ロシアの巡航ミサイルがキーゼ周辺プリルーキの集合住宅を直撃、子ども5人を含む22人死亡
10月7日の朝、ロシア軍の巡航ミサイル(Kh-101と推定)がチェルニーヒウ州プリルーキ市の5階建て集合住宅を直撃し、少なくとも22人が死亡、54人が負傷した。死者のうち5人は子どもで、3人は1歳前後、残る1人は8歳の男児だった。この攻撃は同日未明から行われた弾道ミサイル・巡航ミサイル・ドローンを組み合わせたロシアの大規模攻撃の一環で、キエフ、ドニプロ・ザポロジッァ、クレメンチュクなども被弾した。ウクライナの防空部隊は161の空中標的を撃墜したと発表。ウクライナ側は刑法第438条に基づく戦争犯罪の捜査を開始し、大統領は制裁強化と対ウクライナ防衛支援の拡充を呼びかけた。
要点
- 10月7日未明から朝にかけて、ロシアは弾道ミサイル・約50発の巡航ミサイル・約130機のドローンを組み合わせた大規模攻撃をウクライナ全土に実施した。
- プリルーキにはKh-101巡航ミサイル6発(推定)が撃ち込まれ、5階建て集合住宅の2つある階段室がほぼ完全に破壊された。
- 8日朝の時点で22人が死亡(うち子ども5人)、54人が負傷(うち子ども7人)。死者には1歳のオレクサンドル、キリロ、セルヒィと8歳のマクシムが含まれる。
- その他の市内被害:15棟の集合住宅と16棟の一軒家、市青少年創作センター、企業、車両など。ポーランド中圧ガスパイプラインが損傷し、1万8000人以上がガス供給を一時的に失った。
- 15人ががれきの中から救助された(うち子ども1人)。被災者から「ローズラ」と名乗る3歳の少女が救出され病院へ搬送された。
- ロシア側は同集合住宅がウクライナ防空ミサイルに撃ち抜かれたと主張したが、ウクライナの虚偽情報対策センターと空軍はこれを虚偽と断定し、ロシアの巡航ミサイルによる攻撃だと確認した。
- ウクライナの防空軍は未明の攻撃で5発の弾道ミサイル、39発の巡航ミサイル、117機のドローンを撃墜したと発表。全国ではゼレンスキー大統領の集計で25人死亡、約100人負傷(内務大臣は別発表で28人死亡と示す)。
なぜ重要か
この攻撃は10月7日のロシアによる複合的な大規模ミサイル・ドローン攻撃の中でも、死傷者数と被害規模が特に大きい部類に入る事例となった。集合住宅の2つの階段室がほぼ完全に吹き飛ばされ、就寝中の住民が巻き込まれたために幼い犠牲者が相次ぎ、うち3人は生後1年前後と極めて幼い乳幼児だった。市内のインフラにも広範な被害が及び、青少年創作センターや工場などが被害を受けたほか、1万8000人以上がガスの供給を一時的に失った。社会インフラを直撃したこの攻撃に対し、ウクライナ側は刑法第438条に基づく戦争犯罪として捜査を開始。さらに虚偽情報対策センターと空軍が、ウクライナ防空ミサイルによる誤爆とするロシアの主張を虚偽と断定し、責任の所在を明確にした。犠牲者の規模と内容の過酷さから、ゼレンスキー大統領は対ロ制裁強化と防衛支援拡充を求める国際世論喚起の文脈でこの事件を取り上げている。
何が起きたか
10月7日の朝6時頃、ロシア軍は巡航ミサイル(Kh-101と推定)を発射し、チェルニーヒウ州のプリルーキ市内にある集合住宅地区を直撃した。5階建ての集合住宅の2つの階段室がほぼ完全に破壊され、就寝中だった住民が巻き込まれた。この攻撃は、同日未明から始まった弾道ミサイル・約50発の巡航ミサイル・約130機のドローンを組み合わせたロシア軍による一連の大規模複合攻撃の一環で、同夜にはキエフ、ドニプロ・ザポロジッァ、クレメンチュクなど複数の都市も攻撃を受けた。 被害状況については、当初2人死亡・7人負傷という警察の暫定発表に始まり、その後州国家非常事態庁(ДСНС)から4人死亡・20人負傷(うち子ども3人)へと数字が上がり、11時半時点で9人死亡(うち子ども3人)・38人負傷、15時時点で16人死亡(うち子ども4人)・55人負傷と段階的に増加。10月8日の朝までに、内務省救急局は死者22人(うち子ども5人)・負傷者54人(うち子ども7人)と最終的な数字を発表した。ゼレンスキー大統領の集計では、同日のロシアによる一連の攻撃全体で全国25人死亡・約100人負傷としており、内務大臣のヴィーヒウスキー氏は別集計で28人死亡を示している。 