ウクライナの鉄鋼生産、8月に過去最低水準に—ロシアの製鉄所攻撃で
ウクライナの金属業界は2026年8月、製鉄所へのロシアの弾道ミサイル攻撃が本格化したことで、鋼・銑鉄・圧延材の生産が前月比50〜65%超の急減となった。1〜8月の生産量は前年同期比でいずれも2桁減となり、業界は9月もさらに悪化する見通しを示している。
要点
- 2026年1〜8月のウクライナ鉄鋼生産は430万トン(前年同期比12.5%減)、銑鉄は435万トン(同14.8%減)、圧延材は約359〜360万トン(同15.6%減)。
- 8月の対前月比は鉄鋼57.3%減の27万7千トン、銑鉄65.6%減の25万7千トン、圧延材57.4%減の26万9千500トン(前年同月比でも大幅減)。
- ザポリージャスティール(Zaporizhstal)が8月11日に弾道ミサイルを受け、従業員8人が死亡、生产停止。
- ArcelorMittal Kryvyi Rihが8月15〜16日の夜間攻撃で2人死亡、13人負傷、生产は部分停止。
- カメツスタール(Kametstal)が9月4〜5日の夜間に数発の弾道ミサイルで被弾し、生产を完全停止。同社はメティンvestグループ傘下。
- GMK Centerのアンドリー・タラセンコ氏は8月の鉄鋼生産量が歴史的低水準の一つで、4月・12月の2022年を除けば最悪だとし、9月はさらに悪化するとの見通しを示した。
- 業界は黒海港の事実上の封鎖やEUのCBAM・鉄鋼輸入割当などの貿易制限にも直面している。
なぜ重要か
ウクライナの鉄鋼産業はロシアの継続的なミサイル攻撃による直接的な被害を受け、主要3工場が停产または生産縮小に追い込まれた。これにより生産量は歴史的低水準まで落ち込み、復興途上にあった業界は新たな打撃を受けた。さらに黑海港の封鎖やEUの貿易規制も重なり、戰時下の経済基盤がさらに弱体化している。
何が起きたか
2026年8月、ウクライナの金属業界は俄罗斯軍による一連の弾道ミサイル攻撃を受けた。主要工場への被害が続発し、生産は急減した。8月11日にはザポリージャスティールが弹道ミサイルで被弾、8人死亡、工場は生産を完全停止した。8月15〜16日の夜間にはArcelorMittal Kryvyi Rihが再び攻撃を受け、2人死亡、13人負傷、生産は部分停止となった。9月4〜5日の夜間にはドニプロペトロウシク州カミアンシケのカメツスタール(Metinvestグループ)が数発の弹道ミサイルで被彈、关键設備に損傷を受け、生产を全面停止した。
1〜8月の累计でみると、鋼生産は430万トン(前年同期比12.5%減)、銑鉄435万トン(同14.8%減)、圧延材約359〜360万トン(同15.6%減)といずれも2桁の落ち込みを記録した。特に8月の落ち込みは深刻で、前月比で鉄鋼が57.3%、銑鉄が65.6%、圧延材が57.4%と大幅減となり、前年同月比でも半数以下となった。GMK Centerのアンドリー・タラセンコ氏は、8月の鉄鋼生産量が2022年4月と12月を除けば歴史最低水準にあったと指摘し、9月はウクライナの二大鉄鋼メーカーの停产を受け、さらに悪化するとの見通しを示した。
報道の食い違い
8月の前月比下落率について、出典ごとに異なる数字が示されている。ウクルインフォルムやウクライナの主要メディアの多くは、鉄鋼57.3%減・銑鉄65.6%減・圧延材57.4%減と報じているが、別の出典は鉄鋼39.4%減・銑鉄40.5%減・圧延材29.6%減と、より小幅な数値を伝えている。
背景
2025年、ウクライナの金属メーカーは圧延材を前年比4.8%増、銑鉄を11.2%増としており、復興モメンタムを見せていた(鉄鋼のみ2.2%減)。2026年3月は銑鉄が前年同月比22.5%増、鉄鋼が27.6%増と年間で最も好調な月だったが、春から夏にかけて徐々に減速し、7月にはすでに全品種で30%超の落ち込みを記録していた。そこへ8月のロシアによる攻撃本格化が加わり、生産は急落した。