爆発共同実行、反憲法的破壊工作、施設損壊の容疑で訴追されている。クロアチア裁判所は勾留を決定した。これはドイツによるジュラヴリョフの拘束・引き渡しに向けた3度目の試みであり、2024年にはポーランドでの拘束が試みられたが彼は脱出。2025年9月にはポーランドで拘束されたが、ポーランドの裁判所はドイツへの引き渡しを拒否している。
報道の食い違い
ジュラヴリョフがクロアチアで拘束された日付について、ソースによって19日とするものと、2026年8月とするものが混在している。またクズネツォフのドイツへの引き渡し時期についても、2025年秋とする記事と2025年11月とする記事がある。
背景
2022年9月26日深夜、 Baltic Seaの海底でNord Stream 1およびNord Stream 2のガス管4本のうち3本が爆破により破壊され、1本のみが破損を免れた。当時両パイプラインは稼働していなかったが技術ガスが充填されていた。2025年8月、ドイツの捜査当局は爆破の被疑者としてウクライナ人6人への逮捕状を発布。事件の主犯格と目されるのがセルヒイ・クズネツォフで、捜査上は爆破を実行したグループの指揮官と位置付けられている。クズネツォフは起訴内容を否認しており、2025年8月にイタリアで拘束、同年11月にドイツへ引き渡され、2026年7月1日に正式起訴された。裁判は10月末にハンブルクで行われる予定。
またドイツ側は事件に「ウクライナ国家の痕跡」が存在すると主張しているが、ウクライナ検事総長事務所は7月9日、ウクライナやその当局、官僚が爆破に関与した証拠は見つからなかったと発表している。Wall Street Journalは2022年の作戦が複数のウクライナ軍高官や実業家によって計画され、一般の帆船で公開された海底地図を利用して実行されたと報じた。ロシアは爆破について英国を非難したが、ロンドンはこれを否定した。