犠牲者には、同住宅5階に住んでいた3世代にわたる一家(58歳のヴィクトリア・ボンダレンコさん、37歳の娘カテリーナ・アンティペンコさん、1歳9か月の孫オレクサンドルくんの3人)が含まれており、彼女らの死亡が確認された。また、ウクライナ鉄道(ウクルザリズヌィツィア)の機関士とその妻、8歳の息子、13歳の娘の家族4人も犠牲となり、「鉄道一家」「一族」として報じられた。子どもが犠牲になった事案として、3人は約1歳の乳幼児でオレクサンドル、キリロ、セルヒィ、4人目の8歳の男児はマクシムと特定された。 さらに市警察の女性巡査が負傷し、彼女の夫(元前線警察戦闘員)と母親が死亡した。一方、ロシアの攻撃で16棟の集合住宅と16棟の一軒家、市青少年創作センター、工場・企業の建物も被害を受け、車両やガスパイプラインにも損傷が出た。市が受けた被害に加え、市内北部の中圧ガスパイプラインが破壊されたことで1万8000人以上の住民が一時的にガス供給を失った。救出作業では、3歳の女児ローズラちゃんを含む15人ががれきの中から救出された。 一方、ロシア側は集合住宅がウクライナ防空ミサイルに撃ち抜かれたとの偽情報を流布。これに対しウクライナの虚偽情報対策センターと空軍が、ロシアの巡航ミサイルによる攻撃だったと断定し、ロシア側の主張が虚偽であると反論した。また、ロシア国防省は当日の攻撃について「弾道ミサイル79発・巡航ミサイル78発・ドローン200機超」と発表し、ウクライナ防空側は弾道ミサイル5発、巡航ミサイル39発、ドローン117機を撃墜したと公表している。州や市は10月7日~9日の3日間を喪に服す日と定め、犠牲者の追悼を行った。
報道の食い違い
被害者数については、ソースごと、また発表時刻によって大きく異なる数字が報じられた。プリルーキでの死者数は、当初2人(警察の8:20時点)から始まり、4人(ДСНС)、5人(ゼレンスキー氏)、6人(内務省)、9人、13人、14人、16人、18人、19人、20人へと1日をかけて段階的に更新され、最終的に10月8日の朝時点でДСНСが22人(うち子ども5人)と公表した。負傷者数も同様に、当初7人、警察11:30時点で38人、12:45時点で50人、15:00時点で55人、内務省は8日朝に54人と発表するなど、機関や時刻によって差があった。全国規模でも、ゼレンスキー氏は7日夜の演説で死者25人と発表したが、内務大臣ヴィーヒウスキー氏はプリルーキ、クレメンチュク、オレクサンドリーヤ、キエフなどを合わせた一連の攻撃全体で28人と述べており、両者の数字に齟齬がある。さらにロシア側は、プリルーキ集合住宅がウクライナ防空ミサイルに撃ち抜かれたと主張する偽情報を流布したが、ウクライナの虚偽情報対策センターと空軍はこれを否定し、ロシアの巡航ミサイルによる攻撃だったと反論した。市が発表した喪に服す期間についても、10月7~9日とする報道が大多数だが、1つのソースでは10月8~10日となっており、これも食い違いの一つとなっている。
背景
プリルーキはウクライナ北部のチェルニーヒウ州に位置する都市で、同州内でロシア軍によるミサイル・無人機攻撃の脅威に繰り返しさらされてきた地域にある。2026年10月7日の攻撃は、5階建ての集合住宅の2つの階段室(住宅入口部分)がほぼ完全に破壊される甚大な被害をもたらし、住宅が就寝直後だったため住民が逃げ遅れる形となった。この攻撃があった10月7日は、ロシア軍が同日未明から弾道・巡航ミサイル合わせて約70発とドローン約130機を使ってウクライナ全土を同時に攻撃する大規模な一斉攻撃を行った日であり、ウクライナの防空軍は5発の弾道ミサイル、39発の巡航ミサイル、117機のドローン、合わせて161の標的を撃墜したと発表した。同じ夜にプリルーキ以外の都市、キエフ、ドニプロ・ザポロジッザ、クレメンチュク、キーロヴォフラード州オレクサンドリーヤなども攻撃対象となり、死者はウクライナの複数の都市にわたった。チェルニービウ州軍行行政管理のヴャチェスラウ・チャウス氏は、プリルーキに対しては約6発のKh-101巡航ミサイルが使用されたと暫定的に明らかにしている。この背景には、エネルギーインフラを含む民生・産業・軍事拠点を狙うロシア軍の戦略的な打撃作戦と、ウクライナ防空網への継続的な負荷増大の意図がある。